第12話 巨大ロボで特売ステーキを買いに行ったら、帰りに電池切れで肉が半分消えた
今夜の夕食は、大特価の和牛ステーキ肉
なんと大きさは 特大サイズ で限定10パック
これは荒れるな…
私は熾烈な競争を勝ち抜くべく
愛機の軽巨大ロボ 『ピクシ』 のシートに腰を下ろした
「システム起動…よし、行くか」
地下ハンガーから地上へ
ロボのライトが薄暗い夕方を切り裂く
そして、周囲の屋根を眼下に見下ろし
軽快な足取りで急ぐ
この 『ピクシ』 、普通機のような重厚な動きではない
しかし、このキビキビとした加重移動こそ
軽巨大ロボならではの 真骨頂 だ
颯爽と歩く道中
歩道沿いにある「バッテリー・ステーション」が目に入る
…そういえば、充電は大丈夫だろうか
コンソールで緑色に光る電池マークを横目で確認
「残り2メモリ、だが近所だし、軽の燃費なら大丈夫」
今は時間の方が優先だ
程なくして、スーパー『ミート・マート』に到着
そこは既に巨大な鉄の塊がひしめき合っていた
私は手際よく、普通機は絶対に止められない
「軽ロボ専用」区画にピクシを収めた
「ふふ、専用なのでね…」
ハッチを開け、タラップを降りて地上へ
店内は、特売を狙う客たちの熱気に包まれている
私は人混みを掻き分け、精肉コーナーへ
「あった…!」最後の一パック
私はそれを吸い込まれるようにカゴに収める
隣で悔しそうに肩を落とす客の視線を背中に感じ
私は悠々と会計を済ませた
「危なかった…軽で来なければ間に合わなかったな」
意気揚々とピクシのコクピットに戻り
私は再びハッチを閉じると
手にした戦利品を見る
「ふふ、さすが特大パック、デカい!」
優越感に浸る、その時
コンソールに琥珀色の警告灯が点滅した
「…何だ?電池はさっき確認したはず」
インジケーターを凝視する
そこには、緑色だったはずの電池マークが
今は空っぽの容器のように虚しく明滅している
そこで私は、到着後の自分の行動を思い出した
「…まさか、ライトの消し忘れ?」
確かにライトを消した記憶が指先にない
絶望的だ
そして、わが家への帰路を思い出し、更に絶望する
このエリアで最も急な「心臓破りの坂」があるからだ
「…行けるはずだ、軽の、軽の底力を見せてやる」
私はピクシを歩かせた
だが、坂の頂上まであと数メートル
なんと機体がガクガクと震え始める
「頑張れ、あと少しだ…!」
モニターの景色がゆっくりと傾くと
ついに完全な沈黙が訪れた
「…嘘だろ」
沈黙したコクピットの中で
私は和牛の特大パックを見つめる
外では通りすがりの他のロボが
憐れみの様子で過ぎていく気がした
その時だった
背後から聞き覚えのある駆動音が
外部スピーカーから、のんびりとした声
隣の家の佐藤さんだ!
「おーい、動けなくなったのかーい?引っ張ってやろうか」
「…助かります、佐藤さん」
結局、私は佐藤さんのロボにワイヤーで牽引され
ドナドナと運ばれていった
地下ハンガーに戻り、私はピクシから降りると
手元の戦利品を見る
お礼に、と、佐藤さんに半分あげた和牛ステーキ肉は
特大サイズから
軽サイズになっていた
読んで頂き、ありがとうございます!
次回は、巨大ロボの車検の代車でひと騒動!な話です
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