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異世界転生、俺だけソロ活動から!!  作者: とかじぶんた
92/204

魔女の名は

3/8 誤記修正、重複修正

 地上に帰り、そのままシワシワ魔女の道具屋へ行く。カナデは俺の陰に隠れながら薄暗い店に入る。


 「ちわー」


 あれ?前回よりも『ハイド』のレベルが高い。


 「ちわー、おばちゃん」


 ヌッとカウンター奥から顔だけ出してきた。禍々し爪で頬をかいている。


 「よく来たね、お嬢ちゃんも」にっこり笑うシワシワ魔女。


 カナデは更に2歩さがる。


 「あまり脅かさないでくれ。お眼鏡に叶うか、面白いのもってきた」


 竜の血(瓶付き)をテーブルに置く。シワシワ魔女、まだ名前を聞いていなかった。


 「ごめん、俺はリヒトだ。名前を教えてくれ」


 そう言うとクックックと喉奥から笑い声をあげた。なぜか首を傾げている。


 「私に名前を教えるなんて酔狂だね?」

 「どういう意味だ?」

 「相手に名乗るなんて、信用しないとできないもんだよ」

 「礼儀じゃなくて?」

 「礼儀ねぇ・・・久しぶりに聞いたよ」


 そういうシワシワ魔女は俺を品定めするように見る。『アナライズ』をかけられているような感触さえある。


 「私のことはローズと呼びな」

 「老婆?」

 「死にたいの?」凄まじい殺気が一瞬あり、カナデが小さく悲鳴をあげる。


 カナデだってミニ・ドラゴンの咆哮に耐えれるくらいなのに。もろに当てられ俺は膝をつかないのが精一杯だった。


 「ごめん、悪かった」

 「あっ、そう」もう俺のことなど見ていない。


 ローズは熱心にミニ・ドラゴンの血を眺める。


 「10階層のミニ・ドラゴンかい?」

 「そう」

 「それで何を望む?」


 少しずつ冷静を取り戻すよう呼吸を整えていた。後ろにいるカナデの呼吸はまだ乱れている。


 「いや、何をって・・・ローズが興味を持ってくれるかなぁと」

 「ちょっと待っておくれ。あんた何も知らないのかい?」

 

 ほんとうに笑った顔になったローズはお茶目なおばあちゃんみたいになった。結構、昔は美人だったのかもしれない。言い切る前にこの世とおさらばするので、絶対に間違っても口にはできないけれど。


 「いや、すっげーアイテムとか、注文は無理としても見せてくれたらなぁ、って」

 「これの価値は知ってる?」竜の血を緑色の爪が指す。

 「金貨30枚くらい?」カナデが初めてローズに話しかける。

 「ばかだねぇ、金貨1,000枚は超えるよ」


 カナデも俺もさすがに固まった。カナデの喉が鳴る音が響いた。


 「ほんと動くお宝だね」カナデが俺の心を汲み取って言う。

 「また潜るか」文字通り一攫千金だ。


 そんな俺たちのやりとりをローズは指でテーブルを叩きながら見ている。


 「で、どうするんだい?」

 「なんか同じくらいの価値の見せてくれ」

 「騙されたらどうするの?」

 「自分の見る目が無かったって思う」


 俺はもうテンションが上がっていて、さっきのことは忘れている。


 「ふん、ちょっと待ってておくれ」頬杖をといて、ローズが店の奥へ入る。


 「ねぇ、リヒト!!金貨1,000枚ってすごくない?」

 「あぁ、ちょっと考えられない額だなぁ」

 「なんでそんな普通なの?」

 「いや、装備品以外に欲しいのって美味しいご飯くらいか?」


 「そろそろお家のご予定とかは?」

 「今のところない」

 「きれいな奥さんもいらっしゃることですし、ご相談してみては?」

 「いや、誰だよ」

 「わ・た・しだよ!」


 カナデが妙にテンションが上がっていて小芝居まで始めた。そんなコントいらんから。あと、カナデを奥さんにする気もない・・・いまのところ。「あまり騒ぐとローズに捌かれるぞ」と言うとすぐに静まった。耳までペチャンコにきちんとなったのが面白くて吹いた。


 「あんた達が気にいるかは分からんけどねぇ」


 そう言ってローズがいくつかのアイテムをカウンターに置き始めた。


 ○火炎のリング

  火魔法上昇(小)

  火耐性(中)

  咆哮耐性(中)


 ○風のダイヤ

  風魔法上昇(中)

  咆哮耐性(小)


 ○聖者の刻印

  幸運上昇(中)

  光魔法上昇(小)


 ○グリフォンの羽

  俊敏上昇(小)

  索敵範囲拡大


 ○ジェントルエンの耳

  俊敏上昇(中)

  魅力減(小)

    

 並べ終わった俺は頭を抱え、すぐにその行動が失敗したと悟る。横ではカナデがそんな俺に「どしたの?」と話しかけて来た。ローズはずっとニヤニヤとした顔で俺を見ていた。


 「なんかいろいろと頭が混乱する」

 「若いってのはいいことだね」上機嫌のローズが言う。

 「この『ジェントルエンの耳』って怖い」


 干からびた耳を見たカナデが言う。


 「多分、それと同じのがアイルランダーの北の森にいる。すっげームカつくヤツ」

 「倒したの?」

 「石ぶつけられた上に逃げられた」


 ジェントルエンって名前までムカつく。投石ヤンドリルとかの名前の方が合ってる気がする。


 「なにから話せばいい?」ローズの顔を見る。ローズは何も言わず、顎で「お好きにどうぞ」と示していた。ローズはアイテム名以外はなにも説明していない。


 「カナデに進めるとしたら、『風のダイヤ』は風魔法上昇と咆哮耐性がつく、『グリフォンの羽』は俊敏上昇、索敵範囲拡大、最後に『ジェントルエンの耳』は俊敏上昇もつくが、魅力減もセットでつく」

 「他のは?」


 俺はすでにげんなりしたまま説明する。


 「火炎のリングは火系、聖者の刻印は運上昇と光魔法上昇だ」


 聞いたカナデの顔色が変わる。それを見たローズは声を出して笑っている。別人のように楽しそうだ。


 「ローズ、『風のダイヤ』と『竜の血』って交換ってできる?」

 「他はいいのかい?」にんまりとした顔でローズが言う。

 「今はいいかなぁ、っていうより1対1が正当な取引な気がする」

 「欲のないダークエルフだねぇ」嬉々とした表情を崩さないローズが言う。


 どう見ても『火炎のリング』とか装備してたらアモンに襲われる可能性が増えるだけだ。多分、俺のローブもばれている。『火炎のリング』が有ることを知っただけでも収穫だった。


 「『風のダイヤ』はペンダントとか指輪とかに加工すればいいのか?」

 「そうだね、武器や防具に嵌めたりするヤツもいるね」

 「イヴォーグさんならできるよね?」カナデが俺に言う。

 「イヴォーグ・・・エルフのか?」


 「あれ?ローズの知り合いなの?」

 「あんた達はアイルランダーに行くのかい?」

 「あぁ、武器と防具のメンテに行くつもりだ」


 それを聞いたローズが奥に一旦下がると、巾着袋みたいなのを持って来た。


 「悪いんだけど、これをイヴォーグに渡しといて」

 「それ渡したら俺たちイヴォーグに恨まれる?」


 よく分からないが呪いのアイテムっぽい雰囲気を発している。


 「どうだろうねぇ」ローズは目を逸らす。

 「やだよ、そんなの!!」がんばれ、カナデ。

 「まぁ、呪いとかはないからね。頼んだよ」

 「ほんとぉ?」しぶしぶカナデが受け取る。


 まぁ、俺もローズのお願いは断れないな。イヴォーグには諦めてもらおう、()()()()()()()()()()()()しれない。魔力感知とかで自動で開くとかは知らない。



 そうして物々交換が成立した。カナデは「リヒトの装備強化しなくていいの?」と何度も確認してきたが、俺は自分の装備を使いこなせていないと説明した。魔剣すらマジックポーチの中に温存されているくらいだ。


 夕方になり、ギルドへ冒険者タグの返還と報酬をもらいに向かう。

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