45
エルドリッチ子爵様のお屋敷で建国400年目の記念式典の本番を模した形で行われた模擬レースの成功の慰労とお祝いの宴がとり行われることになった。参加者はドラゴンレース実行委員会のメンバーである。当然バルディウス殿下も呼ばれている。宴にふさわしい服装を準備し、僕達3人は宴が行われるエルドリッチ子爵様のお屋敷へと向かった。
エルドリッチ子爵様のお屋敷につくとサモンドさんが門番に宴の招待状を見せながら、お屋敷に入る許可を得るための口上を述べた。
「我らはバルディウス殿下一行である。本日子のお屋敷で行われる宴に参加するために参りました。招待状はこちらです。」
「お待ちしておりました。ただいま係の者に案内させるので少々お待ちください」
門番がそう言い、案内のための使用人が呼ばれる。
「お待たせいたしました、ただいまご案内いたします」
僕らは使用人に案内されエルドリッチ子爵様のお屋敷へと入って行った。
バルディウス殿下が席へと案内される。辺りの席を見てみると空席が目立っている。僕がそう思っていると、ウェスカー様が案内されて席に着いた。次にハミルトン様が案内されてくる。どうやら宴の席に案内されるのも順番があるらしい。そう思いながら眺めているうちに席は埋まっていった。
すべての席が埋まり、模擬レース成功の慰労と祝いの宴が始まろうとしていた。
「皆様本日お集まりいただきありがとうございます。皆様のお力添えのおかげで、先日行われました模擬レースは大成功を治めました。そこで本日は皆様をねぎらい、そして模擬レースの成功をお祝いしようと思います。それでは皆様模擬レースの大成功お疲れさまでした。乾杯!」
エルドリッチ子爵様の挨拶が終わり宴が始まった。
バルディウス殿下がエルドリッチ子爵様のところへと向かう。そして言った。
「本日はお招きありがとうございます。無事にここまで建国400年目の記念式典の準備を整えることができましたね」
「うむ、十分にやりごたえのあるお役目だったな。皆が優秀なおかげで何とか模擬レースの成功までこぎつけたが、なにせドラゴンレースは初めての試みでなかなか大変だったな」
「ええ、私はお役目を頂いたのが初めてでなかなか苦労いたしました、こうもうまくいったのは優秀な家臣のおかげでもあります」
「その優秀な家臣を従えるというのはなかなか難しいことです。それができるというのが殿下の力量を示しております」
「いえ、子爵様のほうこそ、我ら実行委員会のメンバーを束ね模擬レースを成功に導きました。その辣腕ぶりには感服いたしました」
「私は事業を興し慣れているからです。殿下も今回のことは良い経験になったでしょう?」
「ええ、そうであればいいなと思っております。おっと、ちょっとあいさつするつもりが長くなってしまいました、私のほかにも子爵様にあいさつしたい者の邪魔はできません。これで失礼します」
「うむ。では殿下、宴を楽しんでいってください」
殿下の子爵様に対するあいさつが終わった。殿下は席に戻りしばし料理などを楽しむ。すると、ウェスカー様が誰か男性を伴って殿下のもとへやってきた。
「殿下、模擬レース成功のごあいさつをさせていただきます」
「ウェスカー様も予算管理から物品等の発注など多岐にわたる仕事、ご苦労様でした」
「ありがとうございます、殿下。ところで紹介したい者がいるんですが……」
「ええ、そちらの方ですか?」
「はい、投票券の販売とオッズ計算を行う者達を束ねる責任者のドレイクです」
「殿下、お初にお目にかかります。ただいま紹介にあずかりましたドレイクと申します」
「はじめまして、ドレイク様。ジルバーン公爵が3男のバルディウスです」
「ドレイクは我が財務大臣家の寄子でございます。その能力は保証します」
「投票券の販売はドラゴンレースの収益にかかわる重要な部門です。先日の模擬レースの時と違って本番は大勢の人々が投票券を購入するでしょう。混乱をきたさないよう頑張ってください」
「はい、承知しております。精一杯勤めさせていただきます」
「では続いて投票券の販売部門についた財務官僚たちを紹介したいと思います。まず……」
そうウェスカー様が言って殿下と財務官僚たちとの顔合わせが始まった。それは結構な人数であったが、殿下は疲れたそぶりも見せずそれぞれとあいさつしていた。
財務官僚たちとの挨拶が終わると、ハミルトン様とユリウス様の法務官僚コンビがやってきて挨拶をした。
「バルディウス殿下、この度は模擬レースの成功おめでとうございます」
「お二方の注力があってこそです。お疲れさまでした」
「殿下のおかげでよい仕事をすることができました」
ハミルトン様がそう言う。
「私もレースの着順を判定する重要な役割が得られて良かったと思っています」
「まだこれから予選レースと本番があります。気を抜かないで頑張りましょう」
「そうでしたな、殿下。まだ終わりではありませんでしたな」
「ええ、予選と本番も頑張ります」
そう言って二人は去っていった。
次にブロンクス様が見知らぬ男性を伴ってやってきた。
「バルディウス殿下、ご挨拶させていただきます」
「ブロンクス様、お疲れさまです」
「今日は部下を連れてきております。王都軍のドラゴンと騎乗兵を統括するマリシアスです」
「はじめまして、バルディウス殿下。マリシアスと申します。お見知りおきください」
「はじめまして、マリシアス様。ジルバーン公爵が3男のバルディウスです。3度も模擬レースを行い、王都軍のドラゴンとその騎乗兵には苦労をかけました。ご協力ありがとうございました」
「なんの。普段遠保への特別な伝令がなければ活躍のない王都軍のドラゴンたちが活躍の場を得られたのです。みんなが感謝しておりました」
「みんなの協力があってこそのも日レースの成功でした十分にねぎらってあげてください」
「はい。殿下の言葉は必ず伝えます。では殿下、これにて失礼します」
ブロンクス様とマリシアス様は一礼をして去っていった。
僕は、自分がドラゴンレースを見たくて建国400年目の記念式典にドラゴンレースを提案したが、それを成功させるために大勢の人が関わり、そしてそれぞれの役割を果たしてついに模擬レースの成功までこぎつけたことに大いに感謝していた。やっとのことで夢がかなう、そのことで僕は喜びに満ちていた。




