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今回、話の視点が主人公視点に戻っています。

ご注意ください。

 僕は無事に建国400年目の記念式典に行う催しものの企画案を出し終えた。僕は400年目の記念式典の時だけドラゴンレースが行われるより、毎年恒例でドラゴンレースが行われてほしいので、催しものの企画案というより、事業の計画書に近い形になってしまった。だが、それだけ僕はドラゴンレースが見たいのだ。この企画案が採用されることを僕は必死にお祈りしていた。


 企画案も出し終わったので僕は再び殿下について回ることとなった。今日も殿下はリバーシを欲しがる貴族のお茶会に出席して精力的にリバーシを売りこんでいるのだった。

 「リバーシはどうですか、フォスター男爵?ルールも簡単で子供でも遊べ、かつ大人が遊んでも楽しい優れた遊具だと思いませんか?」

 「ええ、確かにその通り素晴らしいものですね。王城に出入りする貴族の間でも話題になっています。ぜひ欲しいですね。いくらで譲ってくださるのですか?」

 「リバーシは庶民用の廉価品が大銅貨5枚となっていますが貴族用の高級品のものは銀貨1枚となっております」

 「貴族用のものを1セット売ってください。娘もきっと喜んでくれるでしょう」

 「お買い上げ、ありがとうございます。娘さんとぜひ楽しんでください」 


 お茶会も無事に終わって公爵家の離れに帰る途中僕らは話した。

 「殿下、今日もリバーシの普及、ご苦労様でした。僕がついていない間にもたくさんの社交場に出てリバーシを売っていたのでしょう?貴族様の間でもだいぶリバーシが知られるようになったのではありませんか?」

 「私が呼ばれた社交場は爵位持ちである上級貴族のものが多かったですから、そこでは広まってきたかもしれませんが、爵位のない下級貴族に広まるのはまだちょっと時間がかかるかもしれませんね」

 殿下は独立した今、下級の宮廷貴族となったが、殿下の血統は公爵家の血筋で傍系の王族でもあるのだから、同じ下級貴族だからといっても格が違うため、下級貴族たちが殿下を気軽に招待するのは難しいのだそうだ。だから、殿下は下級貴族にはリバーシを直接には売り込めていない。だからまず上級貴族にリバーシを売りこみ、その上級貴族が繋がりがある下級貴族に広めてくれるのを狙っているのである。事実何人かの下級貴族がハルボアヒル商会からリバーシを渇っていったという報告がある。今後が非常に楽しみである。


 そうこう話しているうちに公爵邸の離れについた。アンジュさんが出迎えてくれた。

 「おかえりなさいませ、殿下。王城から遣いの者が来て書状をお預かりしています」

 「わかりました。部屋で読みます」

 そう言って殿下は部屋へ向かった。そしてまずはお茶を淹れてもらってから書状を受け取って読み始めた。

 「王城からの書状ですか。その書状にはなんて書いてあるのですか?」

 「一言で言うと王城への呼び出しですね。明日の昼過ぎにとは急な話ですがいったい何の用でしょう?」

 「最近はリバーシの関係で各貴族のお茶会や晩餐会に参加してばかりいました。特に王城から呼び出されるような真似はしてませんよね?」

 「まあ、呼び出しの理由は置いといて、ひとまず王城へ行くための服を用意しておくか」

 「そうですね。王城への呼び出しとあらば断ることもできません。幸い明日の昼過ぎには何の用事もありませんでしたし明日の昼過ぎには王城へ行くことにしましょう」

 

 翌日、昼頃僕達は王城を目指して歩いていた。そして王城への門へとたどり着く。

 「我々はバルディウス殿下一行だ。王城から呼び出しを受けて参上した。これがその書状である」

 サモンドさんは昨日受け取った書状を出しながら口上を述べた。

 「伺っております。どうぞお通りください」

 前もって僕達が来るのを知っていたらしく門番はすんなりと僕達を通してくれた。

 王城の使用人が僕達を案内する。

 「こちらの部屋へお入りください」

 使用人に案内された部屋に入ると国王陛下を始めとする王族の皆様と他にも数名の貴族様がいた。エルドリッチ子爵の姿も見える。

 「よく来たな、バルディウス。まあ、まずは座るといい」

 「お偉方がそろっているようですが、いったい私に何の用ですか?」

 殿下が席に着きながら尋ねる。どうやら僕が見おぼえのない貴族様達はお偉い方々であるようだった。

 「実はな、お前の書いた建国400年目の記念式典の計画案を採用することになった。よくぞ、あれほどの計画案を練り上げたものだ。他の者達とは一線を画す大胆な計画案だった」

 国王陛下からお褒めの言葉をいただく。非常に嬉しい。本当は僕が苦心して作った計画案なのではあるが、殿下の名前で提出したのだ。僕は殿下の家臣だし、その方がいろいろと都合がいいと思ったからだ。

 「まずは、報奨金である銀貨10枚を渡そう。受け取るがいい」

 国王陛下がそう言うと使用人が銀貨の入った袋を持ってくる。サモンドさんが受け取って銀貨の枚数を数えた。

 「銀貨10枚、確かに受け取りました」

 「バルディウス。お前の計画案ではドラゴンレースを継続的な事業として行うことになっているな。そこでまずはこの計画を実行するための組織を作ることにした。組織の代表者はエルドリッチ子爵がなることが決まっている。そしてお前はこの計画の立案者としてエルドリッチ子爵の手助けを行ってほしい。無論我々王族やここにいる大臣達も手を貸すことになろう。だが、メインの実行者はお前たちだ」

 「私がそんな重要なお役目をですか?わかりました。謹んでお受けいたします」

 「建国400年目の記念式典が行われるのは来年だ。それまでにレース場を整備しレースが問題なく行われるようにしなければならない。時間はあまりないがエルドリッチ子爵とともに励んでくれ。何か困ったことがあれば我々にも相談してくれ。それでは期待しているぞ」

 「バルディウス殿下。ともにこの重大なお役目を立派に果たしましょう」

 「はい、エルドリッチ子爵様。これからよろしくお願いします」

 

 こうしてブレウワルド王国ドラゴンレース実行委員会が組織されることになった。

 

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