サブスト12 ベグードの誕生 その4
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いったん森に戻り、すぐにミツル達よりも早く樹々を渡り街道の先へ進んだ。それにしてもミツルは気がついているかもしれない。バレてもおかしくは無いが、何を使ったかはまでは分からない。単純に俺の癖でも出てたのだろうか。
しばらく街道沿に森を疾ると、脳内マップに4つの反応が出た。警戒して少しずつ近づくと、上野総一郎と武井乙葉、あと知らない獣人がいた。もし、クラスメイトなら獣人は岩本奏の可能性が高い・・・。3人は、よく分からないナニカに襲われていた。
その様子をしばらく見ていたが3人は全く攻撃せず、乙葉が水らしきものを出したくらいの変化しかなかった。あまりに暇になったので風魔法の練習を始めたくらいだ。上野ならアレに勝てそうな気もするが、戦う素振りをまったく見せない。もしかすると異世界の身体にまだ慣れていないのかもしれない。少なくとも素手なら俺の方が上だと確認する。
ナニカから逃れた3人がやっと街の入口に向かった。街は城壁みたいな壁に囲まれていて出入り口に門番らしき人もいる。3人と門番のやり取りを注視していると上野が何かを渡し、街に入った。街に入るための賄賂だろうか?この世界の安全は金がかかるのは理解できる。自分も身分証明を持っていないのだから門番から質問を受けるだろう。ある程度の問答想定をしておく。
「こんにちはー」
「きみはどこから来た?」
森から出て来たのが見えていたのかもしれない。門番の表情は警戒しているように見える。
「いや、だいぶ前に森で狩をしてたら皆とはぐれたんだ。街で連絡を待とうと思っている」
「エルフが森ではぐれるのか?」
「あっ、それは偏見だね。エルフだって樹から落ちれば川に流され、滝に落ちる」
半分冗談でいうと門番は耐えかねたのか笑い声がもれる。
「でも、ほんとうに辛い。少し足も捻ったんだ」
少し前に人を蹴飛ばしすぎて疲れた、とは言えない。
「そうか、それでは銀貨2枚を払ってくれ」
言われた通り銀貨2枚を渡す。
「街で問題を起こすなよ」もう俺に興味がなくなったのか別の方を見ながら門番が言う。
「はい、助かりました」
一応返事を返し、怪しまれない程度に早足で街へ入る。一旦入ればセキュリティが弱くなることは世界共通だろう。
とりあえずメインストリートらしき所に着いたので旨そうな露天を探す。焼き鳥のようなものを食べたが食感はゴムみたいだったし、味も塩っ辛いものだった。どうも前世の水準で食べ物にこだわるとダメなようだ。少なくとも選んだ露天には何名か旨そうに食べていた人物がいたのだから。
いまの所持金が銀貨149枚だから、まずは宿を確保しつつカバンと武器が必要になる。当然、冒険者ギルドにも登録しておいた方が稼ぐのには便利な気がする。露天で話していた冒険者たちは西の森付近で稼いでいると話していた。ただ、魔族領が近いため、余り奥には入らない方がいいらしい。詳しくはギルドで確認したらいいだろう。
そんなことを考えていると、オトハ、ソウイチロウ、カナデ(推定)と思われる人物が話しているのが見えたので物陰に身をひそめる。オトハは俺のことを知っている。今更ながらに後悔しているが、それももう少しの辛抱だと考え直す。邪魔ならすべて始末してしまえばいいだけの話だからだ。
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3人が他の場所へ移動し、距離があいたのを確認した上で冒険者ギルドに向かう。ギルドの建物はそれほど広くなく、よくある2階建の普通の一軒家みたいなところだった。ただ違うのは地震がないのか柱の数が基本的少なく、その分スペースが大きく取られている。テーブルが2セットあり、冒険者がビールみたいなものを飲んでいた。目つきは悪く、俺のことをガン見してニヤついている奴もいた。
登録作業はそれほどかからず、身分保証に使えるものができた。ギルドの受付嬢の頬が赤く、明らかに俺に照れているのが分かったのが面白かった。前世でこんなことはまずありえない。おすすめの宿や武器・防具屋についても聞いておく。ついでに彼氏もいるか聞いたが「いないです」と間が空いて答えてくれた。出だしは上々だと思う。
依頼掲示板の説明を受け、ゴブリン討伐を受ける。とりあず、Dランク以上になると他の街でも入場税が取られない仕組みなのも分かった。魔石も冒険者ギルドで判定してくれるらしく、大きめのカバンに詰め込めば何とでもなるだろう。カバンを手にしたら西の森に向かうことに決めた。
メインストリートらしきところを歩いていた。知らずに鼻歌が出ていた。手を汚したのに俺は全く気にしていないことに気がつき、そんな自分に驚いた。




