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その後、バルディウス殿下とルナリー様のデートは何度か行われた。順調に二人が仲を深めていく中で、殿下はジルバーン公爵様に呼び出された。
「父上、どんなご用件でしょう?」
「バルディウス、最近親しくしている令嬢がるらしいではないか。私には報告がないようだが?」
「ええ、財務官僚閥のクライネン家のご令嬢であるルナリー嬢と仲良くさせていただいていますが?」
「うむ。お前がそこまで仲良くしているのだ。一度私も会っておこうと思ってな」
「父上と会せるのですか?私は構いませんが……」
「ならば一度晩餐に招こうか。ミューゼルも会ってみたいと言っていたしな」
「母上もですか……」
「親ならば気になるのは当然であろう。ともかく晩餐に呼ぶことは決定だ。そこで一度会って話をしてみようと思う。晩餐への招待は私のほうから出しておく」
「わかりました。父上の良きように取り計らってください」
そういうことで、ルナリー様を公爵邸に呼んで晩餐が行われることに決まった。殿下は突然の決定に動揺しているようだった。
「殿下、結婚するつもりならいつかは公爵様達に引き合わせなければなりません。それが少し早まっただけです。落ち着いてください。それよりも公爵様が晩餐にルナリー様を招待するつもりなのをあらかじめ知らせておいた方がいいと思います」
「そ、そうですね。父上からの招待状がいきなり届くよりも、私から知らせてワンクッションおく方がルナリーも十分な準備ができますね。では早速連絡しておきましょう。サモンド手配を……」
「はい、わかりました」
数日後、ルナリー様を招待した晩餐の日となった。ルナリー様だけでなくルナリー様の兄君のドレイク様もいっしょにやってきたのだった。どうやらジルバーン公爵様は二人分の招待状を出したようだった。
「ようこそわが屋敷へ、ドレイク・クライネン殿、ルナリー・クライネン嬢。私がジグマルト・ジルバーン公爵である。今日はささやかながらもお二人のために晩餐を用意した。是非とも楽しんでいってくれたまえ」
「お初にお目にかかります公爵閣下。ドレイク・クライネンと申します。本日はお招きにあずかりまして、大変光栄に存じます。我らのためにとおっしゃった晩餐、楽しませていただきます」
「はじめまして、公爵閣下。ルナリー・クライネンです。こうしてお会いできる日を楽しみにしておりました。本日はよろしくお願いします」
「では父上、控室まで私がドレイク様達を案内しますので……」
「うむ、では晩餐の支度ができたら食堂でまた会おう」
無事に初対面の挨拶は済み、殿下はドレイク様達を控室へと案内する。控室につくとサモンドさんが言った。
「こちらが控室になっています。晩餐の支度ができるまでもうしばし時間がかかります。こちらでお待ちください。何かございましたら使用人にお伝えください」
「ドレイク様、ルナリー、今日はおいでくださりありがとうございます。急な父上からの招待に驚かれたでしょう」
「ええ、大変驚きましたがそれとともに公爵閣下にご招待されることは大変光栄なことです」
ドレイク様が答える
「私もバルディウス様から連絡をいただいた時には大変驚きましたわ。でもこうして公爵閣下にご招待されて大変に嬉しいですわ」
「ご迷惑でないのなら何よりです。なにしろ急に父上がお呼びしたいと言いだしまして。私も驚いたのですよ。それではお二方晩餐の支度が終わるまでしばしお待ちください」
「わかりました。楽しみに待っています」
晩餐の支度ができ、一同が食堂で会する。
「ドレイク殿、ルナリー嬢。まずは我が妻を紹介させていただこう。妻のミューゼルだ」
「はじめましてミューゼル・ジルバーンです。」
「はじめまして、公爵妃様。ドレイク・クライネンと申します」
「はじめまして、公爵妃様。ルナリー・クライネンです。よろしくおねがいしますわ」
「それぞれの紹介は済んだな。では晩餐をいただこうか」
ジルバーン公爵様の言葉を皮切りに晩餐が始まる。香辛料の香りがきいていて実にうまそうな食事だ。僕がおいしそうな食事に気をとられていると、公爵妃様が口を開いた。
「ルナリーさんはうちのバルディウスと仲がよろしいということですが、どのようなお付き合いをしているのかしら?」
いきなりどストレートな質問である。しかしルナリー様はひるまず笑顔で答えた。
「バルディウス様とは非常に仲良くさせていただいております。先日も二人で王都内を散策しておりました。ちょうど旅芸人たちが演劇を上演していてとても面白かったのですよ」
「まあ、そうなんですの。バルディウスはあなたと仲良くなったことを教えてくれなくて……。是非今日は二人のことをいろいろ聞かせてほしいわ」
「公爵妃様がそうおっしゃるならいくらでもお聞かせしますわ」
「それでは二人が出会ったときから今までのいきさつを聞かせてくださいますか?」
「ええ、ではバルディウス様と出会った時からお聞かせしますわ……」
公爵妃様は二人の出会いから今までのことすべてを聞きたがり、ルナリー様もそれに少しもひるまず笑顔で答えていく。今この場の会話は女性たちに支配されていた。公爵妃様が質問し、それにルナリー様が答えていく。これがしばらく繰り返されていた。そこに公爵様が口をはさんできた。
「ルナリー嬢とバルディウスの仲が良いことは分かった。二人は結婚する気はあるのか?」
これまたどストレートな質問が飛び出した。二人はどうこたえるのだろうか?まるで我がことのように僕がドキドキしているとバルディウス殿下は真剣に答えた。
「私はルナリーと結婚したいと思っています」
「バルディウス様……」
「バルディウスはこう言っているがルナリー嬢の方はどうだ?」
「私もバルディウス様と結婚したいと思っております」
「ならばあとはクライネン家の家長であるドレイク殿に意見を聞かねばな。ドレイク殿はどう思っているのだ?」
「私としては妹に異存がないのであればこの結婚を進めたいと思っています」
「我が公爵家としてもこの結婚に異存はない。これで二人の結婚に異存がある者はこの場にはいないということになった。これからは二人を婚約したものとして扱おうと思うが異存がある者はいるか?……では、二人は婚約したものとする」
ジルバーン公爵様の発言で殿下たちの婚約は決まった。僕はこのお目出度い出来事を非常に喜んだのであった。




