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 翌朝はサモンドさんに起こされた。

 「早朝には剣の稽古をするのが習慣だ。お前には、俺が昔使ていた剣をやるからお前も参加しろ」

 「剣の稽古は毎日やるのですか?」

 「よほどのことがない限り毎日だ」

 「わかりました。剣を持つのは初めてなのでよろしくご指導ください」

 「任せろ。身支度を整えて殿下を起こしに行くぞ」

 

 殿下の部屋まで行き、ドアをノックする。

 「殿下、おはようございます。朝です。剣の稽古をしましょう」

 「おはよう。剣の稽古ですね、わかりました。身支度を手伝ってください」

 「わかりました」

 サモンドさんと僕はそう言って殿下の身支度を整えると、剣の稽古をしに庭へと向かった。庭ではすでにベルセウス様とその付き人達が剣の稽古をしていた。早朝に剣の稽古をするのは、貴族様とそれに仕える者の当然の嗜みであるようだった。

 「おはようございます、ベルセウス兄上。私たちも剣の稽古に参加します」

 「おはよう、バルディウス。懸命に励むがよい」 


 僕は剣の握り方から教えてもらい、見よう見まねで剣を振った。子供用の剣だったが、振り慣れていない僕には重くて剣を振るのは大変だった。それでも頑張って殿下たちと同じように剣を振り続けたが、後半はヘロヘロになり、とてもではないが殿下たちと同じようには剣を振れなかった。

 「まあ、初めてならこんなもんだな。徐々に剣を振れるようになるさ」

 僕がうまくできなくて落ち込んでいると、サモンドさんがそう言って慰めてくれた。

 「汗を拭いたら朝食にしましょう」

 「はい、殿下」


 桶に水を汲み、汗を拭いキレイにすると僕らは朝食の準備ができている食堂へと向かった。

 「いっぱい剣を振ったので僕お腹がすきました」

 「俺もだぜ。だが、俺らの朝食は殿下たちの後だ。わかってるな?」

 「くぅ……。わかってます」

 食堂に着くと、ベルセウス様とカサンドラ様がすでに食卓についていた。殿下も席に着くと僕はその後ろに立った。サモンドさんが殿下の給仕をする。僕はいつか僕がその役目をすることになるかもしれないので、一生懸命目で追ってその動きをおぼえようとした。朝食が始まり、ベルセウス様と殿下が会話する。

 「バルディウス、今日は何をするのだ?」

 「今日はアルベルト君に城下町を案内しようと思います」

 「騎士団から何人か護衛を回そうか?」

 「大げさですね。城下町は安全でしょう?護衛がいりますか?」

 「町は警備隊が目を光らせてるが、完全とは言い切れないのだ。強盗だのかっぱらいだのが後を絶たない。護衛なしで町で行くなら細い裏路地など治安の悪い場所にはいかないように気を付けるのだぞ」

 「わかりました。今日は市場や商店街を案内しようと思っていたのです。心配は無用ですよ」

 僕はバルディウス殿下とベルセウス様の会話を聞いてやはりこれくらい大きな町となると治安の問題が出てくるのかと思った。僕が生まれ育ったオクタウス村では村中顔見知りで、悪いことをする人なんてそうそういなかったが、シルバスタッドの町ではそうはいかないらしい。気を引き締めて町を回ろう、そう思った。

 

 殿下たちの朝食が終わった。殿下が食休みをしている間に次は僕達の朝食の番だ。パンと温かいスープが出てくる。とてもお腹がすいていたので、僕は味わう間もなく食べつくした。


 朝食を食べ終え、僕達はシルバスタッドの町へと向かった。今日は、騎乗用ドラゴンには乗らず、歩いて行くことにした。まずは御城の側の貴族様達が居を構えるエリアを通り過ぎていく。次に見えてきたのが貴族様達向けの高級店エリアだった。食品店や装飾品店、服屋に鍛冶屋など様々な店が軒を連ねている。

 「ここにはいろんな店がある。大抵のものはここでそろうはずだ」

 「ええ、お店がいっぱいです。店の一軒もなく、行商人さえあまり来なかったオクタウス村とは大違いです」

 「特に今買っていかなければならないものはないな。次は平民街のほうに行ってみるか」

 

 ぶらぶらと歩きながら高級店エリアを抜けるとそこから先は平民が住むエリアがずっと広がっていた。

 「まずは市場へと行きましょうか」

 殿下の一言で市場へと向かう。市場はとても大きくたくさんの人で賑わっていた。

 「たくさん人がいますね。すごい活気です」

 「はぐれないように気を付けてください」

 市場にはたくさんの露店が並んでいた。野菜や果物を売る店、日用雑貨を売る店、うまそうなにおいをさせて料理を売る店、何に使うのかよくわからいものを並べている店、実に様々な店が並んでいて、大変な賑わいを見せていた。

 「超えれは凄い賑わいですね。毎日こんなふうなのですか?」

 「ああ、市場は毎日賑わってるぜ。シルバスタッドの町はブレウワルド王国の中でも王都に次ぐ大きな町だからな。大勢の人が住んで生活しているんだ」

 「なるほど。それはすごいですね」

 シルバスタッドの町はやたらと大きいと思っていたが、ブレウワルド王国で2番目の大きさを誇る町だったのか。僕はシルバスタッドの町が初めて見た町なので、これくらいの大きさの町がブレウワルド王国にはゴロゴロとあると思っていたが、そうではなくこの町が特別に大きいらしい。

 「お腹がすきましたね。露店で何か買って食べましょうか」

 殿下がそう言った。確かに時間は昼を回り、それまでずっと歩き回っていたのだ。当然お腹はすいている。

 「それはいいですね。そうしましょう」


 僕らは露店の中でも香ばしい匂いをさせている串焼き屋に行って串焼きを買って食べた。単に塩味だけでなくハーブの香りが効いていてとてもおいしかった。

 「おいしいですね。この店は当たりだったようです」

 「いい店でよかったですね。本当においしいです」

 こうして僕らの市場巡りはおいしい串焼きを食べて終わるのであった。

 



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