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武器育成イベント!? テーマパーク満喫編 釣り

 海面に垂らした釣り糸が、くいくいと竿をしならせ引っ張られる。釣りというものにそこまでの知識がないから解らないのだけど、本来ならば針がしっかりとかかるようにしたり、魚が暴れないようにするためなのか、急いでリールを巻いたりしない等というコツがあるとかないとか。


「かかりましたね。電撃を与えましょう」


 でもここはゲームなので、釣り針を通じて電気を流し込めば魚はバタンキュー。かかってしまえばこちらのものなのだ。釣りの醍醐味がどうのこうのと言われてしまうのかもしれないけれど、こちとら遊びでやっているのではなく、なんとしてもお金を使いたいと理由があるのだ。


 だからこそ、高いレンタル代を払って高級クルーザーを借り、高級な釣り竿を借り、お金を払えば良いスポットを教えてくれると言うから言い値で払った。おまけに釣れば釣るほど追加料金を払うことで魚が追加されるため、私達は兎に角釣ってなんぼなのだ。


 趣味ってやり込もうとすると、とんでもないお金を注ぎ込むことになるんだなぁと、お兄ちゃんが釣りに目覚めないことを祈っております。……いや、釣果のおこぼれが貰えるかもしれないし、釣りを始めてくれたら嬉しいかも。


 目の前に引き揚げられた鯛をレンチに差し出して取ってもらいながら、現実でもこんな新鮮なものを頂きたいと願う。


 そんな私達に、ワンワンと元気な声が響く。


 此処に来る途中で散歩をしていたウォーセとしーちゃん、その付き添いをしていたセリンを見かけたのだけど、目的地が同じだったためにこうして連れてきていたのだ。


 狼と呑兵衛がなんの目的で釣りエリアへ来たかと言えば、釣りをして遊びたいなどと言う微笑ましいものではない。新鮮な魚を食べたい――酒のあてが欲しいだけ――だけであって、予想をするのはとても簡単な理由であり、二頭はその付き添いをしていただけだった。


 まぁ待てと、手の平を向けて静止させた私は、釣り竿をレンチに託し、キッチンへ向けて移動する。その後を狼二頭とレッサーパンダ、そして精霊がついて回る姿はどんな童話なのだろうかと、クスリと笑みを浮かべて包丁を取り出した。


 手際よく鱗を剥がしている最中、手持ち無沙汰なのか缶ビールを呷っているセリンが、ふとした表情で問い掛けてきた。


「マスターは、どんな釣りをテーマにしたドラマが観たいですか?」


 最近ドラマ鑑賞にハマっているらしく、日常に起こるものならどんなドラマになり得るか、それをつい考えてしまうらしい。


 逆に私は、ドラマを殆ど観ない。ヨーナはよく観るらしく、他のクラスの女子とよく話したりしているけれど、私とサクラはドラマを観るならゲームをやる派。でもゲームの他にも録画したアニメを纏めて観たりするサクラは、他のアニメ好きと話すことも多い。その為私達は学校に登校してからは別々に行動することが多いのだ。


 その中で私は何をするのかといえば、先生方から出前の注文を受けています。電話を受け付けるよりも私がメッセージをスマホで送った方が効率よさそうだからと、親から頼まれているの。お小遣いも貰えるし、欠かせない朝の日課なのである。 


 そんな私が思う釣りをテーマにしたドラマと言えば……。


「今をときめくアイドルが主演」

「見事にファンを釣り上げてますねぇ。マスター、アイドル好きでしたっけ?」


 いいえ、私はアイドルよりも料理芸人の方が好きです。車中泊だったりキャンプだったり、そういうところで料理している芸人さんに憧れる。


「違うけど、釣りをしているだけのドラマにしたときに、やっぱり華がないと画がもたないと思うし」

「……え、釣りをしているだけ、ですか?」


 ただ釣りをしているだけ、です。三十分くらいの枠で、好きなことをしているようなドラマは好きでよく見るんだよね。ひたすら料理を食べていたり、料理を作っていたり。――そうだ、魚の調理シーンはじっくりやらないと駄目だよね。


 頭を落とし、三枚におろしされていく鯛を見ながら、私はうんうんと頷いた。


「釣りをテーマにしていると言いながら恋愛だとか友情だとかって言いだしたら、それもう釣りじゃなくてもいいでしょ? 釣りはありのままが面白いと思うの。手に汗握る魚との格闘、釣り上げたときのカタルシス、最後に捌いて美味しい笑顔!」


 そこにきっと、ドラマがあるのだ!


「……それもうバラエティ番組ですよね?」


 うん、そういう番組よく観てます。

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