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ブレウワルド王国の貴族の間では、ブレウワルド王国建国400年目の記念式典にドラゴンレースが行われることが噂になっていた。建国400年目の記念式典のドラゴンレースで自分のドラゴンが優勝し、みんなの前で称えられる栄誉を授かることを噂をしている貴族たちは夢見ているのであった。しかも、ブレウワルド王国のドラゴンレースは優秀なドラゴンの血を継いでいくため血統制を取り入れた。レースで優勝したドラゴンはその血をつないでいくだろう。自分のドラゴンがのちに続くドラゴンたちの祖となるのも多くの貴族たちには魅力的に見えていた。
レース参加者の募集が始まると参加しようとしていた多くの貴族たちの中の一部の貴族たちは二の足を踏んだ。決して安くはない血統登録料とレース参加料が必要だったからである。だが、それでも多くの貴族たちはレースに参加することに決めた。最近のブレウワルド王国では国境線沿いの小さな小競り合いはあるが、大きな戦争は起こっておらず、誰もが大きな名誉を打ち立てる場を求めていたのだった。そこに建国400年目の記念式典で行われるドラゴンレースという格好の機会が現れたのだ。レースに優勝すれば多くの人達に噂をされたり、吟遊詩人達の歌の題材にされたりして国中に自分の名を轟かせられるかもしれない。これは名誉を大切にする貴族たちにとって重要なことである。そのため、お金に余裕のある領地持ち貴族や爵位持ちである宮廷貴族たちはこぞってドラゴンレースに参加したのであった。
そして予選レースが始まることとなった。予選レースは5回に分けて行われ、その上位2頭のドラゴンが本番へと出場できることになった。予選レースは本番と同じくレース場のコース2周で行われる。観客動員はなしでレース関係者の身が集まって行うことに決まった。
予選レース1回目の当日を迎えた。レースにドラゴンを出場させる貴族たちが集まっている。中心にいるのはジルバーン公爵だった。
「ジルバーン公爵様、お久しぶりでございます。領地を接しているとはいえ、なかなか会う機会もございませんね。たまに会えたかと思えばドラゴンレースの予選会場とは意外でした」
「これはモルゲンソン卿、久しぶりですな。このドラゴンレースはうちの息子であるバルディウスが提案したものなので、私も参加して盛り上げるのに貢献しようと思いましてな。うちの騎士団から選りすぐったドラゴンを連れてきました。騎乗する次男のアルセウスもはりきっていますよ」
「選ぶほどドラゴンがいてうらやましいですね。私のドラゴンも活躍できればよいのですが……」
「ジルバーン公爵様が選りすぐったドラゴンをお出しになったということですが、私も負けておりませんよ。我が領地にあるドラゴンの牧場から自慢のドラゴンを連れてきましたから」
「これはニューフェルダー伯爵殿。随分とご自信がおありのようですな。レースが楽しみとなって参りましたな」
「ええ、公爵様のドラゴンにもひけをとらないと思っています」
「それはいいレースになりそうですな」
レース前に貴族たちが話をしている。それを見ていたアルベルトがバルディウス殿下に言った。
「ジルバー公爵様がいらっしゃってますね。公爵様もドラゴンレースに興味があるとは知りませんでした」
「父上だけじゃなくほとんどの貴族が興味を持っているみたいですよ。爵位持ちの上級貴族や普段自領でドラゴンを乗り回してる領主貴族はほとんどがレースに参加していますよ」
「そうですか。貴族の皆様がドラゴンレースに興味を持ってくださるのはうれしいです。提案したかいがありました。あとは王都のみんなが興味を持ってくれるかですね」
「3回目の模擬レースの時に集められた王都軍の兵士たちの反応は良かったのですから心配いりませんよ。それよりまずは予選レースを無事に終わらせることが大事です」
楽隊が演奏を始めて、ドラゴンたちの入場がはじまった。ドラゴンをレースに出場させている貴族たちは話をやめて自分のドラゴンを期待を持ってみつめる。すべてのドラゴンが入場し終えて、楽隊が音楽の演奏をやめる。そしてドラゴンたちはスタート位置へと誘導されいく。すべてのドラゴンがスタート位置へと並び、スタートの時を待つ。やがて張られたワイヤーが持ちあげられてレースはスタートした。終始先頭が目まぐるしく入れ替わる好レースであった。最後の直線でその豪脚を見せてそれを制したのは、ジルバーン公爵のベロステンというドラゴンで、それと僅差で2着にきたのはニューフェルダー伯爵のブレンザというドラゴンだった。この2頭が本番である建国400年目の記念式典のレースに出られることになった。
レースが終わると貴族たちは集まり、再び話し始めた。
「おめでとうございます。ジルバーン公爵様、ニューフェルダー伯爵様」
「ああ、ありがとうモルゲンソン卿。私のドラゴンが勝ってくれてホッとしているよ。ニューフェルダー伯爵殿もおめでとう。本番では逆転されかねんほどの僅差だったな」
「ありがとうございます、ジルバーン公爵様、モルゲンソン卿。本番では優勝目指して頑張りたいと思います。」
負けて本番の出場を逃した貴族たちは肩を落としながらも、本番に出場できるジルバーン公爵とニューフェルダー伯爵のドラゴンを褒め称えた。予選を勝ち抜いた二人は満更でもない顔でその称賛を受けていた。
ドラゴンレース実行委員会のメンバーは、無事に1回目の予選レースを終えられてホッとしていた。
「無事にレースが終わりましたな。ジルバーン公爵のドラゴンが優勝ですな。おめでとう、バルディウス殿下」
「エルドリッチ子爵様、ありがとうございます。父上もきっと喜んでいるでしょう。レースも無事に終わったことは喜ばしいです。この調子で残りの予選レースも頑張りましょう」
「それにしても大領地の領主であるお二人が勝ちぬきましたな。やはり、それだけ良いドラゴンがいるということですかな?」
「きっとそうでしょう。大領地の領主だけに多くのドラゴンを所有しているのですから、その中でも優秀なドラゴンを選りすぐってきたのでしょう。せいぜい1、2頭しか所有してない小領地の領主たちや宮廷貴族たちより有利なのでしょう」
こうして、1回目の予選レースは無事に終わった。そしてあと4回、予選レースは残っているのだった。




