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 ブレウワルド国王杯が終わり、王都中の人々が優勝した財務大臣のドラゴン、『アウスワイヒェン』のうわさ話をしている間に、ブレウワルド王妃杯がとり行われる日がやってきた。


 今度は王都中の人々はブレウワルド王妃杯についてのうわさで持ち切りとなった。王都の人々の多くがドラゴンレースを娯楽として楽しんでいるのだった。


 ブレウワルド王妃杯に出場するドラゴンは以下の通りであった。


 1番はジルバーン公爵所有の『コンプレット』であった。騎乗は公爵の次男アルセウスである。ジルバーン公爵のドラゴンは惜しいところまで行くが勝ちきれない。そんな評判をひっくり返したいところである。


 2番は軍務大臣の長男アスタイン卿の『リエラ』であった。騎乗はアスタイン卿自身が行う。軍務閥の貴族のドラゴンの活躍が今一つであると見られている。このドラゴンでそれを見返したいところである。


 3番は王立騎士団所属騎士のヒルリンダー卿のドラゴン、『ゼーグーター』であった。騎乗はヒルリンダー卿本人である。昨年の建国400年記念レースにも出場したドラゴンが今年もやってきた。今度こそ優勝したいところである。


 4番はラングボルツ侯爵の『ガイスト』であった。騎乗はラングボルツ侯爵の息子コーネリアスである。国王杯で敗れた悔しさをこのドラゴンで名誉挽回となるだろうか。


 5番は王立騎士団所属騎士のロウルスタット卿の『ゾーガ』であった。騎乗はロウルスタット卿本人である。王立騎士団の意地を見せつけることができるだろうか。


 6番はエルウェイト男爵の『ザイポン』だった。騎乗はエルウェイト男爵家の従士アンセム。男爵家の名に恥じない走りを見せつけたいところだ。


 7番にはニューフェルダー伯爵の『ディシュフォン』だった。伯爵家の陪臣貴族であるヨータル卿が騎乗する。国王杯は勝てなかった悔しさをここでぶつけたいところである。


 8番はスタンバッシェ男爵の『スタンバン』騎乗はスタンバッシェ男爵本人である。国王杯に続き宮廷貴族のドラゴンが優勝するのだろうか。


 9番は王立騎士団所属騎士のスミート卿の『チャフト』だった。騎乗はスミート卿本人である。王立騎士団のドラゴンがすごいところを見せておきたい。


 以上9頭がブレウワルド王妃杯に出場するドラゴン達である。この9頭のドラゴンが競争しブレウワルド王国一の牝ドラゴンを決めるのだ。国王杯に負けないくらいの名レースになってくれることを僕は期待する。


 いよいよ王妃殿下がステージ上に登壇し挨拶をする段になった。


 「ブレウワルド王国民たちよ、本日もまたよく集まってくれました。先日行われたブレウワルド国王杯でブレウワルド一のドラゴンの座が争われたのは皆の記憶にも新しいことでしょう。本日は牝のドラゴンだけで行われるレース、ブレウワルド王妃杯が行われます。つまりブレウワルド王国一の牝ドラゴンを決めるレースです。ブレウワルド国王杯にも劣らない名レースがきっと行われるだろうと期待しております。本日集まった皆さんもぜひ楽しんでいってください」


 王妃殿下の挨拶は終わり、降壇していよいよ出場ドラゴンたちの入場となった。楽隊が音楽を演奏し、それにあわせて1番のドラゴンから順に入場してくる。最後のドラゴンが入場すると楽隊の音楽は止み、ドラゴンがスタート位置へと移動する。そしてスタート合図のワイヤーが張られて間もなくスターとするというところまで来た。


 ワイヤーが持ち上げられレースがスタートする。各ドラゴンそろったスタートだ。先頭を積極的に取ろうとするドラゴンはいない。どのドラゴンも先頭を走るのを嫌っているらしく、集団のままレースが進んでいく。


 第1コーナーから第2コーナーへと差し掛かる。ここで7番のニューフェルダー伯爵の『ディシュフォン』がようやく先頭へと押し出される形で出てくる。2番手は1番のジルバーン公爵所有の『コンプレット』が続いていく。その後にはひとかたまりとなった集団が走っている。建国400年記念レースも国王杯もっ先に行ったドラゴンは優勝できていないから、先頭を走るのをどのドラゴンも嫌っている感じだ。


 直線へと入るが、先頭は変わらず7番の『ディシュフォン』、ドラゴン1頭分の差で2番手には1番の『コンプレット』が続いている。またさらにドラゴン1頭分の差があって3番手は5番の王立騎士団所属騎士のロウルスタット卿の『ゾーガ』が走っている。そしてほとんど差がなく残りのドラゴンたちが集団で走っている。この集団はばらけることなくゴールまでもつれ込むのだろうか。


 第3コーナー、第4コーナーを回って先頭は変わらず7番の『ディシュフォン』、後続にドラゴン2頭分ほどの差をつけている。続いて2番手は1番の『コンプレット』が走っている。さらにドラゴン1頭分の差があって3番手は5番の『ゾーガ』、4番手は2番の軍務大臣の長男アスタイン卿の『リエラ』か。このドラゴンとは差があまりなく集団が走っている。


 直線に入って観衆の目の前をドラゴンが走り、大声援が送られてくる。順位は変わらずに先頭は7番の『ディシュフォン』、続いて2番手は1番の『コンプレット』が走っている。さらにはドラゴン1頭分の差があって3番手は5番の『ゾーガ』4番手は集団になっており順位が目まぐるしく変わってわからない。集団がばらけないまま2周目に突入する。


 再び第1コーナーから第2コーナーへと差し掛かる。先頭は変わらず7番の『ディシュフォン』後続との差はドラゴン1頭分に縮まっている。2番手は1番の『コンプレット』が走っている。さらにドラゴン2頭分の差があって3番手は5番の『ゾーガ』、さらにドラゴン1頭分あいて4番手以降はひとかたまりの集団となっている。集団はまだばらけない。


 直線に入って先頭は変わらず7番の『ディシュフォン』後続との差はドラゴン半頭分に縮まっている。2番手は1番の『コンプレット』が走っている。さらにドラゴン1頭分の差があって3番手は5番の『ゾーガ』が差を詰めてきた。そして4番手は4番のラングボルツ侯爵の『ガイスト』が上がってきた。2番の『リエラ』もつられるように上がってきた。


 レースは佳境へと入ってくる。ここからどうなるか僕は楽しみだった。

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