情報の価値
第3回ひとり更新祭終了です!!
タイムリーにお付き合いしてくださった方々、
評価、ブックマ追加してくれた方々、
やっぱり嬉しいです。
第4回ひとり更新祭へのエネルギーに変換させていただきます。
どうもありがとうございましたー(^^)/
鼻歌交じりでカナデが席に着く。
”フィッターの午睡”で驚いたのが、会議室みたいな個室が宿にあることだ。いろいろと契約だったり、仲間内の分け前確認のために用意された部屋らしく、今の俺たちには丁度いい場所だった。ちなみに利用料金は銀貨5枚と結構な値段である。部屋には大きめのテーブルと小さなテーブルがそれぞれあり、椅子も6脚ほど用意されてあった。
「じゃぁ、まずは戦利品を出しまーす」
カナデは自分のマジックバックに手を入れて、どんどんテーブルに置いて行く。すぐに大小それぞれのテーブルは荷物でいっぱいになった。
「すっごいわね、これ」エクモカが声を思わず漏らす。
「いや、まだまだ入ってるよ」
カナデの鼻歌・・・なんの歌だ?
「カナデ、それ何の歌?」
「今、歌関係ないよね?」エクモカが怒り気味で言う。
「なんで?もう帰ってきたんだからよくね?」
俺が間違ってるの?とカナデを見るとカナデは首を横に振る。鼻歌が止まった。曲名を教えて欲しいのだが・・・あっ、違う曲になった。さっきのが気になる。
「それでエクモカの分が大体これ」
カナデがテーブルの上を指差す。そこには7階層〜9階層で拾った素材を中心に、魔石も入っている。仕分けしている最中にカナデから「なんかある?」と聞かれたが、「任せる」と答えたのでカナデの裁量でエクモカの分量が決められたが、俺としても同程度の分配を考えていた。
「あのさ、分配がおかしいって」
「いや、俺も同程度の分配を考えてた」
「1日の収入で既に契約金超えてるんだけど」
「明日も潜るから大丈夫だよ」カナデが親指をエクモカに示す。
「大丈夫じゃない!!」
「いや、契約笑いながらしてたじゃん」
「うっ、忘れてた・・・」
一応、エクモカの契約は5日間なので、残り4日間は残っている。4日後には、10階層のボスをソロで倒せるくらいになっていたい。理想の目標としては、の話だ。
「明日からはもう少し早く10階層まで行けるな」
「そうだね、今度は私もボスと戦いたい」
「あのね、ボス戦ってパーティー1組でやるもんじゃないし、ましてソロとか考え方おかしいから」
すでに呆れ気味でエクモカが話す。どうやら今回は俺たちが先行して倒したので、次の組みはボスの再配置までは問題なくリターン魔法陣を使用するか、先へ進めるらしい。なので、さっき揉めたパーティーも俺たちが3人でほんとうに倒したことを知っている。
「変に目立たなきゃいいけどなぁ」もう俺はその辺のことは諦めていた。
「いや、これで目立たないとか無理でしょ」
「とりあえず、リヒトと私は山分けでいいんだよね?」
「あぁ、それで問題ないからギルドで換金するか?」
「そだね」
エクモカの分配分を俺のマジックバックに一旦収納し3人でギルドに向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エクモカを先頭にギルドに入る。
どうも俺もカナデもあの喧騒を割って入る気にならないことを伝えると、「それだけ強くてバカみたい」と真面目に言われた。冗談の成分は少しも入っておらず、これが薬ならやさしさが足りないと思う。
エクモカは俺たちの予想通りズカズカと割って入っていった。中にはエクモカを知っているのか、受付に並んでいたのを譲る者までいた。
「ねぇ、ヴァニチいる?」
「ヴァニチはー、いるな」一本縛りの男性職員が答えた。
ヴァニチと呼ばれたギルド職員が受付のカウンターに来た。灰色の髪が腰付近まであり、右目が紫で左目が緑という変わった女性で、そんな色違いを俺は初めて見た。珍しいといえば、パンツルックじゃなく、スカートを着ていたのもそうだろう。
「エクモカ、どうしたの?」ヴァニチは俺たち二人を見た。
「ちょっと別室対応して欲しい。特にこの2人」
「へぇえ、珍しいね」
ヴァニチの緑色の目の瞳孔が細くなった気がした。なぜかカナデが俺の後ろに隠れた・・・実際は俺よりデカイからハミ出てるんだけれど。
「どうぞ、こちらへ」
受付カウンターを上に跳ね上げ、中に誘導された。この辺はアイルランダーと変わらないのかもしれない。アイルランダーの場合はカウンターが跳ねられっぱなしの箇所があったわけだが。
2階の階段を上がっているときにカナデに後頭部を引っ叩かれた。なんとなく心当たりはある、カナデがプリ尻と言ったせいだと心の中で言い訳しておく。
応対室に入ると大きめのテーブルが置いてあり、ひび割れた椅子まで似せたように4脚置いてあった。ルイに対応されていたことを思い出す。
「それで何の相談なの?」ヴァニチが言う。
「今日の分の換金をお願いしたい」
そう俺が言うと、カナデがマジックバックから今日の収穫すべてを出す。最初はヴェニチも普通に「あっ、これいいね」とか声を上げていたが、カナデが次々にテーブルに素材と魔石を置いて行くとすぐに無言になった。
「これで半分かな」
「結構、素材あるのな」
「こういう2人なの」久しぶりにエクモカは笑顔だ。反面、ヴァニチは無表情になる。
「あのさ・・・私だって忙しいの!こんな冗談に付き合ってられない」
「どういうこと?」カナデが尋ねる。
「まとめてないで、1日ずつに分けてきなさい!!!」
「これ半日分なの」カナデのケモミミがシュンとしている。ど偉い機能だと感心する。
「ヴェニチ、信じられないかもしれないけど、朝方出て、10階層のボス倒して戻ってきたところなの」
まだ夕刻よりは少し早い。結構倒しながら進んだが、カナデの俊足鍛錬みたいに素材を拾いまくっていたのが功を奏している。
「えっと、まずはランクと名前を教えて」
「リヒト、Aランク」
「私はカナデ、Cランク」
「10階層ボス部屋で、カナデはソロでスケルトン・ガード3体を倒す。Aランク並みに強い。リヒトはデクネスガードをソロで倒した。はっきり言って規格外」
ヴェニチが色違いの目をシパシパしている。
ごめん、失礼だけれど面白いし、綺麗だ。
「あれ?デクネスガードの魔石は?」
「あぁ、リヒトの方に入ってる。エクモカに渡す分」
「というわけで、エクモカの分は俺のマジックバックに」
「うるさい!!!」
ヴェニチに怒られる。
そこからのヴェニチの行動は凄まじかった。下に降りてギルド職員を1名呼ぶと俺たちにお茶とお菓子を用意し、猛烈に行動した。俊敏だけならカナデみたいである。カナデも嬉しそうにヴェニチを見ていたが、なぜかエクモカもほくほく顔で見ていたのが印象的だった。
「んんー、久しぶりの大仕事だ。明日の夕方に来てくれる?」
ヴェニチが一息つくタイミングで話す。どう見積もっても即金できるレベルでは無いらしく、ギルマス案件になるとのこと。ただ、全部買取りは可能だろうとの話であった。
「ちなみに明日もこの分量を持って来たら?」
カナデが真面目に確認する。俺でもその確認はしねぇよ!!
「もう貴方達と一緒に行動するわ。計算面倒だし」溜息を吐きながらヴェニチが言う。
「おっ、それいいね。そうしよう」俺は即答した。
「はぁぁ!?」言った本人の顔が歪む。美人が台無しである。
「それじゃぁ、朝方迎えに来るから」エクモカが非常に悪い顔している。
帰り道はエクモカが鼻歌を鳴らしていた。曲は分からないが多分音痴だと思う。




