閑話 ルイの風景
今日の更新は閑話とメインが同時です。
その日もいつも通り執務室を掃除し、カウンター前の観葉植物に水をあげる。依頼掲示板に張り出された依頼を見やすいように配置し、受付と逆側にあるパブスペースに向かい、無造作に捨てられているゴミを拾う。いつもの私のルーティンだ。
午前のピークを過ぎた。なんとなくいつもなら書類整理か2階の対応部屋の整頓をする頃だが、私は受付が気になって仕方がなかった。普段はこんなことは無く、勘が働くのか大体が変な冒険者が来たりする。ぼんやりとそんな事を考えながらテーブルの未処理の書類を処理していく。
最近、新人冒険者がランクアップを急ぐ傾向が高く、ギルドの方で少し止めるよう本部から通知がきていた。ギルドも冒険者あってのものである。冒険者の希望に沿った対応を求められるが、無理を認めて死なせてはいけない。このあたりはギルド職員でも難しい調整となる。大体荒くれ者でその日暮らしの人が多いなか、ギルド職員の話をよく聞いてくれる人格者のような冒険者の割合は少ない。逆に、しっかりと信頼が確定されれば、その冒険者のランクは上がる確率がはね上がる。
いくつかの処理に集中し、イルカにも書類の修正をするよう指示していた。
カランと入り口のドアが開いた音がする。書類から目をあげると、褐色の肌のエルフらしき人が入ってきたところだった。金髪できれいに切り揃われた髪が窓から入る光に反射する。宝石みたいな人だ、と思った。ただ、顔に少し幼さが残っている、そんな印象をあたえる。
思わず見入ってしまい、自分が凝視していることに気がつく。すぐに書類を処理しているフリをする。
あの人の担当になりたい。
私情を入れないよう職員として振舞っていたが、直感めいたものがあった。
「冒険者の登録をしたいんだ」
そこから先の、どこか愉快で本気で怒ったり、頭を悩ませる日々がくる事を私は知らなかった。




