初めての依頼とEランク
依頼掲示板を見ていると、こっちを見ながらニヤニヤしている冒険者がいた。『まるっきしお約束だな』と思っていたら、仲間と一緒に「木剣だってよ。どっかで冒険者ごっこしてんじゃねぇよ」とジョッキを傾けている。俺は前世同様に無視でいくことにしている。どうみても暇すぎるからなんだろう、そっちこそ依頼をして金を稼げと本気で言いたい。
自分の限られた時間を有意義に使わず、周囲の足を引っ張るなんてムダも良いところだ、というのが持論。でも、有意義に絡んでいるのかもしれないなぁと考えていると声が聞こえた。
「リヒトさん、判定が終わりました。全部ゴブリンで間違いなかったのですが、あの・・・ゴブリンアーチャーとゴブリンソードが入っていたのですが良いのですか?」と受付嬢が言う。
「えっとどういう意味だ?あと、ごめん。名前を教えてくれ」
「すいません、名乗り遅れましたルイです。アーチャーとソードはゴブリンですが、EランクからDランクに上がるときにも有効となる魔物です。なので、今回はFからEに上がるなら過剰になるのと、カウントは1体となってしまうので実質はリヒトさんの損になるかと」と丁寧に説明をしてくれる。結構良心的なんだな、冒険者ギルド。
実質的には損かもしれないけれど、まだマジックポーチ(革カバンの中)には魔石はあるので、そのまま処理をしてもらうことにした。魔石の価値としては、1体で清算されるわけでは無いので全く問題はない。
「それでは、魔石代がこちらになります。あと、リヒトさんの冒険者タグがこちらです」とトレイに銀貨32枚とカードみたいな冒険者タグが置いてある。ゴブリン10体で銀貨32枚ならそこそこの稼ぎなするなぁ。ルイにオススメの飯屋と宿を聞くと、少し離れたところに食堂と宿を兼ねたところを教えてくれた。ルイと呼び捨てにしているが、明らかに20歳くらいで俺(ダークエルフ6歳)の馴れ馴れしさに恥ずかしくなるが、背も同じくらいなため年齢詐称も十分に通じる。
帰りがけにルイに街の中での冒険者の暴力について確認すると、「ギルドは関与しませんが、衛兵に事情説明はあり得ます。できれば避けて欲しいです」ときっぱり答えが返ってきた。心当たりがあるのだろう、言い終わった視線はパブを見ている。あと、この時間帯であれば、冒険者が比較的少なく、ルイが受付にいることがわかった。
さて、予定通り街の散策をしよう!!と伸びをしてギルドを出る。少し歩くと同じペース・間隔で付いて来る冒険者が3人いる。どうもパブで絡むだけじゃ満足できなかったらしい。サーチで引っかかることすら分かっていないのか・・・と晴れた空を見上げた。『はぁ〜、めんどくせぇ』とため息つくくらいは仕方がない。




