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今日はドラゴンレース実行委員会のメンバーの集まりがあった。レース場の近辺に出店する店舗が決まったことについての報告と、先日財務大臣様から話があったレース場をドラゴンの調教場所として貸し出せないかという件についての話し合いだった。
レース場の近辺に出店するお店については、ウェスカー殿がすでに入札による選定を行い、決定した結果が報告された。出店店舗は飲食店の屋台で、郊外にあり近くにお店がないレース場の利便性が良くなるものと期待されているのだった。
レース場をドラゴンの調教に使うことについては、現在もレース場を王都軍の練兵場に使っていることを考慮し、お互い邪魔にならないように使用日時をきちんと分けて行われることになった。わずかな金額であるがドラゴンの調教へ場所を貸し出すための料金をとることにして、ドラゴンレース実行委員会の収入になるように決まった。
そして次は春に行われるブレウワルド国王杯とブレウワルド王妃杯の予選についてレース出場希望者の締め切りと、予選レースの抽選について話し合われた。前回のドラゴンレースの予選は一般に非公開で行われたが、今回からは予選レースは公開で行われ、賭けの対象となる。そのため、予選レースといえどもよく注意を払い行われなければならない。そのことを実行委員会のメンバーで共有して今回の話し合いはお開きとなった。
「殿下。いよいよ次のレースシーズンが近づいてきましたね。今年はどんなレースになるか楽しみです。素晴らしいレースが見られるといいですね」
「アルベルト君は本当にドラゴンレースが大好きですね。私はレース運営に何か不手際はないものかとひやひやしいながらレースを見ていたというのに……」
「ドラゴンレース実行委員会のメンバーは皆様優秀ですから大丈夫ですよ。それより今年は何頭くらいのドラゴンがレースに登録されるのでしょうか?すごい足の速いドラゴンはいるのでしょうか?今から楽しみですね」
僕が楽しみにしているうちに季節はあっという間に過ぎて春となり予選レースの始まる時期となった。ブレウワルド国王杯に登録しているドラゴンは38頭、ブレウワルド王妃杯に登録しているドラゴンは24頭になった。国王杯の予選は9頭立てのレースが2回2着までが本戦出場、10頭立ての予選が2回3着までが本戦出場、王妃杯は8頭立ての予選レースを3回3着までが本戦出場ということになった。
僕らはまず出場するドラゴンとそのオーナーの情報を集めた。レースの開催前にその集めた情報を整理したうえで王都中に布告し、王都の民たちに勝利するドラゴンへ賭けるための情報提供をしなければならないからだ。そして全ての準備が整い、順に予選レースが始まるのだった。
まずは国王杯の予選1回目が始まった。1着に来たのは去年の建国400年記念レースの覇者ラングボルツ侯爵のドラゴン、『アプスラーゲン』で去年に引き続き素晴らしい走りを見せた。2着には
王立騎士団所属のデフロス卿のドラゴン、『グリネスブロウト』が入り、去年同様予選突破をした。 人々は去年同様の活躍を見せた2頭に対し惜しみない称賛を送っていた。また今年も『アプスラーゲン』が勝つのではないか、早くもそう予想をするものも少なくはなかった。
次に行われた国王杯の予選2回目の結果は次の通りだった。1着はジルバーン公爵のドラゴン『ルーゾン』がとり、去年と違うドラゴンながらも再び1着で予選を勝ち抜いたジルバーン公爵の底力が見える結果となった。2着には王立騎士団の所属騎士であるスタッズ卿のドラゴン『ハッジカイト』が入着した。
『ルーゾン』が見せた活躍で『アプスラーゲン』が本戦でも勝つと予想していた人々もまた迷い始めることになった。それほど『ルーゾン』が見せた勝ちっぷりもすごいものだった。
国王杯予選3回目は次のような結果になった。1着は財務大臣のドラゴン『アウスワイヒェン』だった。大臣がわざわざ購入したという自慢のドラゴンがその素質を見せたのだった。2着にはブラウスブラド子爵のドラゴンである『ワンダバル』で去年同様の予選突破をしたのだった。3着には王立騎士団所属騎士ブライト卿のドラゴン、『ベッジオン』が2着と僅差ながらも入着したのだった。
このレースでの『アウスワイヒェン』はとても強かった。2着に大きく差をつけて勝ったのだ。それを見て最強のドラゴンは『アウスワイヒェン』だというものも少なくなかった。
国王杯予選4回目は次のような結果だった。1着はニューフェルダー伯爵の『ブレンザ』が去年より実力をつけて予選を突破した。2着にはマルシュホール男爵のドラゴン、『マハト』が入着した。そして』3着には王立騎士団所属騎士のスプレゲン卿のドラゴンである『ポジティオン』が滑り込んだのだった。
去年そこそこの結果だった『ブレンザ』が堂々の1着でゴールした。人々はこのドラゴンが成長して去年より力をつけたことを感じた。本選はいよいよどのドラゴンが勝ってもおかしくないものとなった。
予選レースはどれもが大盛り上がりで大成功だった。人々は自分が賭けたドラゴンの着順に悲喜こもごもで、大勢の人々がドラゴンレースに夢中になっていることがわかった。王都中のどこでもドラゴンレースの話題が聞こえるくらいで、人々は今年のブレウワルド国王杯の優勝するドラゴンの予想に余念がなかった。
人々が国王杯に夢中になっている中、今度は王妃杯の予選が始まった。
王妃杯予選1回目は、1着はジルバーン公爵所有の『コンプレット』だった。ジルバーン公爵の所有するドラゴンの層の厚さが伺える結果となった。2着は軍務大臣の長男アスタイン卿の『リエラ』であった。3着は王立騎士団所属騎士のヒルリンダー卿のドラゴン、『ゼーグーター』が去年に引き続いて予選突破した。
王妃杯予選2回目は、1着はラングボルツ侯爵の『ガイスト』だった。ラングボルツ侯爵の領地には良いドラゴンの産地があることが証明される勝利だった。2着には王立騎士団所属騎士のロウルスタット卿の『ゾーガ』、3着はエルウェイト男爵の『ザイポン』だった。
王妃杯予選3回目は、1着にはニューフェルダー伯爵の『ディシュフォン』だった。ニューフェルダー伯爵領もドラゴンの産地として有名だ。2着はスタンバッシェ男爵の『スタンバン』、3着は王立騎士団所属騎士のスミート卿の『チャフト』だった。
こうして国王杯、王妃杯両レースの本戦出場ドラゴンが決まったことで王都はより活気があふれるのであった。




