19:シオン卿との出会い 1/2
深い森の中で、山賊に出会うし、矢で打たれてしまったカリオス様は、助けてくれた聖女様を小麦粉の袋を担ぐようにベッドへと運んだ。
平穏が砕かれ、戦闘に際しては頼りになるのは彼とはいえ、淑女に対する扱い方があるだろう。このままでは後ろ盾となったとしても、神殿騎士に彼の素のままの対応が、見つかってしまっては無礼討ちになる。そうマルティーはわりと深刻に考えた。
顔はいいんだから、ちゃんとしていただきたいものだ。そう肩を落とす4。
しかしどうやって、女性に免疫のない剣聖をエスコトート姿が様になる、素敵な男性へと仕上げるべきか……。ライストファーに戻ってからマルルさんに頼むか。
よし! 決まった。
◇◇
話がそれたが、カリオスは彼女をベッドの箱に寝かせると、幌馬車を離れ、援軍となった人々の中の将と、山賊の正体を見極めようと戦闘の跡の残る森の中をさまよい。マルティーも彼に続く。
そして山賊は居た。森の木々、一本、一本に山賊はくくり付けられていた。
見た目から判断すべきではないが、無精ひげ、口の悪さ、痴話げんかを始めた様子から、ただの悪い山賊であるとしか考えられないありさまだった。
そこで、元王妃の事について尋ねれば、藪蛇にしかならい。そう判断しただろう、カリオスは無言でうなずいた。
そこへ今回の救世主が現れ、マルティーたちへと話しかけて来た。
「もし間違いではないのなら、カリオス ライストファー卿ではございませんか? 都の南の土地を守るシオン ハークエルと申します」
貴族らしい金糸、銀糸の刺繍糸が多く使われた上着を身に付けた彼は、詩人の様な麗しい容姿をしている。
深紫の長い髪と、同じ色の瞳、北部でも多い色合いの組み合わせだが、服の趣味が遊びを多くいれている事から、彼はやはり南側の貴族なんだなっという事がわかる。
「ハークエル侯爵か……。……、そうだな。昔の事はともかく、厚くお礼申し上げる。貴公らのおかげで今を生きる事ができた」
カリオス様は昔を匂わせたが、彼は因果多すぎる。
それに今回は、秘密裏に行うべき事だ。
貴族であるシオン卿が、どんな存在になるかわからない。
言葉を間違い窮地を招いてしまっても、打つ手がなさ過ぎる。
失言を避け、領主殿が何かを求めるまで、マルティーには何もすることはない。てか、出来ない。敗退するのが落ちだ。
やはり今、我らを助けてくれた救世主殿とともに、出来る事進めるべきだろう。
「では、根城へ案内して貰おうか?」
気付くと、領主殿の進行は先へと進んでいた。頭目らしい男の、綱を持ち立っている。
――よく、よく知らない多勢の中で、主導権を取ろうと思うな。
そこは感心するが、他人を信用してない事だ。カリオス自身にも、人と結びつける手綱が欲しい。手綱が、治療魔法を使えるようであばもっといい。
そんな事を思いあぐねながら、シオン卿と女性の騎士殿率いる一行と、捕まえた山賊を先頭に薄暗い森を行く。湿り気があり、葉が服に触れれば、ヒルではないかと神経を尖らせすすんでいく。
五分も行かない所で、木々が切られ、丸太となり折り重なる場所へでた。
「小賢しいですね」
そう、シオン卿が丸太へがぶる落ち葉をかき分け、楽し気な声を出す。
落ち葉が落ちると、何重にも結ばれている箇所と、ぽっかりと空いた穴が見つかった。
「木々の間にトンネルを掘ったのか……」
「ビーバーみたいな奴らですね」
我々がそんな軽口を言う前で、シオン卿の部下が、ランプを持ち穴を覗き込む。
そして右へ、左へと動かし、様子を確認しているようだ。
――よくやる。いいまとだ。
「結構、奥へと続いております」
「ふむ、何人ですか? 罠は? それと……体のどこから、さよならしたい?」
「五人程……」
山賊の頭目は不貞腐れように、声をだす。
「では、行きましょうか? この人数です。すぐ終わります。嘘であるなら、さよならする場所を選んでおいてくださいね」
「あぁ――ッ、本当だ! 本当だ! 今更おじょう際が悪い事はいわねよ!」
「それは助かる」
そう目を伏せるように言い、頭目と思われる男を先頭に侵入しいく。
――聖女様は来なくて、良かった。シオン卿の言葉は必要な事だが、今の聖女様には理解する事は厳しいかもしれない。
そして山賊の根城のトンネルの中、山賊の居残り組数人は、飛び出したカリオス殿と、女性の騎士に一瞬で折られていたよね。うん。フェリーネ様、本当に来なくて良かったわー。
結果として、身代金狙いに残されていた、商人の一行を確保できた。
そして根城の反撃のチャンスを与えるような危険物を取り払い。数人、外から木々を打ち付け、山賊たちを幽閉する行為を手伝った。
暫く、シオン卿一行の一部はここへ残るようだ。
◇◇
波乱はあった。
シオン卿と、カリオス様が揉めていた。
今日は、隠れてる残党気にして、それぞれの移動は夜が明けたを待つ事になった。
思いもよらない立ち往生、急停止の際に乱雑に散らばった荷物の破損確認を兼ねて、キャビネットの整理が行われていた。ミリアは起きたが、フェリーネは今だ眠ったまま。マルティーはミリアにとって、村の親切なお兄さん、という立ち位置になっていた。
「これはちゃんと、はしとはしをくっけてくださいねー」
「こうですか?」
そうマルティーは、聖女様と旅をする猫の獣人の女の子との、上下関係がわからず敬語で接していた時に――。
シオン卿が立っていた。
――えっ? なんでいるの?
キャビネットの内の様子を見渡して、スタスタと、フェリーネの眠るベッドへ近ずく。その迷いの無さに……。
――貴族ー!? 貴族の血をひく方々の、常識の無さに腹いっぱい。
「彼女、ずいぶん顔色が悪いですね……」
そう言うと、彼女のひたいへ触れようとシオン卿はしていた。
「ちょっと!?」そうマルティーが言い終わる前に、その手が、結構と遠くに居たはずの、カリオスに掴まれる。
「勝手に触れるな……」
「体温の低下があるか、確認しょうとしただけですよ」
そう悪気はなさげに、返事をする。
――騎士の彼女は、剣に手を掛けてましたけどね。 どっちを切る気がしりませんが。
結局は、騎士殿に二人は連れ出され、折衷案で騎士殿が、シオン卿からの差し入れの滋養強壮のある食べ物をフェリーネに届けるという事に、落ち着いた。
しかしマルティーの、喉のつっかえみたいな気持ちはまだ取れない。
続く




