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異世界転生、俺だけソロ活動から!!  作者: とかじぶんた
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引分けの領分

 アイルランダーの門番は早朝から働いている。結構な労働時間になると思われるが、労働基準法など無いのだろう。仮にあったとしても、そのまえに基本的人権の尊重が無いと成立は難しいだろう。どうでもいいが俺は魔物にも尊重が必要だと思っている。


 それで馴染みの門番に「なんであんなところで野営ごっこしてるんだ?」と久しぶりに絡まれることになる。俺のAランクタグは知っていたが、カナデがBランクタグを見せるとフリーズしていた。カナデがその様子を見て笑うまで固まったままだった。



 街は以前と変わらず朝霧がかかっていた。朝霧の中、”ピコ鳥の休息”で鍛錬していたことはあったが、街中を歩くのは新鮮だ。カナデとは今日の予定を事前に決めていて、まずは”ピコ鳥の休息”で宿を確保し、それからソウ達に合流するか、ドワーフ&エルフに会う。




 "ピコ鳥の休息"からはいつも通り朝餉(あさげ)の湯気がたちのぼり、マスターが美味しい料理を仕込んでいるであろうスープの匂いが通りまで漂っていた。カナデが(せわ)しく鼻をスンスンしていて、浅い感傷にすら浸らせてくれない。


 「これバッフ豚のスープとスイープ豆のサラダだ」


 当たり前のように朝ごはんのメニューを言う。俺も実はそう思っていた、言わないけれど。アタリの日の朝ごはんだな。そんな下らない会話をしていると扉が開いて(ほうき)を持った少女と目があった。


 「おはよう、メイプル元気?」

 「・・・リ、リヒト?」


 さすがに帰ってくるまでが早すぎて、あの大泣きは何だったのか?という表情だろうか。短いが戻ってきた。すまん、メイプル戻ってきて!!なんだか申し訳ない気持ちになり始めると、ダッシュでメイプルが突っ込んできた。カナデが投げ出された箒をキャッチするのが横目で見えた。


 「おかえり!!リヒト」

 「部屋空いてる?」

 「2人部屋は空いてない。1人ずつなら空いてるよ」


 即答するメイプル、なぜか俺の腰に手を回している。いつの間にそんなことを覚えたんだ!?マスターに怒られるぞ、と見慣れたカウンターから厨房を除くと目が合った。『あっ、あれ?』とマスターは俺を2度見するまで確認できなかったようだ。すっごい心のセリフが読み取れる顔だった。そして、案の定、ベーコンを焦がしていた。


 「朝ごはんを2人前頼むね」

 「はーい」



 テーブル席に案内され、カナデと向かい合って朝食を食べていると、ソウとオトハが降りてきた。マスターと同じく『えっ?早くね?』という心の声が見えるようだった。ざっくりとダンジョンに潜ったこと、武器・防具のメンテナンスで来たことを伝えた。カナデは何だか照れ臭いらしく、2人にもソワソワした対応をしていた。


 それを見たオトハから「あっ、そういうことになったの?」と面倒臭いツッコミが入った。俺はルイが好きなのは変わっていない。目で『面倒だから何も応えない』と伝えると、「違ってても何か言え!」とカナデに足を踏まれた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 そして久しぶりの北の森である。


 少し遡るが、店が開くまで時間がかなり余ってるなぁと考えていると、ソウから「稽古つけてくれ」と言われた。俺の鍛錬にはならないなぁ、と考えていると北の森のアイツを思い出したので一緒に行こうと誘ったのだ。北の森までも結構なペースで走ったがソウもオトハもついて来れたので鍛錬はしていたようだ。カナデはムカつくほど余裕だ。


 「あのさ、2人は驚くだろうけれど、カナデはAランク並みに強くなったぞ」

 「あっ、リヒト、それ言っちゃう?」耳がピクピクしている。

 「私たちも結構強くなったよ」珍しくオトハがどや顔する。

 「あぁ、少し見てもらいたいくらいだ」


 普段の討伐とは違った高揚感があった。明らかに頼もしい強者の雰囲気を纏い始めていた。最初にあったような運だけで生きているルーキーとはわけが違う。


 サーチをすると紳士な投石猿『ジェントルエン』が引っかかった。相変わらずの一定距離を置いている。


 「ちょっと3人とも待ってて。挨拶してくるから」


 『ラ・イド』を自分にかけてジェントルエンに向かってダッシュする。


 「おはよう、元気だった?」

 「うぉぼぼぼ、ま、まじか?」


 返事の代わりに峰打ちで脛を叩く、もちろん両足を。すると樹から落ちるものの、腕でうまく受け身をとる。流石に素早さだけは侮れない。それでも両脛を抑えて小さく悶絶している。まぁ、ダメージ入るように打ったわけだし。


 「で、おまえには非常にムカついている」


 普通に倒しても良かったのだが会話が成立してしまい、どうしても話しかけてしまう。話終わるタイミングでどこで拾ったのか、俺に向かって投石をした。当たれば致命傷になる1撃だったが、無難に交わして一閃で胴を薙ぐ。


 「とりあえず、戻るか」


 ジェントルエンの素材を捌くのが面倒だったので、そのまま引張って行き合流する。




 「で、その結果がこれなわけ?」 

 「そうみたいだな」



 ジェントルエン達に北の森の入り口で俺たち4人は囲まれた。





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