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武器育成イベント!? テーマパーク満喫編 お化け屋敷

 ふらふらと彷徨い歩くアトラクションエリアエリアの片隅、狭い路地へと向かう曲がり角にあった看板を見て、効率的なお金に使い方を思い付いた。


 効率よくお金を使うと言うことは、ゲームの経験値稼ぎに似ていると私は思う。時間当たりにどのくらいの経験値を入手できるか、ということが大事であり、例え獲得できる経験値の量に差があったとしても、短い時間で周回できた方が効率が良い場合もある。


 その方法を実践できる場所が、この路地を進んだ先にあった。それは、お化け屋敷である。――入って直ぐにリタイアするのを繰り返せば、回転よくお金が使えるのではないかと考えたのだ。経験値云々の話とは離れてしまうけれど、まぁ、リセットマラソンって重要だよね、ということで。


 黒い板に赤い文字でお化け屋敷と書かれた看板を掲げるそれは、見た目だけを見ると雑居ビルのように感じてしまう。正面に見えるガラス窓に、探偵事務所とでも書けばそれっぽいだろう。


 奥まったところにある所為か人の入りもあまりなく、パンフレットで確認すれば、もっと大通りに近いところや、大型のものなどが中心部に幾つか建ち並んでいる。他の客は、其方の方へと行ってしまうのだろう。


 けれどこんな奥まったところにある以上、他にはない売りが此処にはあると私は睨んだ。雰囲気を出すためかボロボロになった暖簾を破れないように持ち上げながら、私はお化け屋敷には見えない建物の中へと入る。


 入って直ぐ右手にある、受付らしきカウンターの中に居た猫の着ぐるみと目が合った。


「ようこそおいで下さいましたニャー! ここでは自分好みにカスタマイズをしたお化け屋敷を堪能して頂けますニャ。こちらのタブレットをご利用下さいニャー!」


 元気の良い語尾に釣られ、差し出されたタブレットを受け取る。軽く触れてみると、なる程。確かに様々な形にカスタマイズ出来るようだ。おまけに変更点に応じて料金が追加されていく形になっているようで、私には非常にありがたい。


 これは時間がかかるぞ、と。金に糸目は付けないながらもなるべく良い物を作りたいという思いに駆られ、受付とは反対側に数列並んだソファーへと腰を下ろす。病院の待合室かと思ってしまう座り心地を感じながら、私はタブレットに視線を落とした。


 先ず大事なのは、どこをどう変更すればより金額が加算されるのか。様々な項目を押して確認してみると、どうやら施設内を広くすればするほどより多くの金額が加算されるようだ。


 限界は、市町村でいう市一つ分と言ったところだろうか。電車で言えば三、四つの駅があり、足りないところをバスが周回している。農業を営む地域と都市部を併せ持つ、田舎とも都会とも言えないごく一般的ともいえる市の面積。平方メートル、だとかの数字では全くピンとこないため、試しに作ってみたらそれくらいだった。


 どうせここである程度の金額を使ってしまえば、クリア出来るかどうかは二の次なのだ。楽しめるかどうかも関係ない。満足できる物が完成したと言うことが、私にとっての良い物なのである。であるから、広さにおいては一番大きく設定するとして、問題はどのような舞台を設定するか、と言ったところだろう。


 試しに造ったものをベースとするならば、ゾンビでも配置すればそれらしくなるだろう。バスや電車を乗り継いでいけるような逃走ルートを設定し、丁度良いところにホームセンターなどの決戦の場を用意する。アトラクションとしては充分だろう。


 けれど、それを私がやるの? 私が? というささやかな疑問が浮かんでしまう。自分が作り、細部まで作り込んで理解したそれを、自分で遊んで何が楽しいのかと。


 いくらリタイアすると言っても、やはり最初の一回は、自分で作った物の出来というものを試してみたい。それならば、先のゾンビから逃げるというのはネタバレも甚だしく、製作者が素直に楽しむ出来にはならないだろう。ランダムにゾンビが発生、と言う風にすれば解決だろうけど、ランダムに苦しめられているこのイベント中にランダムに頼るというのも、ねぇ。


 なので気持ちを切り替えよう。――大事なのは、誰が此処で遊び、誰なら充分に楽しめるものを作るのか。そこなのだと私は思う。


 そこで私は閃いた。……今後、このテーマパークで問題を起こす可能性のある人物達を、ここに隔離して置ければ良いのではないかと。


 直ぐさま舞台をサバンナに設定する。背の低い草が生い茂り、ポツンポツンと枝葉が横に拡がる木をを配置する。そんなことろにぽつんと置き去りにされた者は、恐怖しか感じ得ないだろう。……普通ならば、ね。


 耳を澄ませば聞こえる息づかい。視界に入るのは乾いて揺れる草木だけ。聞こえないはずの足音、高鳴る動悸。直ぐ背後まで忍び寄るそれに、置き去りにされたその人達は――。


「きっと、チーターにだってライオンにだって撫でにかかるだろうなぁ」


 回りのことは気にせず、動物たちと自然に触れ合える場所を作ったよ、と。私はタツノとルーナを呼び出した。広大な土地、数多くの動物、移動用の幾つかの車。できる限りのお金は注ぎ込んだので、私はもう満足です。

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