裏番長と凄むオッさん
精魂果てたとまでは言わないがギブリの説教は強烈だった。「クソ若い小童」「世間知らずのボンボン・バカエルフ」「金属は不要だ、モヤシっ子のワールドクラス!!」だの散々な言われようだった。火力を上げた『ファイヤー』の爆音後くらいに耳が痛い。いや、どちらかっていうとパチ○ロに行った後みたいだな・・・もちろん、社会見学のときのことだ。社会勉強じゃなく、あくまで見学、リールをキープウォッチング・・・じゃない!!
そんなアホなことを考えて宿の近くまで帰っていたところ、見覚えのある3人組がやってきた。またヤレヤレ無双をさせるのだろうか。疲れているだけに考え方も短慮になっていることを自覚する。
「『どうもおばんです』って感じじゃないよな」先に話かける。
「いや、羽振りがいいって噂をきいてな。これから飲みに行かないか?」と真ん中の男が話す。
「悪い、今日は疲れちゃって。ルーキーだし」
「先輩たちが役に立つ知識を教えてやるよ」と低い声の左側。右側は無言で、最初から殺気だっていた。
グウェンみたいに圧力だけで相手を震え上がらせればいいのかもしれない。それが出来れば追われることも無くなるだろうし、次はやっつけましたよ・・・みたいな感じにはなる。俺はそれほどの圧力はかけられないよなぁ、アレの正体はなんだったのか未だに謎だ。あと、すこし系統が異なるがシュエルの微笑みもか。
「おい、聞いてるのか!!!」と左側が大声を出す。
あぁ、もうごめん。まったく聞いてませんでした。
それとウザイ!!と本気で思うと、躊躇しないで圧力を3人組にかける。とりあえず、自分の殺気を3人組のいる空間に閉じ込めて霧散しないよう試みる。するとそう時間も経たずに変化があった。
まず、勢いのいい左側が失禁した。次に真ん中は腰を抜かし、残った右側は小さな悲鳴をあげて抵抗している。どうもブラックな自分を強く感じ、そのまま圧力を緩めずに保つ。すると、右側もついに腰を抜かし、左側については口から泡をふいて失神している。
さすがにその様子を見たらブラックな自分はすぐに霧散し、いたたまれない気持ちになった。初めてで加減がわからなかったとはいえ、やりすぎたのかも知れない。ただそうは考えても心の一部で『やればできる子なんだな』とちょっと思うのは仕方がないだろう。
「ねぇ、先輩、これからいろいろ教えてくれるんだよね?」と最も耐えた右側に近づき話しかける。
右側のオッさんの口だけが動いた、音はまだ出せない様子で短い呼吸音だけが聞こえる。
「どうしたんですか。そんなところに座って」とシュエルから教えてもらった微笑みを忘れず、手を差し伸べる。
「ひぃいいい!!す、すまんかった。オ、オレが、オレたちが間違ってた!!!」と両腕で顔を隠しながら怯む。
「それでは、今後はお会いすることは無いと思いますか?」と姿勢を戻し、真ん中のオッさんに目線を合わせる。オッさんは言葉を発せず、縦にゆっくりと頷いた。
「では、隣の酔いが回ってしまった方もお連れしてくださいね。もし、仲間を置いて言ったら僕は怒りますから。それでは失礼します」と頭を下げて去る。
背を向けてからもしばらくは『サーチ』を使ったが、誰も3人には近づかなかった。自分の宿についてからも3人は動かないので多少は心配したが、命を狙われた可能性もあると思うとバカバカしくなり気にするのをやめた。




