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 ブレウワルド王国ドラゴンレース実行委員会が組織されることになったが、実行委員長であるエルドリッチ子爵様と副実行委員長であるバルディウス殿下しか委員が決まっていない。早急に不足している人材を集めなければならない。そう思ったのか、エルドリッチ子爵様が言った。

 「まず、財務との予算の折衝ができて経理ができる人間が必要ですね。財務大臣様、何人か人材を回してくださいませんか?」

 「うむ、信頼のおける人を回そう」

 「組織を維持し動かしていくには規則が必要です。当委員会の会則を制定できる人物の斡旋を法務大臣様お願いします。それと、ドラゴンレースを公営ギャンブルとして行うための関係法令の制定もお願いします」

 「任せておいてよ」

 「軍務大臣、王都郊外にある練兵場をドラゴンレースの会場にするための人手を経費節約のため王都軍から集めたいと思います。王都軍の兵士を指揮できる者を紹介してください」

 「あい、わかった。探しておこう」

 「ひとまずの人材集めはこれでいいでしょう。さあ、バルディウス殿下これから忙しくなりますな」

 エルドリッチ子爵様はそう言って笑った。流石にドラゴンレースの実行委員長に選ばれただけのある采配をいきなり見せつけてくれた。

 「流石はエルドリッチ子爵様です。頼りになります」

 バルディウス殿下はそう言った。

 「ひとまず話し合うべきことは話し終えたか?お茶にしよう」

 陛下がそう言うと使用人はスッと滑るようにドアから出ていきお茶の準備をしに行った。


 お茶が淹れられ、雑談の時間が訪れた。

 「リバーシといい今回のドラゴンレースに計画案といい、バルディウスには意外な才能があったのだな」

 ヴィクトール王太子殿下がそうおっしゃった。

 「実はリバーシもドラゴンレースも私が考えたものではありません、ここにいるアルベルトが私のために考えてくれました」

 殿下が本当のことをカミングアウトする。別に黙って自分の手柄にすればいいのに。僕がそう思っていると財務大臣様が言った。

 「ほう、こんな子供があれだけのものを考えだしたのか。バルディウス殿下はいい家臣を見つけましたな」

 「主人の功は家臣の功、家臣の功は主人の功といいますからな。いい家臣を従えるのは主人の器量ですからな」

 軍務大臣様からも褒められる。

 「どうだアルベルトとやら。バルディウスに仕えるのは辞めて私に仕えないか?」

 「伯父上、引き抜きしようとしないでください!」

 「どうだ、バルディウスより良い待遇を保証するぞ。直答を許す。答えてみよ」

 「お答えします。国王陛下のお言葉はありがたいのですが、お許しいただけるのであれば、僕は僕を見出してくださったバルディウス殿下にこのまま仕えようと思います」

 「そうか、それは残念だ」

 「信じてましたよ、アルベルト君」

 「見上げた忠誠心ですな」

 僕は陛下に仕えて余計な仕事をするよりも、開催することが決まったドラゴンレースを何とか成功させて、継続的事業としてやっていけるようにし、のんびりとドラゴンレースを観戦して生活していきたいだけなんだけどね。そんな密かな野望はうまく隠すことができ、殿下に忠誠を誓っているように見せることに成功した。

 

 こうして雑談も終わり僕達は帰路へと着くことになった。

 「殿下、これから忙しくなりますね」

 「ええ、ですが念願の役職に就くことができました。こんなにも早く役職につけたのはアルベルト君のおかげです。ありがとうございます」

 「僕は殿下の家臣です。殿下のために働けたのなら本望です」

 「お前が殿下の家臣になってくれて本当に良かったぜ。殿下今夜は殿下の就職祝いにパーッと豪勢に行きましょう」

 「いいですね。これから忙しくなりますし、景気付けに豪勢な夕食にしましょう」


 こうして僕らはその日の夜は豪勢な夕食を食べて英気を養った。そして次の日から早速忙しい日々が始まった。まずはエルドリッチ子爵様が各大臣様に要望した人材の顔合わせが行われた。1人は財務大臣様の次男のウェスカー様であった。大臣様の次男だけあって財務には詳しく、また、予算を引っ張ってくるにも非常に頼りになりそうだった。法務大臣様が用意してくれた人はベテランの法務官僚のハミルトン様だった。長いこと法務官僚を務めており、法律の立案に関しての見識は見事なものという話だった。軍務大臣が探し出して来た人は軍閥系貴族のブロンクス様だった。まだ若い上にイケメンでその上筋肉質な人だった。普段は王都軍で兵士の訓練の指揮をとっているらしい。

 集まった人達でまずは自己紹介が行われた。それが終わると次に行われたのがドラゴンレースとはどんなものかというビジョンの共有である。ドラゴンレースとは、血統を登録されたドラゴンに騎乗しコースを走りその順位をつける。そして同時にその順位を予想しお金を賭けて当たったらその倍率に応じた配当金がもらえるものである。まずは僕にとっては当たり前であるこのことを共有することが第一優先課題だった。みんながドラゴンレースとはどういうものかを理解したところで、次はそれぞれが何をすべきかを話し合った。

 まずはレース場を作らねばならない。平民は立ち見でもよいが、王族席や貴族席を設けておかねばならない。そのために資材を買う予算を組んで財務からお金を引っ張り出し買わなければならない。それはウェスカー様の仕事となった。ハミルトン様にはドラゴンレース実行委員会の会則の制定と、ドラゴンレースに関して必要な関係法令の洗い出しを行ってもらうことになった。そしてブロンクス様には、王都軍兵士を率いて練兵場をドラゴンレースのレース場に改造してもらうことになった。そして、殿下とエルドリッチ子爵様はそれぞれの仕事をチェックすることになった。


 こうしてブレウワルド王国ドラゴンレース実行委員会はその役割を果たすべく動き出したのであった。


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