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辺境へ追いやられた落とし子が、隠された聖女を迎えに来た  作者: もち雪
1:王都ロスト・ミューにて

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19/58

19:シオン卿との出会い 1/2

 深い森の中で、山賊に出会うし、矢で打たれてしまったカリオス様は、助けてくれた聖女様を小麦粉の袋を担ぐようにベッドへと運んだ。


 平穏が砕かれ、戦闘に際しては頼りになるのは彼とはいえ、淑女に対する扱い方があるだろう。このままでは後ろ盾となったとしても、神殿騎士に彼の素のままの対応が、見つかってしまっては無礼討ちになる。そうマルティーはわりと深刻に考えた。


 顔はいいんだから、ちゃんとしていただきたいものだ。そう肩を落とす4。


 しかしどうやって、女性に免疫のない剣聖をエスコトート姿が様になる、素敵な男性へと仕上げるべきか……。ライストファーに戻ってからマルルさんに頼むか。


 よし! 決まった。



 ◇◇


 話がそれたが、カリオスは彼女をベッドの箱に寝かせると、幌馬車を離れ、援軍となった人々の中の将と、山賊の正体を見極めようと戦闘の跡の残る森の中をさまよい。マルティーも彼に続く。


 そして山賊は居た。森の木々、一本、一本に山賊はくくり付けられていた。

 見た目から判断すべきではないが、無精ひげ、口の悪さ、痴話げんかを始めた様子から、ただの悪い山賊であるとしか考えられないありさまだった。


 そこで、元王妃の事について尋ねれば、藪蛇にしかならい。そう判断しただろう、カリオスは無言でうなずいた。


 そこへ今回の救世主が現れ、マルティーたちへと話しかけて来た。


「もし間違いではないのなら、カリオス ライストファー卿ではございませんか? 都の南の土地を守るシオン ハークエルと申します」 


 貴族らしい金糸、銀糸の刺繍糸が多く使われた上着を身に付けた彼は、詩人の様な麗しい容姿をしている。


 深紫の長い髪と、同じ色の瞳、北部でも多い色合いの組み合わせだが、服の趣味が遊びを多くいれている事から、彼はやはり南側の貴族なんだなっという事がわかる。


「ハークエル侯爵か……。……、そうだな。昔の事はともかく、厚くお礼申し上げる。貴公らのおかげで今を生きる事ができた」


 カリオス様は昔を匂わせたが、彼は因果多すぎる。


 それに今回は、秘密裏に行うべき事だ。

 貴族であるシオン卿が、どんな存在になるかわからない。


 言葉を間違い窮地を招いてしまっても、打つ手がなさ過ぎる。

 失言を避け、領主殿が何かを求めるまで、マルティーには何もすることはない。てか、出来ない。敗退するのが落ちだ。


 やはり今、我らを助けてくれた救世主殿とともに、出来る事進めるべきだろう。 


「では、根城へ案内して貰おうか?」


 気付くと、領主殿の進行は先へと進んでいた。頭目らしい男の、綱を持ち立っている。

 ――よく、よく知らない多勢の中で、主導権を取ろうと思うな。


 そこは感心するが、他人を信用してない事だ。カリオス自身にも、人と結びつける手綱が欲しい。手綱が、治療魔法を使えるようであばもっといい。


 そんな事を思いあぐねながら、シオン卿と女性の騎士殿率いる一行と、捕まえた山賊を先頭に薄暗い森を行く。湿り気があり、葉が服に触れれば、ヒルではないかと神経を尖らせすすんでいく。


 五分も行かない所で、木々が切られ、丸太となり折り重なる場所へでた。


「小賢しいですね」

 そう、シオン卿が丸太へがぶる落ち葉をかき分け、楽し気な声を出す。


 落ち葉が落ちると、何重にも結ばれている箇所と、ぽっかりと空いた穴が見つかった。


「木々の間にトンネルを掘ったのか……」

「ビーバーみたいな奴らですね」

 我々がそんな軽口を言う前で、シオン卿の部下が、ランプを持ち穴を覗き込む。


 そして右へ、左へと動かし、様子を確認しているようだ。


 ――よくやる。いいまとだ。


「結構、奥へと続いております」

「ふむ、何人ですか? 罠は? それと……体のどこから、さよならしたい?」


「五人程……」

 山賊の頭目は不貞腐れように、声をだす。 


「では、行きましょうか? この人数です。すぐ終わります。嘘であるなら、さよならする場所を選んでおいてくださいね」

「あぁ――ッ、本当だ! 本当だ! 今更おじょう際が悪い事はいわねよ!」


「それは助かる」

 そう目を伏せるように言い、頭目と思われる男を先頭に侵入しいく。


 ――聖女様は来なくて、良かった。シオン卿の言葉は必要な事だが、今の聖女様には理解する事は厳しいかもしれない。


 そして山賊の根城のトンネルの中、山賊の居残り組数人は、飛び出したカリオス殿と、女性の騎士に一瞬で折られていたよね。うん。フェリーネ様、本当に来なくて良かったわー。


 結果として、身代金狙いに残されていた、商人の一行を確保できた。


 そして根城の反撃のチャンスを与えるような危険物を取り払い。数人、外から木々を打ち付け、山賊たちを幽閉する行為を手伝った。


 暫く、シオン卿一行の一部はここへ残るようだ。


 ◇◇


 波乱はあった。

 シオン卿と、カリオス様が揉めていた。


 今日は、隠れてる残党気にして、それぞれの移動は夜が明けたを待つ事になった。


 思いもよらない立ち往生、急停止の際に乱雑に散らばった荷物の破損確認を兼ねて、キャビネットの整理が行われていた。ミリアは起きたが、フェリーネは今だ眠ったまま。マルティーはミリアにとって、村の親切なお兄さん、という立ち位置になっていた。 


「これはちゃんと、はしとはしをくっけてくださいねー」

「こうですか?」

 そうマルティーは、聖女様と旅をする猫の獣人の女の子との、上下関係がわからず敬語で接していた時に――。


 シオン卿が立っていた。


 ――えっ? なんでいるの? 


 キャビネットの内の様子を見渡して、スタスタと、フェリーネの眠るベッドへ近ずく。その迷いの無さに……。


 ――貴族ー!? 貴族の血をひく方々の、常識の無さに腹いっぱい。


「彼女、ずいぶん顔色が悪いですね……」

 そう言うと、彼女のひたいへ触れようとシオン卿はしていた。


「ちょっと!?」そうマルティーが言い終わる前に、その手が、結構と遠くに居たはずの、カリオスに掴まれる。


「勝手に触れるな……」

「体温の低下があるか、確認しょうとしただけですよ」

 そう悪気はなさげに、返事をする。 


 ――騎士の彼女は、剣に手を掛けてましたけどね。 どっちを切る気がしりませんが。


 結局は、騎士殿に二人は連れ出され、折衷案で騎士殿が、シオン卿からの差し入れの滋養強壮のある食べ物をフェリーネに届けるという事に、落ち着いた。


 しかしマルティーの、喉のつっかえみたいな気持ちはまだ取れない。


 続く


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