02-07 猜疑6
父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)
姓アイヒェンドルフ
フランク王国第三王子タビー
原木放り投げてた六人、率先して下に降りて戦った兵士
兵士:アベル
兵士:バメイ
兵士:エアニー アベルの弟、ルイーサの彼氏
兵士:イエーガー 弓が上手い
兵士:ルイーサ バメイの妹、エアニーの彼女
兵士:ウルマー 狼の征服者という二つ名を持つ
明日、予定通りタビー一行は王都に帰還することになっていた。夕食の席でティーモがタビーに話しかける。
「タビー様、今回得た魔石のうち二十樽を王家に献上致したく」
「なんと! まことか! いやっ、今回の件で褒美も与えておらんのに。それにあれほどの魔石なら一つ金貨二枚以上になるのではないか? 八百個なら金貨千六百枚以上となるぞ」
「承知しております。私が領主として任命されてから納税免除をしてくれたお陰で領地の発展に注力することが出来ました。その御礼も含めてとなります」
「いや、国が東側の開拓に専念出来るように、有事の支援が出来ない代わりに南西の守備費用へ割り当ててもらうという意味もあったはずだ」
国としてはティーモが管理している地域の税収は微々たる物で、それを王都まで運び込もうとすると人件費が掛かりすぎて全く成り立たない。であればその分を現地で消費してもらった方がより効率的に税金が活用できると判断しているという理由もあった。
「引き続きこの砦を強固に、自領の発展に専念したいと思っておりますので、納税免除を継続していただければ幸いです」
「約束は出来ないがその要望を王に伝えることを引き受けよう」
ティーモとマティアスは、納税免除の期限は残っているが大量の魔石を確保したことで何かしらの理由をつけて徴収されることを恐れた。なのでこちらとしても許容できる範囲の物を先に納品してしまうことで被害を最小限に抑えたいという目論見があった。
「アイヒェンドルフよ、何か支援して欲しいことは無いのか? それも伝えよう」
「矢が尽きてしまって、その補充には多くの時間が掛かります。今後魔石と交換で補充しようと考えていますが、余剰数が限られているため前の水準まで回復するには長い期間が必要になるかと」
「分かった。この砦の重要性は理解しているつもりだ。その件も王に掛け合ってみよう」
翌日タビー一行は王都に向けて出立した。持ってきた馬車だけでは荷物が載らなかったので、荷車二台も合わせて献上した。こちらが王都まで荷物を輸送する手間を考えたら、荷物を預けることが出来たのはとてもラッキーであり、
荷車二台程度は許容出来る範囲であった。今は人手がいくらあっても足りない。
魔石取り作業は中止し、復興作業の担当を振り分け直した。そしてほぼ土台部分だけではあるが長さ約四.一km、高さ一m、厚さ一mほどの石壁が完成した。土魔法使いは二段目の製作を開始する。
「マティアス様は凄いなあ」
「ああ、その護衛が出来るんだから光栄だよな」
アベルはマティアスが堀を作っている作業を見て感心をしていた。それにバメイが応えていたた。先日の戦闘で率先して壁を降りた六人は、交代でマティアスの護衛を担当しており常に周囲を警戒していた。マティアスの行為をずっと見続けているため心酔するようになっていた。
鏃(矢の先端)の量産は作業開始初日で既に大量の在庫を確保できたので、一旦作業を中止している。魔導炉の燃料となる魔石も大量に確保しており、燃料費を考えずに作業することが出来た。また青銅のインゴットが大量にあるためそれを有効利用した。
矢の量産は軸と羽の準備がボトルネックとなった。羽は交易品のアヒルや鶏を使うことで用意出来た。ただ鶏の羽は矢羽に利用するには耐久性が低く空気抵抗が大きい短所があったが、戦闘用の使い捨てと割り切ることにした。
軸を作るには木を適切な大きさで切り出す必要があり、非常に手間が掛かる作業であった。少しずつは作成していくが今回のような戦になれば大量な矢が必要になる。今また同じような戦が起きた場合、とても準備が間に合わなかった。
そこで鍛冶作業では投擲用の槍を量産していた。穂先(槍の先端)も柄も青銅で作成することで量産の速度を上げた。全てを青銅製にすることで重量が非常に重くなったが、死線をくぐり抜けた兵士や村人には問題なく扱う事が可能だった。
「青銅のインゴットを三千個程追加で置いといたから。補充は三日後で良いかな?」
「ありがとうございます。五日後でも大丈夫だと思います」
マティアスは鍛冶工房の周りに青銅のインゴットを積み上げ、鍛冶師に納品報告をすると共に在庫の補充タイミングを確認していた。投擲用の槍は平均して一日九十本、青銅の消費量は六百三十kgであったので既存の在庫を合わせれば五日間分は十分間に合う量であった。
ぶどう弾の作成は分業化を行うことで効率的に行っていた。マストから弾の包を作成するが、切り出すための線を引く作業、切る作業、縫合作業を分業化していた。また線を引くときも墨つぼのような物を使い、染料の着いた紐を張ってピンと弾くとマストに一直線の線が引けた。
弾の材料は交易品の鉄砲の弾を流用した。一つに約二百発。なので一樽で二十発分が用意できた。百発分が計測出来る容器を使うことで数を数えるのも短縮出来た。
夜になり、広場には全住民と兵士が集合していた。ティーモが魔石取り出し作業に対してお礼をするためであった。
「魔石の取り出し作業ご苦労だった。お陰で猜疑も晴れた。皆服が血で汚してしまって申し訳ない。そこで参加者全員に麻生地を一反ずつ用意した。これで大人用の服であれば三着は作れるはずだ。ぜひ使って欲しい」
参加者全員から物凄い歓声が上がった。その場では村人に支給され、兵士には別途宿舎で配布される。
「なんて立派な生地だ」
「こんなきれいな生地は初めて見た」
「これを一人一反? 家族で一反じゃなくて? 信じられない」
服は貴重であり、今来ている服も大抵は自身で栽培または採集した麻から糸や布にしてから裁縫したか、親から子供に服が譲られて、補修しながら長年使っている物が殆どであった。
「皆にはそれで新しい服を作ってもらいたい。出来ればお金に変換することは控えて欲しい。それと引き続き朝と昼と夕食は配給制となる」
ティーモからの説明に対して特に文句はなかった。食事は大抵は具だくさんスープまたは粥、パンとビールかワインを主に食していた。
今は全員作業となっており、各家庭で食事を用意するのではなく、少人数が全員分の食事をつくって皆で食べる方針になっていた。女性達にはこの方針は評判が良かった、毎食の調理が不要になって自分の作業に集中出来るし、大抵の家にはかまどがなく、囲炉裏のような床に直火か、簡単な石製のかまどしかなく、家の中がすすだらけになる事が多かった。自宅での調理が減ることでその影響も受けにくくなった。
ちなみにこの村には商店と言えるような物は居酒屋兼よろず屋しかなかった。あるいは週に一度の市での売買が主流だった。布を売りたくてもそれに見合うお金が用意出来る者は居なかったので、布をそのまま売るのは難しかった。
この夜もマティアスがゲームにログインした際は、木材と石材を購入しつつ、他の交易品も購入と売却を繰り返し金も稼いだ。移動中は青銅や料理、交易品を製作しながら行動力が低下したら料理を食べて製作を継続する。短い時間で最大効率を考えながらゲームを行っていた。
矢のシャフトは青銅とかは適さないんだって。
カーボンは、ちょっと難しいっぽいので、止めといた。
ファンタジー素材、例えばミスリルとかなら適しているとかの設定出来るかもだけど、
貴重であってほしいから、それらも採用しなかった。




