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次の日は2回目の予選レースが行われる日となっていた。予選レースに参加する10名の貴族たちが集まっている。1回目の予選レースから大領地を持つブラウスブラド子爵様が有力な優勝候補だ。また他には、王立騎士団所属の騎士であるスプレゲン卿が任務でドラゴンに乗り慣れているため有力者として名を挙げられていた。だが小領地の領主貴族も負けてはいない。ハッフンスタッド卿、クライア卿、ブラズゴルド卿などの小領地の領主貴族たちも虎視眈々と優勝を狙っていた。
楽隊の音楽がなりドラゴンが入場する。スプレゲン卿や、ハッフンスタッド卿を始めとする小領地の領主貴族たちは自らドラゴンに乗り、レースに参加するようだ。スタート位置にドラゴンたちが並び、いよいよ2回目の予選レースがスタートする。
レース開始直後最初に飛び出したのはブラズゴルド卿のドラゴンだった。そのほかのドラゴンを引っ張るように豪快に先頭を走っていく。第一コーナー。第二コーナーを抜けて直線に入るとクライア卿のドラゴンが先頭へと並びかけるように加速した。しかし、ブラズゴルド卿のドラゴンは先頭を譲らない。こうして先頭が競り合っている間に第三コーナーへと差し掛かる。先頭はまだブラズゴルド卿のドラゴンである。第三コナーから第四コーナーへを回って先頭のブラズゴルド卿のドラゴンは位置を下げ、先頭をクライア卿のドラゴンへと明け渡す。
そして2周目が始まる。クライア卿のドラゴンを先頭にドラゴンの集団が観客席正面を走っていく。そして再び第一コーナーを回り、第二コーナーを通り過ぎていく。ここでまた先頭が入れ替わる。これもまた、小領地領主貴族のドラゴンだった。向こう正面の直線を駆け抜け第三コーナーへと差し掛かると先頭のドラゴンがまた入れ替わった。ペースが早かったのだろう。前を走っていたドラゴンからその脚が止まっていく。第四コーナーを過ぎて最後の直線となる。
スプレゲン卿のドラゴンがいっきに先頭へと躍り出る。続いてブラウスブラド子爵のドラゴンとハッフンスタッド卿のドラゴンがそれを追いかける。鞭を入れてのたたき合いを制して1着になったのはスプレゲン卿のドラゴンである『ポジティオン』、2着にはブラウスブラド子爵のドラゴンである『ワンダバル』であった。
レースに出場した貴族たちは互いの健闘を称えあい、そして1着になったスプレゲン卿と2着になったブラウスブラド子爵をお祝いした。各自レース運びを反省したり、普段どのようにドラゴンを扱っているかなどの話に花を咲かせていた。
ドラゴンレース実行委員会のメンバーは、今日も無事に予選レースが終わったことに安堵しつつも明日の3回目の予選レースがうまくいくように準備を行っていた。
そして3回目の予選レースが行われていた。その結果1着はラングボルツ侯爵のドラゴン、『アプスラーゲン』、2着はマルシュホール男爵のドラゴン、『トラウリッヒ』であった。レースでは終始安定した走りを誇った2頭が本番へと進めることになった。結局このレースも大領地の領主貴族が勝利した。
さらに翌日には4回目の予選レースが行われることになった。1着はデフロス卿のドラゴン、『グリネスブロウト』、2着はゾンドルフ卿のドラゴン、『インクルバツィオン』に決まった。二人とも王立騎士団の所属騎士で、騎士団の層の厚さを見せつけるものとなった。
最後の予選レースが行われる日が来た。1着はフレヒバウム卿のドラゴン、『ピーハディー』、2着はヒルリンダー卿のドラゴン、『ゼーグーター』に決まった。フレヒバウム卿は村一つの小領地の領主だが、そのドラゴンの速さは圧倒的でスタートから先頭に立つと他のドラゴンの追随を許さずそのままゴールまで逃げ切った。2着のヒルリンダー卿は王立騎士団の所属騎士で騎士団のドラゴンもよく鍛えられていることを証明する形となった。
すべての予選が終わり、本番へと進むことになったドラゴンたちが出そろった。大領地の領主貴族と王立騎士団の所属騎士という日ごろからドラゴンに乗ってよく鍛えられている者達が本番へと出場でき、反対に王都に住む宮廷騎士のドラゴンは日ごろの鍛錬が足りずに予選落ちとなる結果になった。
「バルディウス殿下、すべての予選が無事に終わりいよいよ本番の建国400年目の記念式典のレースを残すだけとなりましたね」
「そうですね、アルベルト君。予選は終わりました。残すは本番のみです」
「まずは予選を勝ち上がって、本番に出場するドラゴンとその所有者を布告して広めなければなりません。誰のどんなドラゴンが出るのかわからなければ王都の民衆は賭けるために投票券を買ってくれないでしょう」
「アルベルト君の言う通り、本番に出場するドラゴンとその所有者を布告して広めましょう。布告する内容はこちらで考えて、布告には王都軍の兵士を使いましょう。他にやり残していることはないでしょうか?」
「他にやるべきことは特にないと思います。エルドリッチ子爵様に確認をとられると良いと存じます」
「そうしましょう」
バルディウス殿下は、エルドリッチ子爵に本番出場者の布告と他に残っている仕事はないかを尋ねた。子爵も本番出場者の布告について賛同した。そして、王都では本番出場者について布告が行われた。
布告が行われると、王都の者達は建国400年目の記念式典が行われる日が近づいてきたことを実感し、また、どの貴族が所有するドラゴンが勝つかを熱心に話し合うようになっていた。それは平民だけじゃなくて貴族も同じであった。王都中の話題が建国400年目の記念式典とそのレースでどのドラゴンが勝つかというものばかりになったといってもいいくらいドラゴンレースは盛り上がっていた。早く記念式典当日にならないかと多くのものが楽しみにしていたのだった。やがて、そのドラゴンレースについての話題は王都中からその周辺の町や村へと広がり、国中へと広まっていった。そして国中が建国400年目の記念式典とドラゴンレースの話題で盛り上がる中、ついに建国400年目の記念式典の日が訪れたのだった。




