お熱いうちにお召しください
これで第2回ひとり更新祭は終了です。
1時間毎にお付き合いしてくださった方、
いらしたらめちゃ嬉しいです。(^-^)9
よろしければ、感じたままの評価や感想を頂きたいです。
第3回ひとり更新祭(2月予定)へのエネルギーに変換いたします。
ほんとうにお付き合いありがとうございました。
部屋に着くとすでに夕食の時間は始まっていたが、いろいろあって食欲が湧かなかった。どうもスッキリしなかったのでメイプルにタライを借りて魔法訓練をすることにした。
お題は『ウォーターボールの温度調整』である。いつも風呂代わりにやっているウォーターボール後の水をファイヤーで温度を上げるのでは無く、【熱湯のウォーターボール】を作れるか挑戦する。とりあえず、ウォーターボールを空中に浮かべ、その水が温まることをイメージする。『温めよう』という意識を持つだけで魔力の消費が違うから、方向性としてはできるのかも知れないと手応えを感じる。
一定時間経過したウォーターボールをタライに軟着陸させる。
指で温度を確かめると僅かに温かい。やっている事はぜんっぜん時間効率が悪いのだが、本人がものすごい集中をするので終わった後にスッキルする。『意味があることを、より効率的に』という前世の行動指針から、随分と『無駄なことに、でも、興味が強い方向に』行動するようになった。もっと前世も楽しめば良かった、こうなってしまったから余計に思うのかも知れない。
ぬるま湯で顔を洗い、体もあわせて拭く。スッキリしたところで食欲も出てきたため、タライを返しがてら夕飯を食べるために食堂におりる。食堂ではもう殆どの人が食事を終え、テーブルのジョッキをおのおの傾けている。
「おう、遅かったなぁ!!」と振り返るとダライが声をかけてきた。
ここのところダライは俺の食事の邪魔をしすぎだと思う。よって無視することにした。今日はほんとうに疲れた。
「横、座るぞ」とカウンターに座る俺の隣に腰をかけようとする。
「そこは私の席なの!!」と珍しく大きな声でメイプルが言う。
「そうなんだ、空けてふれ」と今日の燻製ハムとサラダを頬張りながら言う。
「なっんだよ。メイプルはリヒト思いなのかよ」となんやかんやとやさしいダライが言う。目元が笑っている。
「んで、どうしたんだ。お礼はいらないと昨日から言ってるぞ」
「いや、おまえはなんで『俺が回復魔法を使える』って思ったんだ?メイプル、これ内緒な」と最後の方でメイプルを見る。メイプルは手のひらを上に向けてダライに出していた。できる子だな、メイプル。
「逆に聞くが自分の能力をどれだけ把握してる?」どうにも違和感を拭えない。
「そりゃぁ、Dランクに上がった頃に鑑定をギルドで受けて、その結果、いくつかの能力を伸ばすように鍛錬はしたつもりだ。ただ、魔法を使えるなんて結果はでていなかったし、俺自身、魔法を使えるなんて思いもしなかった」
「じゃぁ、ギルドの鑑定結果は今ならどうでると思う?」そう言った俺の顔をダライは唖然と見つめている。
「おまえ、【鑑定スキル】まで持ってるのか?」ダライはエールも飲まずに喉を鳴らす。
「いや、持っていない」と即答すると、ダライはジョッキを勢いよく傾けている。情緒不安定だな。
それよりも『アナライズ』って一般的な生活魔法じゃないのか?こんど受付でルイに聞いてみよう。
「ところで、西の森ってなんかあったのか?あと、ギルドのドーダ騒ぎは落ち着いたか?」と直球でダライに話す。もう大体のことは察しがついているだろうし、今更何も言わないだろう。
「西の森は異変があってギルドで探査パーティを募集中。どうも爆音が出て、コッカトーリーですら飛び去ったらしい。ドーダの件は、西の森の異変に話題を取られている。一部の人間がホッとするんじゃないか」と言い切ると、残りのエールをいっきに飲み干した。CMに出れる音だった。
「ホッとしたか?」とドヤ顔でダライが言う。先ほどの意趣返しのつもりらしい。
「ホッとしたな」と素直に返しておく。あと、情報もくれて有り難かった。
「リーダーも俺の魔法で良くなるし、捨てる神もありゃ拾う神もあるもんだな」とダライが席を立つ。メイプルがチップを受け取っていたのを俺は見逃さなかった。恐ろしい子、メイプル。
ダライに賛同できることがある。
拾う神は確かにいたよな。




