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この世界では車が巨大ロボですが、道交法は据え置きです  作者: 蒼い諒


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第11話 カレー?肉じゃが?人生最大の決断をしてたら、全部間違えて肉じゃがになった

「俺はカレーなのか?肉じゃがなのか?」

巨大ロボ「エステマ」のコクピット

一人の男が、全身全霊で悩む


彼の名はサトシ、35歳中堅メーカーのトップ営業マン

今、彼は人生最大の岐路

今夜の夕飯をカレーにするか、肉じゃがにするか

そんな切実な問題に直面中…


「失敗すれば明日の仕事、いや、今夜の寝つきにも影響が…」

独り言をこぼしながら、ハンドルを握る手に力が入る


モニターには夕暮れ時のバイパス道路

周りを見れば、家路を急ぐ巨大ロボたち

ズシン、ズシンと規則正しい足音


それは振り子のようになり

サトシを更なる思考の迷宮へと誘う


「待てよ…肉じゃがにするなら、糸こんにゃくが必要だ

だが、カレーなら冷凍庫のシーフードミックスを使える…」


脳内では、食材たちの仁義なき戦い

しかし、人間という生き物は、一つ考え事に集中すると

他のことが疎かになるようにできている


特に15メートルの巨体を操縦している時は

それが命取り…とまではいきませんが


「あ」


ロボの左足が縁石を踏み越えそうになり

すかさず、安全制御システムが歩行修正


『警告!歩行ルートが不安定です

パイロットの疲労を検知しました

自動モードに移行しますか?』


「俺は疲れちゃいない!大丈夫だ!まかせろ!」

小さな事も献立も、全力投球なサトシは断固拒否


「そういえば、今日の営業先の田中さん

カレーにソースをかけるのが正解だって力説してたな…

あの人の正解は、だいたい業務の不正解なんだよ…」


そんな田中の顔を思い出した瞬間

ついつい、正直な右足はアクセルを強く踏み込む

すると、膝のシリンダーが景気のいい音を立て急加速

そして、モニターに移る前方のロボが大きくなる


「あぶなっ!」

警告音と共に 追突防止機能が作動

なんとか無事…


「いかん、自動モードにするか…

いや、そうすると負けた気がする、田中に」


再びギュっとハンドルを握ると

更に全身全霊で「安全」と「思考」を両立させ始める


「カレーにすると田中の顔が浮かぶし

肉じゃがにすると田中に負けた気もする………うーん、カレーだ!

それも激辛だ!田中の野郎をスパイスで焼き切ってやる」


結論が出た瞬間、心は晴れやか

アクセルを踏む足も軽やかに

…なハズだったが


「…ここ、どこだ?」


考え事に没頭するあまり

曲がるべき交差点は遥か後方


「…嘘だろ、カレーへの道が、こんなに遠いなんて」


そして、追い打ちをかけるように

電池残量がピカピカと赤い点滅


「ナビ!残量わずかだ、近隣の電池パック交換所はどこ?」


ナビが地図を表示すると、一番近いのは進行方向の更に先

そして、交換所の隣には

美味しい肉じゃがで有名なごはん屋が…


「田中め…いや、田中さん、今回は俺の負けだ」


サトシがコクピットから見下ろす遠方の夕焼け空は

まるで肉じゃが、照りのいい飴色のようでした


読んで頂き、ありがとうございます!

次回は、スーパーの特売品をゲットするべく巨大ロボを走らせる男の話です

評価、感想、お待ちしております!

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