表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/69

39

 ブレウワルド王国ドラゴンレース実行委員会が動き始めたころ、宮廷から一つの発表があった。それは、ブレウワルド王国の建国400年目の記念式典で行う催しものは公募の結果ドラゴンレースを行うことに決まったことだった。国中の貴族が所有するドラゴンの中から一番速く走るドラゴンを大勢の観衆の見守るレースで決める。そして、その順位を予測してお金を賭ける。そのようなイベントがブレウワルド王国の建国400年目の記念式典で行われることが周知されたのだった。

 人々の反応はおおむね好評だった。そもそも娯楽があまり発展してないブレウワルド王国の中にあって、国一番のドラゴンをレースで決めるということに人々はおおいに興味を持ったのだった。既にどこどこの貴族が所有しているドラゴンが速いらしいといううわさが人々の間を飛び交い始めていた。


 ブレウワルド王国ドラゴンレース実行委員会の活動が始まってからしばらくたったある日、今日もドラゴンレース実行委員会の会議が開かれていた。

 殿下がまず発言した。

 「ドラゴンレースの開催が発表されたみたいですけどなかなか好評みたいですね」 

 「庶民は娯楽に飢えていたようですからね、ドラゴンレースはちょうどよいガス抜きとなるでしょう」

 エルドリッチ子爵様が答える。そしてウェスカー様が言った。

 「貴族の間でもぜひ自分のドラゴンを参加させてくれという要望が多いそうですよ」

 「あまりに多くの参加希望者が集まると困りますね。レース場は一度にたくさんのドラゴンを走らせられるほど広くありません。何かいい案を考えなければなりません」

 エルドリッチ子爵様が言った。

 「あの、発言してもよろしいでしょうか?」

 僕は本来バルディウス殿下の従者であっては発言権はない。だから発言すための許可をもらう。

 「アルベルト君、何かいい案でもあるのですか?」

 殿下が僕にそう問うことで僕の発言権が生じたので僕は言った。

 「参加希望者の数ですが、ドラゴンの血統登録料とレースの登録料を徴収することである程度抑えることができると思います。それに予算の補てんにもなりますし」

 殿下が言った。

 「それはいい案ですね。ウェスカー様、適切な登録料の算定をお願いします」

 「わかりました。やっておきましょう」

 殿下がさらに言った。

 「他に何か問題はないのでしょうか?ブロンクス様、レース場の改築の方は順調でしょうか?」

 「現在も部下に任せて改築のほうを進めている。特にスケジュールに遅れが出ているということはない。順調そのものだ」

 「それは素晴らしいですね。レース場は早めに完成させて、万全を期すため王都軍のドラゴンを使い問題がないか模擬レースを行ってみたいですからね」

 「模擬レースですか。確かに行っておきたいですね。建国400年目の記念式典ということで本番で失敗は許されませんからね」

 殿下の言葉にハミルトン様が応じる。

 「今日の会議はこんなとこでいいですか?それは各自の仕事を行ってもらいましょう」

 エルドリッチ子爵様の一言で会議は終わりを告げた。


 「殿下、計画は順調に実行されてますね?」

 「ええ、宮廷も優秀な人材を送ってくれたものです。建国400年目の記念式典によほど力を入れているのでしょう」

 「ところで、殿下。これからのご予定は?」

 「ブロンクス様とともにレース場の改築の様子を見に行こうと思っています。しばらく顔を出していませんでしたからね」

 「わかりました」

 

 王都の郊外にある元王都軍の練兵場であるレース場には歩いて行くとかなりの時間がかかる。僕達はドラゴンが曳く車で移動した。そこには前に見た練兵場とは違い、レース場といっても差し支えない施設があった。観客席があり、そこから中には入れないようにフェンスが立てられており、ドラゴンの走るコースもできている。王族や貴族が観戦するための特別席は現在建築中だった。この短期間に随分と出来上がったものであると感嘆しているとブロンクス様が言った。

 「中々のできでしょう。王都軍は最近大きな仕事がなかったから、兵士共を鍛え直すいい機会になってますよ」

 ブロンクス様のいう通り、兵士たちはてきぱきと動き働いている。

 「素晴らしい働きですね。これなら間もなく模擬レースを行うこともできるんじゃないですか?」

 「殿下からのお褒めの言葉ありがとうございます。現在行われている特別席の外装工事さえ終われば模擬レースを行えると思います。内装に関しては、現在専門の職人に発注をしているそうです」

 「順調な進み具合ですこのペースで頑張ってください」


 レース場の状態も見終わったので、公爵邸の離れに帰ることになった。帰りもドラゴンが曳く車に乗って揺られながら道を進む。

 「レース場の方は問題ありませんでしたね、殿下。早く実際にドラゴンが走るところを見てみたいものです」

 僕は、自分の願望丸出しでそう言った。

 「ええ、そうですね。それにしても王都軍の兵士は優秀なのですね。こんなに順調にレース場づくりが進むとは思ってもいませんでした。一番の難関であると思われたレース場づくりが順調であるのは幸いなことです」

 殿下は言った。そして続けて言う。

 「次は実際にドラゴンを使って模擬レースですか。問題がなければいいのですが……」

 「問題がなければそれに越したことはありませんが、問題をあぶりだすための模擬レースですから、本番前にすべての問題が出てくることが望ましいです」

 「そうですね。本番で問題が起きないようにすることが第一ですね」


 話している間に公爵邸に着いていた。

 「殿下、今日も一日お疲れさまでした」

 「ええ、サモンドもアルベルト君も付き添ってくれてご苦労様でした」

 「明日はドラゴンレース実行委員会の活動はお休みの予定です。1週間ぶりの休養日ですが何かご予定はありますか?」

 「明日の予定は特にありませんでしたね。たまにはゆっくり休みましょうか」

 「わかりました。それでは俺は車を公爵邸の裏まで置きに行ってきます」

 「では私たちは離れへと先に帰ってます」


 こうして今日もドラゴンレース実行委員会で忙しい1日は終わったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ