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ユニークスキル<ゲームにログイン>で魔王退治  作者: ぐわじん
1章 異世界転生

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01-17 反撃

父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)

「塀の内部を補強するにしても限度がある。破られそうな場所の状況はどうなっている?」

 ティーモの問いに兵士の一人が答えた。


「西門の左一箇所、右二箇所で、それらの後ろには追加で配置した石材と木材の壁が出来ていています」


「とりあえず塀が壊れても何とかなるか?」


「父さん、歩廊が壊されたら歩廊の上で移動が出来なくなる。迅速な兵士の移動が困難になるよ。それに壊れた歩廊を足場に砦内に入ってくると思う」


「木材だと耐久度が気になるな。前回の凶暴化の継続時間は六時間くらいか? それまでは持ちこたえられるかもしれん。

 この後作る壁は全て石材に出来るか?」


「無理かな。千個石材あるけど三十個上に積み上げたら三十三列しかないよ。二時間貰えれば石材を六百個買ってくるけど、それでも二十列分にしかならない。あと石材を積み上げる時間も必要だし…。石材をただ積み上げただけだと衝撃で倒れるかも知れない。厚みが欲しいし出来れば…土で盛って側面を石にしたいかな」


「それだと今回は間に合わんな。煙玉のような、狼の攻撃を鈍らせる物は無いか?」


「狼を退ける対策は、火をつけるくらいしか思いつかないな。ただ火は制御が難しいから塀まで燃えちゃうかも知れないんで使えなかったけど。後は肉でもばらまいたら食いついて攻撃が収まるかも」


「先日使ったアクアビットか、燃えるんだよなあの酒は…。それはどれくらい出せるんだ?」


「えーと酒瓶で二万本なら直ぐにでも。一時間もあれば千個は追加で用意出来ると思う。ウォッカも同じくらい酒精が強いはずだからそれも出せば二千本だせるよ」


「ええ! 二万!」「嘘だろ」「なんという」

 マティーの発言にティーモや周囲が衝撃を受けて動揺していた。


「このままではジリ貧だ。やるしか無い! やるぞ!」

 ティーモは宣言し周囲を見渡す、みな頷いて同意したため、歩廊の上に上がり、アクアビットを大量に出していく。


「まずは火薬で吹き飛んだ場所に瓶を投げるぞ。投げ返されると面倒だからな。タイミングを合わせろよ。三、二、一、今だ!」

 火薬に引火し複数の狼が吹き飛ばされて数十m位の隙間が出来た。そこに数十本のアクアビットが投げ込まれ、地面に当たって酒が周囲に散らばった。そこに火魔法や火矢が打ち込まれる。

 しばらくすると火が燃え広がった。激しく燃えるというよりも火の絨毯が敷かれたような感じで、弱い炎が揺らいでいた。狼がその炎の中に入るが焦げる程度で体が火に包まれるほどではなかった。更に何十本も瓶が投げ込まれ、体に酒が掛かった狼はしばらくすると火に包みこまれた。


「よし落とすぞ」

 空いた樽の中にアクアビットをいっぱいに注ぎ込み、それを数十m先に落とす。落ちた樽は直ぐには壊れなかったが、狼が強く樽に当たって亀裂が入り、酒が周囲に散らばった。そこに火魔法が打ち込まれると酒を浴びた狼が激しく燃えた。


「燃えているけど致命傷にはなってなさそうだな」

「火は広がっているけど、塀が燃えるほどではないな」

 兵士達はそれぞれ感想を口にしながらも、アクアビットの瓶を投げたり、下に向かってばら撒いたりしていた。


「少なからずダメージは与えているだろうが、効果は今ひとつか。もう少し狼にまとわりついて永く燃えてくれると良いのだがな」


「これはどうかな?」

 ティーモの要望を聞いて、マティアスは考えた案を試してみる。交易品のニットを槍に巻き付けた。そのニットにアクアビットを染み込ませて、兵士が燃えている付近に投げ込んだ。

 投げられた槍は狼に突き刺さり、直ぐに火が槍に巻き付けたニットに燃え移った。狼はしばらくのたうち回り、その際に燃えている槍が他の狼にも触れていた。また狼が倒れた後も槍の火は消えること無く燃え続けていた。


 今度はマストを取り出して、帆の部分にアクアビットを染み込ませたのち、歩廊の上から落とした。空気抵抗によりマストが思った方向には落ちず、塀にぶつかったりしたが、その後は地面に落ちて、複数の狼達の上に被さった。そこに火魔法が打ち込まれ帆が燃え始める。マストの下に入った狼やその上に乗った狼は火傷を負っていた。

 酒を投げ込むよりも何かしらに含ませてから放ったほうが効果が高いと思われたため、ニットと槍を用意して投げつけ始める。物に引火させたことで長く火を燃やすことが可能となった。煙玉や炎により狼達の攻撃は鈍くなって、しばらくすると狼の発光が収まり始めた。


「凶暴化が終わったぞ」

(うずくま)っているぞ」

 凶暴化が終わった影響からか、その場で倒れ込む狼が数多く見えた。兵士たちは興奮して周囲の仲間に話しかけた。


「攻撃しろ」

 火縄銃や火薬、魔法、炎による攻撃で狼達が倒されていく。まだ日がくれていないが、狼達は森に引き返し始めた。


「助かった」

「もうだいぶ減ったよなあ。あと一日くらいで倒せそうだよな」

 兵士たちにも狼の数が大分減っていることは、目に見えて理解出来た。残りの狼は約二万匹となった。

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