癒しのギブリと驚きのエルフ
今日の更新は閑話とメインが同時です。
ギブリの店につくと珍しく客がいた。赤い髪で漆黒の鎧を着ている。結構できる雰囲気の男で、腰にはソードを装備していた。鞘も立派で、他の装備も上質なものだった。
「いいお客さんがついてるんだね」とギブリに話しかける。
「あいつのことを知らんのか。リヒトは冒険者だろ?」
「だれなの?有名人?」
「Bランクのモーランだ。剣士だぞ」
「わからん。俺もBランクになったぞ。それより、この鎧と剣のことで相談したい」
カウンターに斬られた軽装鎧と剣を置く。ギブリはすぐに目を落とし、集中したのか無言になる。
「まず、軽装鎧だが、これはウチで直せる。ただ、材料がないから揃えば修復できる。剣の方は良い剣だと思うが、お前の使い方には合わないと思う。これは鍔迫り合いを好む者が使う剣だ」
ギブリの言ったことは的確に俺の戦い方をあらわしていた。まぁ、体重も軽いし、スピードと切れ味に極フリしているような俺の使い方も分かりきっているか。ギブリにお礼を言い、剣のことは形見みたいな物だから保管する旨をつたえる。問題は、不足している材料である。
「リザードマン系の皮が複数必要だ」とギブリが言う。
焼却しないで材料ももらっておけば良かったと思う。
「グリーンオークの皮ならどう?」と念のため確認する。
「修復出来ないことはないが、斬られた箇所だけ強度が弱くなるぞ」
「ちなみに今軽装鎧ってある?」と聞いて思い出した。
「ウチは武器屋だ!!」ギブリに怒鳴られた。
愛刀のメンテナンスを頼み、前に品揃えの良かった防具屋に行く。予算もある程度なら確保できたので楽しみなのだが、ここの店員さんが冷たいんだよなぁ。
「ちわー」と入り口で声をかけるも誰も反応しない。あれ?と思っているとカウンター奥にエルフが座っていた。
「はじめまして、リヒトと言います」とこちらから普通の挨拶をする。
「・・・ダークエルフか、店に嫌味でも言いに来たか?」とエルフは話す。
普通のエルフの肌ってきれいなんだな、としみじみ思う。髪は青みがあるシルバーで、伸ばした髪は後ろで一纏めにしていた。声の感じからして男性だと思われるが正直わからないほど中性的で美形だ。
「いや、防具を買いに来たんだ。軽装鎧はないか?」と目的を話す。
「武器は何をつかっている?」
「刀だ。あと片手剣も使う」と話すと無遠慮な視線をこちらにする。今は木剣を腰につけている。
「ダークエルフが刀とは物好きだな」そういうと店の奥に入っていった。
背を向けたとき少しだけ笑ったように見えた。
探してくれている間、その場から視線だけで周りを物色する。魔法向上(弱)のローブは売れたのか無くなっていた。鎧と一緒にローブも斬られたので買い換えたい。
「こんなのでどうだ?」とエルフが3つほど軽装鎧をテーブルに置く。
「右から、素材はゲシュルカ、コッカトーリー、ガゼルになる。値段もそれぞれ金貨2枚、5枚、7枚だ」
「手にとって見てもいいか?」コッカトーリー以外は初めて聞く名前だ。
エルフは頷いてて渡してくれた。それぞれの可動部位を確認するが、作りはどれもしっかりしている。ただ、グウェンとシュエルの軽装鎧には劣るように感じた。
「あの、これ使ってたんだけれど、斬られてしまって」カバンから鎧を出して見てもらう。
「・・・なにに斬られた?」美形に睨まれると怖い。
「リザード・ソードだ」
「ふむ・・・うちで修繕できるから3日ほどくれ」と意外な答えが返って来た。
「ほんとか!!ぜひ頼む・・・えっと名前教えてくれ」
「イヴォーグだ。修理代が金貨15枚だが大丈夫か?」
「ちなみに修理材料はなにを使う?」
「リザード・マスターだろ?心配しなくても在庫はある」
前金で金貨5枚、引渡しに10枚支払って欲しいと言われたが、全額前金で払うと伝えると、イヴォーグが一瞬驚いたあとに笑った。あと、一緒にローブも探していることを伝えると、引渡しまで待てと言われた。探してくれるらしいのでお言葉に甘えた。
それにしても、誕生日ギフトの軽装鎧はリザード・マスターで作られてたのか・・・。そりゃギブリに「エルフのボンボン」とか言われるよなぁ。冒険者ギルドで初級ランクがそんなの装備してたら狙われるのも納得である。
とりあえず、鎧が無くても大丈夫そうなグリーンオークを討伐に西の森に行くことにした。




