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異世界転生、俺だけソロ活動から!!  作者: とかじぶんた
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カナデの決断

 「となると、余計に気になるんだがカナデの目標はなんだ?」


 そう言って振り返ったカナデは表情をコロコロと変えた。思いっきり感情の変化が現れていて、決意が固まったのか真面目な顔で話始めた。


 「リヒトは『ベグード』のこと知ってる?」



 そういって始まったカナデが語る内容は、ローンスターで『ベグード』が行った蹂躙(じゅうりん)の話だった。オトハもカナデもソウも被害者で、3人ともそれぞれに心に傷を負うには十分な話だった。その後、アイルランダーに来て数日で俺に会ったところまで説明したところで、カナデは声を殺して泣いた。


 「だから、ベグードは私が殺そうと思うの」


 それはなんとか振り絞って出した声だった。



 「・・・それ俺がやるわ」


 俺ですら簡単にできるレベルじゃ無いことも、太刀打ちできるかも分からない。当然、俺よりも弱い3人じゃ逆にやり返されて終わりだろう、しかも次は生かされる保証もない。


 カナデはなにも言わない。


 ただ、否定もしていない。


 俺に話した時点でカナデはそうすることも予想できている。俺の中では、ベグードの情報収集から討伐に変わっただけだ。あとは自分が追い抜けるよう実力をつけること。もし、魔王が俺に会いに来た時ら抵抗できるくらいの力が欲しいのだ。いくらなんでも転生したばっかりのエルフが魔王ほどは強く無いだろう。



 なんとなく思いつきでカナデに『ヒール』と『リカバ』をかけた。カナデは俺が回復魔法を使えることを知らなかったため、かなり驚いたらしく泣き止んだのが面白かった。「ホントできる男だな」と笑っていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 朝の鍛錬だが宿の近くにスペースが無く、街の外に出て行うことにした。門番に鍛錬と伝えると「努力家だな」と苦笑いされた。向こうも朝から大変だろうと思う。


 それに鍛錬の内容もカナデもいるし少し変化が欲しい。そう考えてカナデの弓を見ると疑問が出た。


 「なぁ、その弓って矢が必要なのか?」

 「はぁっ?どういう意味?」

 「いや、だから弦が魔力なら矢も魔力でできないのか?」

 「あっ、そういうこと!」


 カナデはそれだけで俺の意図が伝わったらしく、嬉々として魔力弦を張り始める。しかし、カナデの武器のロマンっぷりが凄まじい。ほんとギブリは何かカナデに贔屓(ひいき)していたとしか思えない内容だ。いつのまにか二刀流とかスキルついてるし!!!くぅ、悔しい。


 「ちょっとあっちに射てよ」

 「あいよ〜」気の抜けた声で答えるカナデ。


 「『ウィンドスピア』、っん!!」


 とカナデが放つと凄まじい勢いで風がまき、放たれた『ウィンドスピア』は水平に飛んでいたのが途中から上昇して空に消えていった。


 「なっ・・・そこは『ウィンドアロ-』からじゃね?」

 「マジで危なかった」


 カナデは全くコントロールできておらず、威力も凄まじかったから街に向かって放てば2・3軒の屋根は飛んでいただろう。ほんとうに街から出ててよかった。


 「使えたら矢がいらなくなる?」カナデは首を傾げる。

 「まぁ、そういうことだよね」

 「マジックバック貰ったから荷物に困らないんだよね」

 「そ・・・そうか」なんかそれはそれで残念だ。


 魔力が減る分のデメリットと相手が矢を装備しないのに不意をつけるって点を考慮すると、初弾はかなり有効なものになると思う。あと、『ウィンドスピア』とか更に上級魔法を射てたらもっと威力は上がるだろう。ちょっとヤバイレベルである。俺もうかうかしていられない。


 「そういう意味じゃ、リヒトはなぜ刀に魔法を使わないの?」

 「ん?・・・考えたことなかった」

 「私の弓で言ったことだよね?」

 「あぁ、そうだが・・・」



 というわけで、刀に今まで通りの魔力を通すのでは無く、『ファイヤ』を柄に通す。すると魔力はきちんと通った感覚があり、刃の周りの空気が陽炎のように揺らいで見える。その状態から真っ直ぐに刀を振る・・・あれ?なにも起きない。ただ、陽炎のような揺らぎはなくなった。


 「リヒト、もう1回やって」カナデが声をかける。

 「なんだよ、考えてんのに」素直にもう1回やる。


 「ほいっ」とカナデは何かを投げてきた。

 

 反射的にそれを斬る。


 ボウッ!


 斬ったのは樹の枝らしく、綺麗に空中で切れた後に燃えた。これは萌えるなぁ。明らかにRPGで見る魔法剣のイメージだ。ただ、刀が痛むのかどうかが気になる。普段通り魔力だけ通すと切れ味が抜群にあがるが、魔法付与すると効果がプラスされるかたちになるようだ。現時点だとオルトロスとかA級と戦わない限りは使う必要はなさそうである。あと、『ファイヤ』でこのレベルなので『ファイヤアロー』だと、まさか・・・。



 「ちょっとカナデ離れてて」

 素直にカナデは後ろに回る。


 『ファイヤアロー』を刀に込める。先ほどよりも刀に通る感触が強くなる。そのまま唐竹に素振り。


 フュッ!


 刀の軌跡に沿った方向に炎の斬撃が少しだけ飛ぶ。斬撃の距離は2m程度と微妙な気がするのと、威力がどうも無さそうに見えた。


 「すっごいね!!」カナデは俺とは違い興奮していた。

 「ただ使えるかは微妙だな」刀の状態を確認する。

 「ねぇ、私と撃ち合いしよ?」

 「無理だから!!俺、刀だから!!!」


 明らかに飛び道具として勝負したら負ける。『ウィンドスピア』の威力を相殺できるのは『ファイヤボール』くらいしか思いつかないし、火と風で相殺できるとも思えない。こういうところがカナデたる所以(ゆえん)である。



 この武器に魔法を通す訓練は、夜の魔法鍛錬にもメニューにも追加できそうだ。結構な魔力を消費するのと、コントロールが難しいところも良い。もちろん、カナデの場合は、街中禁止どころか人気(ひとけ)のあるところでは禁止である。



 そうこうしていると陽が昇り始めたので宿に戻ることにした。

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