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バルディウス殿下はルナリー様と婚約が正式に決まったのでその御披露目をしたいと考えていた。そのための宴を開いてもらうために殿下はジルバーン公爵様に面会の依頼したのだった。面会依頼はすぐに通り、ジルバーン公爵様と面会することになった。
「父上、お忙しい中面会を許していただきありがとうございます」
「いったいどうしたのだ、バルディウスよ。早くも公爵邸に戻って来たくなったのか?」
「いえ、父上。そうではありません。お願いがあって参りました」
「ほう、お願いとは何だ?」
「私とルナリーの婚約が正式なものとなりました。そこで私の婚約者を皆にお披露目する宴を開きたいのですが、それを父上にお願いしたいのです」
「なるほど、婚約者のお披露目の宴を開いてほしいとな……」
ジルバーン公爵様はそう言うと少し考え込んだ。
「ええ、父上。是非お願いします」
「うむ、まあいいだろう。お前が婚約した祝いとして何かしてやろうと思っていたところだ。お前の婚約者のお披露目の宴を開くことにしてやろう」
「父上、感謝いたします」
「うむ、宴を開くとしても準備に時間がかかる。すぐにというわけにはいかない」
「はい、わかっております」
「ならばよい。宴を楽しみに待っているがよい」
「わかりました、父上。よろしくお願いします」
こうして、ジルバーン公爵様主催で殿下の婚約者のお披露目の宴が行われることになった。宴の日は思っていたよりもすぐに来た。ジルバーン公爵様はかなり力を入れて宴の準備をしたようだった。
「父上、本日は私たちのために盛大な宴を開いていただきありがとうございます」
「ジルバーン公爵様、ありがとうございます」
バルディウス殿下とルナリー様が公爵様にお礼の言葉を述べた。
「今日は大勢の貴族を呼んでいる。二人の仲睦まじい姿を思う存分見せつけるがよい」
ジルバーン公爵様がからかうように言った。
「二人の婚約祝いの宴でもあるのだから楽しんでいってくださいね」
公爵妃様がそう言った。
「それでは宴を始めようか」
「皆様本日は忙しい中、我が3男バルディウスがクライネン家のご令嬢であるルナリー嬢と婚約したことを祝いに来てくれたこと感謝する。それでは二人の前途を祝して乾杯!」
公爵様の乾杯の音頭で宴が始まった。
「さて、それでは早速婚約した二人に挨拶させてもらおうかな」
そう言ってやってきたのはヴィクトール王太子殿下とベアトリーチェ王女殿下の2人だった。
「これは両殿下。本来はこちらからあいさつに出向かなくてはいけないところ、わざわざありがとうございます」
「うむ、婚約おめでとう、バルディウス、ルナリー嬢」
「婚約おめでとございます、バルディウス、ルナリーさん」
「ドラゴンレースの模擬レース以来だな、バルディウスよ。建国400年目の記念式典のドラゴンレースは見事だった。次のドラゴンレースも期待しているぞ」
「ありがとうございます。次回のドラゴンレースも期待に沿えるよう頑張ります」
「うむ、楽しみにしているぞ。ではな」
そう言って両殿下は去っていった。
「次は私が挨拶させてもらおうかな」
そう言ってやってきたのは何と財務大臣様とウェスカー様だった。
「これは財務大臣様とウェスカー様。わざわざ挨拶に来ていただきありがとうございます」
「うむ、今日は二人が主役だからな。クライネン家は我が寄子でもあるしな。まずは二人とも婚約おめでとう」
「ありがとうございます、財務大臣様」
「実はなバルディウス殿下、次回のドラゴンレースに向けて優秀なドラゴンを仕入れたのだ。だが王都に住んでいると調教の場に困ってのう。レース場を調教の場として貸し出しができないか検討してほしいのだ」
「いい考えですね。王都に住む貴族のドラゴンが調教不足だったのは私も気になっておりました。レース場は現在も王都軍の練兵場としても使用してますから調整が必要ですね。エルドリッチ子爵様やブロンクス様とも相談しなければなりませんが前向きに検討したいと思います」
「もちろん貸し出しすることになったら有料にすべきですね。料金の算定をしなくては……」
そうウェスカー様が言った。
「むむう、有料か……。仕方ないことだな。しっかり検討してくれたまえ、では失礼する」
財務大臣様がそう言って去っていった。
次にやってきたのはエルドリッチ子爵様だった。
「やあ、お二人とも婚約おめでとう。私も二人を引き合わせたかいがあったよ」
「その節は子爵様にはお世話になりました。おかげさまで婚約することができました。ありがとうございます」
「子爵様ありがとうございます」
殿下とルナリー様が二人で頭を下げる。
「実は先ほど財務大臣様からお話があったのですが、レース場をドラゴンの調教用に貸し出してほしいということなんですが……」
「ふむ、興味深い話であるな。後ほどブロンクス殿をまじえて協議する必要があるな」
「よろしくお願いします」
「婚約披露の場でこれ以上仕事の話をしても仕方あるまい。それはのちほどということで。それでは失礼する」
「はい、子爵様」
こうして殿下とルナリー様は次々と挨拶に来る貴族たちをさばき婚約者のお披露目という目的を果たしたのだった。すべての貴族と挨拶をした殿下たちは流石に疲れの色が見えていたが、宴が終わるまで毅然とした態度をとっていたのだった。
宴も終わり来客たちが帰ると疲れが出たのか殿下とルナリー様は座り込んでしまった。やはり相当疲れていたようだ。
「相当疲れたようだな」
ジルバーン公爵様が声をかける。
「ええ、疲れました。ですが婚約者のお披露目ができて満足です」
「そうか、目的が果たせて何よりだ。二人とも相当疲れた様子であるな。これから帰るのは大変であろう。わが屋敷へ泊っていくと良い」
「そうですね。父上のいう通り泊まっていくことにしますか。ルナリーもそうしたらどうですか?」
「では、お言葉に甘えて泊まっていくことにしましょう」
こうして宴は成功して終わり、バルディウス殿下とルナリー様は公爵邸へと泊まっていくことになった。




