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武器育成イベント!? テーマパーク満喫編 おやつ談義

 テーマパークへの入り口であるエレベーターから続く大通りを抜け、遊園地により構成されたアトラクションエリアから続く四本の通りの一つを進んだ先にあるエリア。ホテルや飲食店などが密集するこの地下世界においての生活空間であるそこに、見る者の心を奪う豪華絢爛としか表現できないホテルがある。


 無機質なガラスにより構成された高く聳える巨大なビルに、プロジェクターにより“豪華絢爛”と映し出されているのだから、それ以外に表現する理由はないだろう。


 そんなホテルの最上階。フロア一つを使った豪華な部屋には、八人の男女が集まり、広いリビングでのんびりと雑談を繰り広げていた。


「いや、呑気すぎない?」


 人が必死に走り回っている間にさ。そう嫌味を込めて、私は態とらしく溜息を吐いた。


「お帰りアオイちゃん! お風呂にする? ご飯にする? それとも、……きゃー! ユイナ困っちゃう!」

「炊事洗濯家事一般、なんも出来ないものね」

「マナミンだまらっしゃい」


 エレベーターを降りて直ぐのところに広がるリビング。開放的なキッチンも備えたそこは広く、壁掛けのテレビの前には畳を四枚並べたほどに大きな一枚板のテーブルがあり、それを囲むように四人がけのソファーが四つ並んでいる。


 その内の一つに腰掛けていたユイナとマナミさんが、丁度私と視線の交わる位置に居たことで真っ先に反応を返してくれた。


「そうですよマナミさん。ユイナさんには火事場の馬鹿力が出来ます」

「ルルも黙ろうか。私は家事でどれだけ追い込まれなきゃならないの?」


 そうやって一緒に座るルル、私が呼びやすいように呼べばエーコさんも交えて、漫才みたいな言動を繰り広げているのだから、呑気すぎないと言いたいんだよ。


 私はね、この広いテーマパークを駆けずり回り、猫のお面についての情報を集めて回っていたの。そして解ったの。いっぱいお金を落としてくれれば、記念品としてプレゼントするよって、そうトルコっぽいアイスを売るおじさんに教えて貰ったの。


 だからそう、私はここで、頑張って経済を回すのだ! ……ごめん、格好良く言ってみただけ。


 因みに、私が猫面と出会った地下格納庫で浮かんだ疑問、猫面は何を目的に彼処へ来ていたのか。イトコンドリアを倒すほかに何か理由があったみたいだけど、というところだね。それについてもあっさりと判明した。


 簡単に言うと、猫の怨念達はイトコンドリアを倒したい。けれど怨念が封印から外に出てしまえば、イトコンドリアが活性化してしまうおそれがあるそうだ。だからアマテラスはそれを防ぐためにあの戦いを、と言う訳だけど、まぁ、元々イトコンドリアは猫を強化するものだし、イトコンドリア自身もそれを目的として行動しているのだろう。


 ……まさか、サイファードがイトコンドリアに襲われなかったのは、種族がアンドロイドだったからでは? 生物以外は襲わないとか。うん、これは寝る前にでも検証を頼んでおこうか。そうすれば彼女らの戦いも、多少楽にはなるかもしれないしね。


 それは兎も角、肝心なのは猫の怨念が地下格納庫を襲撃した理由。それはイトコンドリアを倒すためではなく、――カレーのレシピを調べる為だったとね。つまり、ヨーナ達が調べたとおり、料理は最大の攻略法で間違いないわけだ。


 しかし、猫のお面を入手して強化された状態でなら、イトコンドリアを簡単に倒すことが出来るのは確認済み。ならば何故料理で大人しくする方法が重要になるのか。それについては、歳神武器を研究していた博士達がイトコンドリアにも手を出した理由に繋がるのだ。


 そう、イトコンドリアからも歳神武器のような武器を得ることが出来る。その為には、各イトコンドリアに対応した好物の料理を与えなくてはならないそうだ。猫の怨念はあわよくばその武器を入手し、争いに勝つため切り札にしようという訳なのだ。


 はぁ、あの時は倒すほかなかったとは言え、勿体ないことをしたなぁ。レンチ達が電気を通すためのパズルを解除している間、カレーでも作っていれば良かったよ。


 と言う訳で、猫のお面を入手して戦力を高め、もしもの時の切り札とする。そうして食材を集め、イトコンドリアに料理を与えていく。それが当面の目的となったのだ。


 ――というか、事前にその情報を、この部屋に集まって貰ったみんなにメールで知らせておいたはずだよね? 直ぐに動けるようにしておいてって言ったよね? 私達はこの一晩で、私の所持金から引き出されるように設定したカードをみんなに配って、何億とも言えるほど多くのお金を使うことを目標にすると。


 お金を使うのって、大変なんだよ!? デカ盛りチャレンジメニューを食べたって、数千円、もとい数千ゴトーにしかならないんだよ!? 駄菓子屋でお菓子をいっぱい買ったって、たかがしれているというのに。……私は、なにをスケールの小さいことを考えているのだろうか。


「我が愛する妹よ。俺はある質問をするためにお前を待っていたんだ」


 ムラマサに膝枕をして貰っていたお兄ちゃんが、神妙な表情でそう言った。


「おやつは何百ゴトーまでですかね!?」

「数千万くらいじゃない?」


 どうせ下らないことだろうと予想していた私は、あっけらかんとそう答えた。……ゴトーは円と同じレートだから、五円のチョコをいくら買えるだろうか。もう、ご縁と言うよりごめんだよね。


「じゃあアオイちゃん、あたしからも。刀はおやつに入りますか?」

「ムラマサは大道芸人か何かですか? 刀は呑み込んではいけません。良い子は真似をしないでね」


 そう言えば、刀の形ってバナナと似てるよね。昔ヨーナとバナナでチャンバラをしたなぁ。満足した後は喧嘩両成敗で一緒に食べて。


「なぁレイヤー、お前、おやつとしてエロ本を持ってったりしたか?」

「エロ本はおかずだろ? ははっ、ハーレムキングはおかしな奴だなぁ」


 うん、その会話を成立させたレイヤーもおかしいからね? というか、その会話を聞いて大爆笑をしているみんなもおかしい。……私も笑ってしまったから、完全に類は友を呼んでいる状況だよね。


「一千万のおやつなら、キッチンカーを連れてくるしかないよなぁ。……いや、でも俺キッチンカーで旅をしたことあるけど、逆に増えたっけ」


 うーぴょんの行動力は本当に凄いよね。そのキッチンカーで売られたカレー、監修したのは私のお父さんだったのはお忘れなく。てか、カレーをおやつと申すか。


「どうでも良いけど、そこまで言うならみんなはなにをおやつにしたいの?」


 早く行動に移したいから、みんなの求めるものがあるのなら、サクッと用意してあげよう。そんな思いやりを持ってそう問い掛けたのだけど――。


「おやつよりも夜食が食べたい」


 と、みんな揃って言うのだった。建物にプロジェクターで文字を映し出すような時間帯、即ち夜。そんな時間に食べたい物と言ったら、おやつよりも夜食だよねぇ、と。私は静かに扉の脇に設置された受話器を取り、ルームサービスを頼むのだった。

 

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