01-03 ステータス
一年が経過し、寝ている間はゲームにログインしてレベル上げやお金稼ぎ、装備の充実、船の購入、副官の雇用とレベル上げなどを実施していた。
アイテムボックスに入れた物はゲームの中から現実世界に持ってこれた。現実世界の物はゲームの中に持ち込めなかった。今はまだ数品しか試せていないが、もう少し状況が見えたらゲーム世界の物をこちらに持ち込みたいと考えていた。そして現在のステータスは以下のようになっていた。
+より左はリアルでの値
+より右はスキルによる補正値
名前:マティアス・アイヒェンドルフ
年齢:1歳
職業:なし+調理師
LV:1+50
HP:10+230
MP:100+50
SP:100+50
攻撃力:2+50
防御力:2+50
素早さ:2+50
知力:40+50
運:10+5
ユニークスキル:ゲームにログインLV1
スキル:言語理解LV1、アイテムボックスLV1、ステータス確認LV1、会計LV8、食料品取引LV12、 調味料取引LV10、他多数
称号:なし
ゲームキャラクターのレベルや職業、スキルが現実世界のステータスに補正が掛かっていた。この世界にこんなに強い一歳児は居ないと思う。本当にチートな能力だった。もう少し大人になれば更に強くなれることは間違いないと思う。
ちなみにマティアスは、よちよち歩きが出来て簡単な言葉も発することが出来る。もっと流ちょうにしゃべることも可能だがしばらくは普通を装う事にした。あまりにも普通の人間とかけ離れた行動を取ったら、化け物と思われて殺されたりしたら困るからだ。まだこの世界の事が分からな過ぎる、慎重に行動するべきであろうと考えていた。
家族構成は父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、マティアスの五人家族でメイド一人と副官一人、兵士十人を雇っていた。アイヒェンドルフ家は男爵の爵位を持つ貴族であるが、それ以外の事は聞く機会が無いため分からない。兄だけは王都の学校に行っており会えていない。
マティアスは家の敷地の外にも出ることもないため町の様子も分からない。食事は質素でパンと具が少ないスープと稀に肉が出る。まだ固い肉は食べられないのでスープでふやかしたパンを食べるくらいしか出来ない。
家の中も質素で調度品と言えるようなものもなく、明かりは蝋燭で夜は真っ暗になる。夜になったら寝て朝になったら起きる。その分ゲームに費やす時間が多く割り当てられるので助かっていた。日中は昼寝をしているとミアが時々絡んでくるのでゲームに集中できないことが多い。ミアは悪意が有る訳ではなく、単純にマティアスをかわいがっていた。
ある晩夕飯の席でティーモがハンナに村の状況について話していた。
「マグデベルク(隣の村)で魔物被害が出た。幸い領民は無事だったが、飼っていた豚が三頭やられた」
「領民が無事で良かったわ。でも豚の数が減ったのは厳しいわね。また増やせるの?」
「ああ、まあ何とかな。今年は天候が不順で麦の育ちが悪い凶作になるかも知れん。そうなると冬を越すための食料が不足するだろう。狩猟で肉を取ってくる機会を増やそうと思っている」
「気を付けてくださいね」
そんな会話を聞いてマティアスはアイテムボックスの肉を出したくなった。ただそんな事をすれば一気に怪しまれてしまう。まだだめだ、具体的にいつとは言えないがもう少し時期を探りたかった。
「お父さん、気を付けてね」
ミアも心配そうに声を掛ける。
「気を付けてね」
マティアスも訳も分からず姉の真似をしているような口ぶりで言葉を繰り返した。それを見た家族は心が温かくなった。
数日後ティーモが怪我を負って帰ってきた。兵士に支えられてリビングまで向かい、マティアスはその姿を心配そうに見ていた。また他の兵士も怪我をしている者が多く、家の前で座っていた。直ぐにハンナが治癒魔法で全員の怪我を治したが、しばらくは魔物退治に行くことは無理そうであった。
「大丈夫?」
マティアスはティーモの傍まで行って心配そうに声を掛ける。ティーモは大きな手で優しくマティアスの頭を撫でながら大丈夫だと繰り返し答えていた。
「何があったのですか?」
ハンナはティーモに怪我をした理由を尋ねた。
「オーク十匹とオークリーダーに遭遇した。全て倒したから心配ない、それに死者は出ていない。ほぼ全員怪我をしたが肉が大量に手に入ったのは幸いだった。今領民に解体と加工をお願いしてある、これが冬の前だったらもっと良かったんだろうけど」
「無事で本当に良かったわ。でもしばらく魔物狩りは出来ませんよ安静にしてね」
村には自警団もいるが主に門番や村の護衛を担当しており、魔物討伐はティーモと兵士の役割であった。村に危険が迫った場合は自警団に頑張ってもらうしかない。
マティアスはそんな様子を見て決心をした。夕飯後ハンナに抱っこされてベットに降ろされたときに声を掛けた。
「母さん、話がある」
「え!? マティお話をしてほしいの?」
ハンナは驚きを隠せなかった。寝かしつけの時に「お話しして」と言われたことはあるが、「話がある」というような言い方は今まで一度も無かったからだ。
「父さんも含めて、大事な話があるんだ」
「!? どうしたの! 一体何が…」
ハンナは慌てて取り乱したが、ティーモに相談するため部屋を急いで出て行った。直ぐにティーモが状況も分からずハンナと一緒にやってきた。
「父さん、母さん、大事な話があるんだ」
「マティ! なんでそんな話し方を? え? 何が…」
ティーモは心配そうに声を掛ける。
「実は生まれる前に神様に会ったんだ。そこで魔王を討伐するための使命を持って生れて来たんだ」
ティーモとハンナは驚き、時間が一瞬切り取られたように固まってしまった。




