師の教え
「まず、ブロッセも常時使っておけ」
「他に常時使っておけばいい魔法ってある?」
「『サーチ』、『ハイド』、『アナライズ』、『ブロッセ』程度はAランク冒険者なら大体使ってる」
「俺たち、初めて『ブロッセ』聞いたんだが・・・」
「今知ったからマシだろう、後ろの3人も常時使っておけ」
3人は黙って頷いていた。だれも質問とか本当にしないところが偉い。
「あのさ後で良いから質問してもいい?」
「いましろ、面倒だ」
「”ヴァーズ”って何者?」
「・・・どこで知った?」
美形にキッと睨まれると怯むな、というよりかイヴォーグの威圧が漏れている。
「こないだの祭の参加者に『カルロ・ヴァーズ』って俺より小さい獣人が挨拶していった」
「・・・」先を話せとイヴォーグが顎で即す。
「それで、直感だけど俺より強かった。あと、『君はできそうだな』って言ってた」
「おまえ、まさか・・・」
イヴォーグが困惑した表情を俺に向ける。
「俺もなぜかヴァーズだ」
ここまで来たら言うしかないだろう。ただ、ステータスはすべて見れるのに『ヴァーズ』が見えていないのが分からない。
「ついでに、イヴォーグが察している通り転生人で、なおかつ、意味も分からずヴァーズなんだ」
しばらくすると急にイヴォーグが笑い出した。美形が大声で笑いだすとホラーレベルがグッとあがる。後ろの3人なんてトラウマを思い出したのか震えている。グウェンとシュエルに相談せず、イヴォーグに先に話すのもあれなんだけれど、光魔法使えるし2人に聞きにくかったんだよなぁ、と思考を巡らせているうちにイヴォーグが落ち着きを取り戻した。
「まず、『カルロ・ヴァーズ』はおまえの敵になるだろう」
「あんな強いヤツがぁ。詰んでるじゃん」
「だから訓練が必要だ。おまえら3人もちょうどいい。転送する」
早く付いてこいとイヴォーグが手で招く。カウンター奥の道を来た時とは逆方向に歩き、扉を開けると魔法陣らしきものが床と天井にあった。
「すぐに始める。4人とも魔法陣にのれ」
「えっ、リヒトどこいくの?」
「イヴォーグ!!」
「とりあえず、『ナビカ』帝国へ転送する。全員冒険者タグは使うな」
そういったイヴォーグが妙なタグを渡す。
「そのタグは昔Cランクだった者のだ。ダークエルフだからリヒトが使え」
「俺以外にダークエルフの知合いいたの?」
その質問には答えず、イヴォーグは更に腰にかけていた袋を投げつけてきた。
「あと、ダッケンリットという街にニッポリさんがいる。そいつにイヴォーグに紹介されたと言え」
「日暮里?」
「ニッポリさんだ。さん付けしろよ。あと、魔物が段違いに強いから死ぬなよ」
そう言い切るタイミングで魔法陣が起動した。周りから軽い鐘のような音が頭に響いた。




