教育的指導 その④
アバンタVSソウ、ダライVSケイトで前衛対決は決まったようだ。
アバンタとソウが激しく打ち合い始めた。一方、ダライとケイトは動かないのに精神を削っているのか、隙を見つけようとダライがケイトの周りを揺さぶっている。こっちは完璧な観客気分であるのと、ケイトがどう動くかが楽しみで仕方がなかった。多分、賞品がかかった試合ならケイトは本気を出す。
中距離、遠距離対決も面白く、カナデの矢をビューリが短剣で弾いている。今回、矢の本数は20本と制限がかかっている。そして、ビューリが何本かを弾いたところで、「『ウォーターアロー』」でオトハが参加する。
オトハが魔法を打つタイミングを待っていたバンジーが「『ファイヤーアロー』」を使う。オトハは避け切れず、魔法バリアの一部を削られた。バンジーがニヤリと笑う。完璧に悪役の顔をしていた。
「これ、パーティー戦じゃない方が良かったかなぁ」と独り言ちる。
「いえ、冒険者はパーティー戦が基本です。武闘会でもなければソロは余りないですよ」とルイがフォローしてくれた。あの・・・俺はソロですけれども。
そんなくだらない話をしていると試合が動いた。
まず、削られて動揺したオトハがビューリの矢を2本受けて退場となる。だが、そこからカナデは頑張った。今日試したばかりの立体移動と矢のコンボを実行した。さすがに見たことのない技だったのか、固まった二人をカナデはAIMを合わせ、なんとかビューリを退場にする。
カナデVSバンジーの構図となったが、矢が尽きたカナデは今一歩でバンジーに届かなかった。
ここで3対2になるところであったが、さっきまでダライを見合っていたケイトが勝利に油断したバンジーを吹き飛ばした。一瞬の出来事にダライも間に合わずびっくりしていたが、バンジーが飛んできたのが俺の方だったので受け止めに成功。刃引きしている剣よりもケイトの拳の方がやばい・・・。
また2VS2になる。この間、アバンタとソウが休みなく打ち合っていた。そんなガチンコ脳筋対決だったが、均衡はアバンタに傾いた。ソウは俺と打ち合い、実力は明らかに増したが、両手剣独特の動きを隠していたアバンタに裏をかかれ退場となる。あれは俺も引っかかったと思う、いいものが見れた。
そして残ったのは、アバンタ、ダライVS ケイトとなった。両手剣で牽制するアバンタの攻撃をバックステップで躱し、その着地点をダライが水平に剣を振るう。致命傷を狙わず、少しずつ確実に削るための連携処理だった。
対するケイトは水平に振るわれた剣に下から拳を当てるとダライが一瞬固まった。その瞬間、ダライの魔法バリアが消滅した。退場者全員が唖然としたのは言うまでもなく、真横でそれを見たアバンタが動揺するのは仕方がないだろう。構え直そうとしたアバンタに対しケイトが顔面を蹴り飛ばした。
ケイトが3人吹っ飛ばして模擬戦は終了したのである。
「いやぁ〜、ご馳走様です♪」とケイトは超ご機嫌である。アバンタ達が気落ちしすぎてるのに全く気に留めていない。むしろ、それすらご褒美にしている感があった。それにしてもヤバイな、ケイト。
「やっぱり隠してたんだな」満面の笑みのケイトに話しかける。
「そりゃ、お姉ちゃんだもん。女性と商人に秘密はつきもの」きっぱりと実った胸を張っている。
「参るなぁ・・・俺たちも訓練し直そう」とかろうじてダライが言う。
「俺たちもだな」とソウが立ち上がって言う。
「今日はいろいろと勉強になりました」とオトハがビューリとバンジーに声をかけていた。バンジーが鼻の下を伸ばしている。まぁ、いいところ見せたよなぁ。
「あんな弓使いみたことないよ」とビューリはカナデに話していた。
各々感想戦みたいなのが始まり模擬戦は終わった。
ちなみに賞品はケイトがオウヒメイチゴとキワラズベリーをそれぞれ2個もらい受け、3人はそれぞれ各1個ずつ配分されたようだ。今回の模擬戦でもっとも印象に残ったのは、ケイトがバンジーに「買う?」と肩を組み、悪魔の呟きをしていたことだ。結果は俺は知らないし、怖すぎて聞きたくもない。




