サブスト7 深慮は能力を裏切らない
カナデが獣人だったことに驚いたが、それ以上に容姿を変えていたことに少なくないショックを受けた。前世では身長が170cmの自分よりも小さくて可愛かったカナデが今や私の身長を優に超えている。もしかすると180cm近くあるのではないだろうか。すっかり可愛い系から美人系に体型もチェンジしてしまっている
ピコピコ動く可愛い耳、フサフサしている尻尾が優雅に揺れていた。
ちょっといいなぁ、私も変更したら良かったかもと考えてしまう。
「それにしても思い切ったことをしたね」とカナデに話しかけると、カナデはワザとらしくテヘペロしている。尻尾がソウにめっさ当たっている。ソウは今のところなにも言っていない。柔らかくて気持ちがいいのだろうか。
「さて、まず確認はこれから3人で街に入るけど、事情をどうやって説明しましょうか」
「さすがに転生しましたー、って門番に言っても意味不明だよね」
「たぶん、冒険者として入るのが1番良いと思う。すぐに冒険者として身分証明さえしてくれれば出入りも楽になるだろうし」とドアを開ける前に考えていたことを伝える。
「そっかぁ。特に反対はないよ」
「ソウは?」会話に入って来ないソウに話をふる。
「俺も反対は無い。ただ、他のヤツらがいないのが気になる」と私が思っていたことを言う。それに答えたのは以外にもカナデだった。
「それはねぇ、ドアを開けたときに同じスタート位置じゃないからだと思う。私もそうだけれど、スタートからしてソウとオトハとは離れていて焦ったんだから。しかも私は森の中からスタートで、さっきの獣みたいなのもいたから、出るまで手汗ビッチャだった」
「それじゃぁ、私たちは街道近くからスタートしたのは偶然だったのね」それだと街に着くのは早い方かも知れない。
「こういっては何だけれど、早く着いたのならすぐに街に行きましょう。あまりに『身分証明のない人間』が多く街に入り始めたらどこかで規制が入るかも知れない」と立ち上がりながら二人に伝える。
「そうだな、早く行こう。あと銀貨30枚をどう使うかだな」とソウが話す。
「それも街にいってから決めましょう」とカナデとソウを見ながら伝えると、二人とも頷いてくれた。
門番の前には誰もいなく、近づくと私たちを怪訝そうに見ていた。人間2名、獣人1名だと、この辺りにあまりいないのだろうか。そこまでの知識が足りない。つくづくこの世界の常識が欲しいと思いながら、簡素な槍を構えた門番に話しかける決意をする。並び方は一直線ではないが、私、ソウ、カナデの順である。
「すいません、この街で冒険者として生活をしたいのですが」と門番の目を見て話すと、直視しすぎたのか門番は目線を逸らす。もしかすると、私の容姿はある程度この世界でも通用するかもしれないと自覚する。
「君たちはどこから?」
「彼女の森の集落でお世話になっていたのですが、冒険者で生活をしようと思いまして」事前の打合せ通りに話すと、カナデは妙に胸を張り、中途半端な演技をしている。ソウは腕を組んで黙っているが、筋肉質なだけに少し話をして欲しいくらいだ。まだ門番と私以外はだれも話していない。
門番はソウとカナデの様子を見ている。カナデが礼儀正しく、「よろしくお願いします」と礼をしたのが好印象だったのか、門番の緊張が取れた雰囲気になった。
「わかった、それでは通そう。くれぐれも問題を起こさないように、それと銀貨2枚を払ってもらう、3人分で6枚だ」
払おうと思っていたところ、ソウが前に出てきて全員分の銀貨を門番に渡した。
「ちなみにオススメの宿ってありますか?」と門番に話しかけると冒険者ギルドで聞くことを勧められ、場所を教えてくれた。初めての異世界人とのコンタクトはよく分からないまま終わった。




