表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/69

64

 無事にブレウワルド国王杯、王妃杯の予選が終了した。どのレースも大変迫力がある見ごたえのあるレースで僕は大いに満足ししていた。そして本番のレースも非常に楽しみだった。


 僕だけでなく王都の民も予選レースでもとても盛り上がっていた。レース場にはあふれるほどの人が押し寄せ、皆楽しんで帰っていく。多くの王都の民はドラゴンレースでどのドラゴンが勝つかを予想しあい、その結果に喜んだり残念がったりしていた。ドラゴンレースは王都の民に受け入れられていた。


 予選レースも終わり、本選である国王杯、王妃杯の行われる日が近づいてきた。そんなある日、バルディウス殿下はジルバーン公爵様に呼び出されていた。


 「父上、ブレウワルド国王杯、王妃杯への本戦出場おめでとうございます。ところでいったい今日は何の御用でしょうか?」

 「うむ、以前に話したと思うが、公爵領内でドラゴンレースを独自に開催する案をおぼえているか?」

 「ええ、おぼえていますが……」

 「いろいろと思案したが公爵領内でドラゴンレースをすることが決定になった」

 「そうなのですか。それは良かったですね」

 「実はそれに絡んであるうわさを聞いた。ラングボルツ侯爵とニューフェルダー伯爵もそれぞれの領内でドラゴンレースを行うというものだ」

 「ラングボルツ侯爵領とニューフェルダー伯爵領のどちらもドラゴンの畜産が盛んな土地ですからね。領内でドラゴンレースを行うというのも頷けます。ドラゴンレースが広まって多くの国民に楽しんでもらえる、実に素晴らしいことです」

 「ドラゴンの産地としてはジルバーン公爵領も負けてはいない。それを知らしめるためにも我が領内で行われるドラゴンレースはラングボルツ侯爵やニューフェルダー伯爵が行うものより素晴らしいものでなければならないと思わないか?バルディウスよ」

 「それは確かに公爵領で行われるドラゴンレースが格下のラングボルツ侯爵領やニューフェルダー伯爵領で行われるものより劣っているのは問題だとは思いますが……」

 「うむ、そうであろう。そのためにもバルディウス、お前の知恵を借りてよりよいドラゴンレースにしなければと思ってな」

 

 公爵様と殿下はジルバーン公爵領内で行われるドラゴンレースについて話し合っている。僕はそれを聞きながら大いに喜んでいた。ドラゴンレースが王都のほかにも行われるというのだ。しかもそれは1か所ではなく、3か所もドラゴンレースを行うのだ。王都でドラゴンレースが行われるだけでも嬉しかったが、さらに3か所もドラゴンレースが行われる場所が増える、それが僕にはたまらなく嬉しい事だった。

 ドラゴンレースが行われること、それが僕の念願だったわけだが、今はその念願だったドラゴンレースが定期的に開催されるようになり、しかも王都だけではなく他の都市でも行われるようになる。これでドラゴンレースがなくなるということはまずないだろう。あとはこの目で僕がドラゴンレースを見続けることさえできれば僕は満足だ。きっと前世での競馬で人々の話題をさらうスターホースがたくさん出てきたように、ドラゴンレースでも次々とすごいドラゴンが出て僕を楽しませてくれるだろう。


 殿下と公爵様のお話は終わったようだ。公爵様はドラゴンレースとドラゴンの畜産にかなりの額を投資することに決めたようだ。ドラゴンレースは益々安泰だと僕が思っていると、殿下は言った。

 「前回の建国400年の記念レースと今回の国王杯、王妃杯のレースにドラゴンを登録している領主貴族を見ますと偏りがあるように思いますけどどうしてなんでしょうか?」

 「領主はそれぞれ考え方に違いがあってな、王国の行事にあまり関心を持たず積極的に参加することもなく自領の安定にこそ力を入れている、そういう領主たちが一定数いるのだ。ドラゴンレースに積極的ではない領主たちはそういう者達だ。」

 「その者達をドラゴンレースに参加させる方法はないのですかね。できるだけ多くの者達が参加することでこそドラゴンレースは盛り上がると思うのですが」

 「その者達を参加させるというのは難しいな。彼らは王国内での名誉すらあまり欲しておらん。彼らが望むのは自領を安定、発展させていくための実利だ。レースの賞金額を今よりももっと高額にすればあるいは参加するようになるかもしれんな」


 僕はこの話を聞いて驚いた。貴族は皆名誉を欲しており、それを餌にすれば皆ドラゴンレースへ出場すると思っていた。だから建国400年の記念レースや国王杯、王妃杯といった名誉があるレースが行われるよう殿下を通して仕向けたのだった。だが、名誉だけでは動かない貴族もいるというのは僕には意外だった。レースに参加する貴族がいつも同じであることが続いてはマンネリ化してしまいドラゴンレースの面白さを損なうかもしれない。後々のためにレース賞金をより高額することも検討しなければならないようだ。まだまだドラゴンレースのシステムには改善が必要であることがわかった。

 

 「もうすぐ国王杯、王妃杯が行われますが、父上は今年こそ勝つ自信がおありですか?」

 「自信はあるがやってみないとわからんな。前回も勝つつもりではいたのだ。ラングボルツ侯爵のドラゴン、『アプスラーゲン』さえいなければ勝てていたのだ。今年国王杯出場する『ルーゾン』は前回出た『ベロステン』よりも現在のところ実力は上回っている。王妃杯に出る『コンプレット』も非常に良く走るドラゴンだ。どちらのドラゴンも優勝を狙えるだけの実力は十分にあると思う」

 「確かに予選ではどちらのドラゴンも素晴らしいレースをして勝ちあがっていました。本番のレースが楽しみですね」

 「ああ、今年こそぜひ優勝してほしいものだ。私だけでなく我が領地全体の名誉がかかっているのだ。無様な真似は見せられない。今年はレース場を調教場所として借り受けることができるのが幸いだな。レースまでドラゴンがいい状態であることを保たせることができる。去年とは大違いだ」

 「ええ、有料ですが皆様が利用してくれてます。今年のレースは益々見ものですね」


 ドラゴンレースについて公爵様と殿下の話は尽きることがなかった。それだけ公爵様もドラゴンレースに入れ込んでいるのだろう。

 そして、とうとう待ちに待った国王杯のレース当日がやって来るのであった。

  

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ