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ユニークスキル<ゲームにログイン>で魔王退治  作者: ぐわじん
1章 異世界転生

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20/22

01-19 買付

父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)

 解毒剤は北海の港にある道具屋で販売されていて、価格は百Gで購入制限はなかった。


「ん、マティーどした? 買い物に行ったんじゃないのか?」

「とりあえず一万個買ってきた」

「はやっ!」

 マティアスが横になってから十分程度しか経っておらず、その速さに驚かずには居られなかった。


「解毒剤を買ってきたから、必要な人は使って! ここに百個置いとくから」

 直ぐに歓声があがった。苦しんでいた人たちに解毒剤が振る舞われる、目の痛みや呼吸が正常な状態になった。


「軽症者は目を洗ったり、口を良くすすいで! 症状がひどい人は我慢せずに解毒剤を使って! 沢山買ってきたから心配しないで!」


「マティアス様、ありがとうございます」

「さすがマティアス様じゃ」

「神様なのでは?」

「神童だ」

 神童マティアス、神の使いマティアスという二つ名が兵士や村人の中で浸透していった。


 兵士は煙に気をつけながら歩廊の上に出て狼達の様子を伺った。狼の体は炎に包まれており、黒い煙が充満して、咳き込んだりして苦しそうにのたうちまわるものが多かった。


「狼達は弱っているぞ、今こそ攻撃のチャンスだ!」

 兵士や村人達は、口元を布で覆って歩廊に上がっていく。そして火薬を落としたり、槍を投げ込んだ。

 マティアスは価値の低い木や青銅のインゴット、片手剣、を取り出した。槍はゲーム内では高価であり、現実世界で製作していた在庫を使っていた。

 槍の在庫も切れかけているため、現地で回収した物や価値の低い物でも役立つならそれに越したことは無いからだ。


「これらも投げてみて」

 片手剣を受け取った兵士は大きく振りかぶって投げつけると、三十m位先の狼に刺さった。


「俺ってこんなに力あったっけ?」

 自分で投げておきながらその威力に驚いていた。結構な効果が見込めることから、片手剣や青銅を投げつけていく。

 マティアスも三十mほどあるトウヒ(木の種類)、重さは一トン以上ある物をアイテムボックスから出して下に落とす。下敷きになった狼にそれなりにダメージを与えた。


「原木じゃイマイチだな」

 マティアスは片手剣を手に持って思いっきり投げつけると、ものすごい勢いで狼に当たり、刃が深く刺さった。明らかに致命傷だと分かった。


「こっちのほうが良いな。僕も投げようっと。出しておくから皆も投げてね」

 マティアスは数十本単位で片手剣を出していく。千本ほど出したところで、自分も物凄い勢いで片手剣を投げつけていく。


「すげぇ」

「一歳だよね?」

「神童だ」

 アイテムボックスから出しては投げるを繰り返す。五秒に一投くらいのペースで投げ続ける。他の者は下にある剣を拾って振りかぶって投げる、その後体勢を立て直し拾って投げる、八秒から十秒に一投くらいなのでその早さは格別であった。

 直ぐに片手剣の在庫は無くなったので青銅のインゴットを投げまくる。青銅のインゴットは重さ約六kg、それが早い速度で当たれば物凄い衝撃となる。


「大分減ったな」

 歩廊の上から槍を投げつつ、ティーモは次の対応を考え始める。既に火の勢いは弱まっていたが、煙を吸ったり目に入ったりした狼はのたうち回ったりしていた。無傷の狼はおらず、数も数千匹までに減っていた。

 そろそろ投げられるものは青銅のインゴット位しか残っておらず、それらの在庫も切れそうな状況であった。


「マティー、投擲物で価値の割に効果が高そうなものってあるか? 出来れば買い足して来てくれ」


「分かった。だとしたら片手剣かな、ちょっと買ってくる」

 片手剣は交易品で約九百G程度、一度に買える数は百本であった。スペインの港一箇所でしか売っておらず、その為大量に購入するのは難しかった。

 ただ自分で作ることも可能で、原価二千二百Gで最低二本最高で四本作れる。平均で二.三本位は作れるので購入と並行で作成も続ける。一時間ほどで八百本の片手剣を用意した。


 ログアウトすると状況が変化していた。狼達が凶暴化していて門に激しく衝突していた。煙玉や炎で攻撃を加えていたが、気が狂ったように突進されており、破られるのは時間の問題であった。


「片手剣買ってきたよ。使って」

 兵士たちが片手剣を門の下にいる狼達に向かって投げつける。何本かは刺さったが、狼達が動き回っているので外れることが多い状況であった。


 激しい衝突により、ついに門が破壊された。空いた隙間から狼が雪崩込んでくる。一度に入ってこれる狼の数は多くは無いが、一匹、一匹と着実に増えていった。


「上を塞げ」

 門の上は塞がれたため、上ではなく、砦内部側の門に向かって再び突進を始める。助走する距離も短く、また狭い空間に狼が集中したので、突進しにくくなったのは救いであった。


「どうしますか?」

 副官がティーモに指示を仰いだ。


「マティー石油はまだあるか? ばら撒いてくれ黒煙で弱らせたい」


「分かった。これ使って」

 マティアスは石油(原油)が入った樽をティーモに渡し、ティーモは樽から原油を下に向かって少しだけ振りまいた。直ぐに火魔法で引火させると、門の中は火に包まれて黒煙が上がり始めた。狼達は黒煙の影響で激しく苦しみ始め、のたうち回っていた。


「ごっほ、ごっほ、攻撃が弱まったみたいだ。っごっほ」

 ティーモは黒い煙を吸い込みながらも、下の状況を報告した。


 凶暴化しているものの戦えそうな狼はおよそ百匹まで減っていた。生き残っている狼の大半は瀕死の状態であった。戦いは最終段階に来ていた。

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