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話し合いを終え、古城に帰ると、クレイと子供たちが待っていた。
「ただいま、お前たち」
「おかえりなさい!」
「どうだった?残れるようになった?」
「じいちゃん、怒ってなかった?」
子供たちから、質問の矢がふる。
「まだ、なんにも決まってない」
「え?何もって……じゃあ、何話してきたのよ?」
マーテルが不満そうに聞いてきた。
彼女は話し合いに参加したがったのだが、大人たちが「子供は学校で勉強してろ」と追い出したのだ。と言っても、ミルドレッド先生も話し合いに参加していたので、子供たちは自習をしていたはずだ。
「なんつーか……これからの方針?これからどういう話し合いをしていこうか……的な」
「は?何よそれ」
「うーん……まだ、お互い手探り状態って感じだなあ……喧嘩をしたいわけじゃないってことだけは、わかったかな……」
オレの言葉に、マーテルはちょっと考える顔をした後、口を開いた。
「……わりと平和的だったの?怒ったり叫んだりする人はいなかったの?」
「ああ、多少感情的にはなったけど、あれくらいで済んでびっくりしてるよ」
「そっか……」
マーテルは少しほっとしたようだった。
「吸血鬼なんて信用できない、都に連絡して魔法使いとか退魔師をよんでやるー!って人はいなかったのね」
「ああ、いなかった。まあ、腹の中で考えている人はいるかもだけど……」
オレが恐れていた事の一つがそれだ。
ステアの事が都のお偉方の耳に入り、国を挙げての大騒ぎになる事。
こうなってしまったら、もう話し合いはできなくなる。この村の事を知らない人間たちは、兵士でも魔法使いでも何でも使って「領土」から吸血鬼の脅威を追い払おうとするだろう。下手したら、メーラとその家族を捕らえるまで安心できないなんてことになり、この辺り一帯に厳戒態勢が引かれてしまう恐れがある。
ここは、昔から平和な土地で、そういう混乱には慣れていない。兵士や魔法使いがやって来て、吸血鬼狩りが始まったら……
(うーん……それは止めてほしいなあ……吸血鬼を追うような仕事についている奴らってのは、乱暴者が多いからなあ……)
冒険者だったオレも同類なのだが、そんなオレでも近づきたくない人種はいた。
魔獣狩りで一定の成果を上げている人間は、殺しのプロだ。
できれば、この村には入れたくない。
「まあ、この村にはケビンがいるもんね。みんなそこまで怖がっているわけじゃないのよね」
マーテルは安心したように頷いた。
「そうだな」
マーテルはどこまで理解しているだろうか?勘のいい彼女だが、人生経験の浅い彼女はまだ、本当の意味で分かってはいないだろう。
村の大人たちが、吸血鬼という恐怖を感じながらも、都に助けを求めるのを躊躇っている理由。
それは、吸血鬼ほどではないが、確実に手に負えない人種をこの村に入れることになるからだ。
同じ人間であるゆえに、彼らの行動は推測しやすい。荒くれ者と呼ばれる彼らが、吸血鬼退治以外で何をしでかすか……
しかし、そんな連中を呼び出さざるを得なくなる場合もある。
(絶対にそんな事起こさせねえぞ)
オレは拳を握りしめる。




