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ユニークスキル<ゲームにログイン>で魔王退治  作者: ぐわじん
1章 異世界転生

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10/22

01-10 船

父ティーモ、母ハンナ、兄ニコラス、姉ミア、主人公マティアス(マティー)

 歩廊から火矢を何十本と放って周囲の状況を確認する。目に見える範囲には狼たちが見えなくなったため、兵士やティーモにおんぶされたマティー達は門の外に出た。


 そして門の外に船を一瞬だけ出して大きさを確認する。地面に設置する前に再度格納した。


「え?」「はっ?」「ひいぃー」「いま一瞬なにか大きなものが、大きなものが!」

 兵士たちは驚くが、ティーモやマティーは驚かず、真剣に考えていた。ティーモがマティーを背負ったまま壁に沿って歩くと先程格納した石が一列に置かれていった。昨日も木が消えたり出たり、倉庫に物資が山積みになったりするのを見ていたが、慣れることも無く、兵士たちはただただ驚いていた。


「おい。驚くのも良いが警戒は怠るなよ」

「「「はい!」」」

 ティーモに(たしな)められ、兵士たちは警戒を再開する。ある程度石を置いたら、壁から少し離れた場所にも石を積んでいった。再度一瞬だけ船を出して間隔を確認すると直ぐに船をしまって、調整しながら石の設定を再開する。


「ここにさっきの大きな物を置くから、石を出せる人はこの石積みを補強して欲しい」

 マティーの指示に疑問をいだくものの、ティーモからも従うように言われ、その指示に応じて石を積んでいった。


「じゃあ船を出すよ。皆下がって」

 マティアスが船を出すと、横に積んだ石の間に舟は収まって水平を保った。


「おお!」「なんだんだ!」「夢じゃないのか?」

 皆陸に住んでいるため船を見たことがなく、大きな建造物が何かは分からない。分からないがものすごい物だとは理解していた。


「凄いな。よくやったマティー。ところでこれは何という船なんだい?」


「これはキャラックだよ。昔使っていた船で今は別のを使っているからここに置いても問題は無いよ。改造して大砲が多く積めるようにしといたから」

 取り出したキャラックは、長さが五十mほどあり、甲板までの高さは三mほどであった。船首楼と船尾楼には大砲が備え付けられており、船の側面に開いた隙間から大砲を出して撃つことが可能であった。


「しかしちょっと低いな。これだと狼がよじ登ってくるかもしれない。…とはいえ一旦船に上がって準備をするか」

 ティーモ一行は足場を作って船に上がった。そして大砲の操作を理解した兵士を船首楼と船尾楼に配置し、火薬とぶどう弾や砲弾、冷却用の水を置いたところで日が昇り始めた。

 森の中にいた狼たちは門の前に多くの人がいるのが見え、一斉に砦に向かって走り始めた。船に乗った兵たちは楼に籠り、扉の前に荷物を置いて防御を固めた。


「とんどもない数だぞ!」「無理だろ」「ああ」

 森の中から出てきた狼は数を数えるのも困難な程であった。横幅は三百mほど、森から出てきている群れの長さは四百mを超えており、三十万匹の大群であった。

 そんな中、船の中にいる兵士たちは大砲を撃つ準備を行い、船首楼にいるマティー達は射撃準備が整ったため、大砲を放った。放たれたぶどう弾は発射されると直ぐに袋が破れて周囲に広く散らばった。狼たちは散弾の餌食になり、一度に数十匹が絶命し、その倍の数の狼が負傷した。

 大砲は撃った衝撃で二mほど後ろに下がる。丈夫な縄で船側面と大砲がくくりつけられており、縄が最大まで伸びたところで止まった。開けていた窓を閉めて砲身を清掃して再び火薬と弾を込める。船尾楼からも同様に砲撃が始まった。歩廊の上から矢や火縄銃で攻撃が行われる。


 狼たちは船の横の足場を使って数匹づつ甲板に上がってきた。そして船尾楼や船首楼の扉に向かって体当たりを行ってくる。甲板にあがった狼は最優先で歩廊から攻撃されるが、狼たちは気にせず攻め立てて来た。狼達は眼の前に獲物がいるため、戦意は衰えなかった。

 甲板の上には狼の死体が山積みになっていき、足の踏み場がなくなってきた。扉の前も死体が積み上がっており体当たりが不可能になっていた。そのため扉ではなく楼の上に登って、床を引っ掻いたり噛みつこうとし始めた。歩廊からの攻撃で楼の上も死体が山積みになり床が見えなくなった。


 狼たちは船の上に登るものの、成すすべ無く殺されていく。船の周りにも死体が山積みになり、船に登りやすくはなったが登ったところで何の意味も無く死んでいった。ただ死体が増え始めたため、船首楼側の大砲用の窓にも体当たりが可能になってきた。大砲を撃つために窓を開けたところに狼が入って来た。直ぐに兵士が剣で攻撃するが、死体が窓の隙間に挟まっって閉まらなくなった。

 窓は上に持ち上げられて下に閉じる構造であるため、間に物が挟まるとその隙間から頭をねじ込み狼が入ってこようとしていた。マティーは挟まっていた狼を収納し、兵士が狼の顔を攻撃したことで窓が閉じてひとまずは危機を乗り切った。


 狼たちは攻撃が届きそうであることを理解し、船尾楼や船首楼に対して攻撃が強くなった。船尾楼側も同様の危機に陥ったが、幸いにも防衛に成功して窓を閉めることが出来た。窓や船体を攻撃するものの死体の上では力が入れられず、今のところ破られる心配はなかった。しかし楼の中からも攻撃が出来なかった。

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