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第4.5話_番外編_孤児院と戦争

番外編オマケです。本編には直接関係しません※

「孤児院ってどんなところ?」


 騎士たちが立ち去った後、燃え落ちた我が家の隣家のドアを叩いているところでカケリが言った。


「あ? 孤児院?」

「さっき話してたでしょ? 流れ者だからどうとか」

「ああ、他の国じゃ違うのか。どんなところっつっても名前の通りだ。親のいないガキを収容する施設」


 そう言ったところでようやくドアが開いて隣人が顔を覗かせた。「何だよ罪人」とかぬかしやがる。


「ドアバンバン叩かないでくれよ。騎士団に狙われるような奴と関わりたくねえ」

「単刀直入に言う。干し肉と水を寄越せ」

「ご、強盗か!?」

「やかましい。何回も安めの料金で護衛だの雑用だの請け負ってやっただろうが。手渡せる分でいいからサッサと渡せ、恩返し出来なくなっても知らねえぞ」

「何だよその脅し文句……」


 隣人はそう言ってしぶしぶ引っ込んだ。保存食ゲットである。


「ねえ、孤児院ってさ、子供ならポンポン入れるようなところなの?」

「ヒューマンならな」


 ヒューマン、というのは種族名である。耳が尖ったり単眼だったりしない二足歩行人類を指す。日本人でもイギリス人でもこの世界に来たらヒューマンとして扱われるハズだ。


「じゃあドワーフとかエルフなら入れない?」

「無理だな。よっぽどステが高くて身分が潔白じゃない限りスパイ扱いされるだろうよ」

「スパイ?」

「お前もしかして何も知らねえ?」


 ぴょんぴょん跳んで俺の服を揺さぶってくるカケリに目を向けると、ヤツはニコリと笑った。何だこいつ。


「つまりだ。ここはヒューマン主体の国だろ? で、西に行くとドワーフたちの、北に行くとキュクロプスたちの国がある。ここ数十年くらいはそこらとずっと小競り合いしてるワケだ」


 前世でも国同士の(いさか)いや人種による戦争があったが、その辺りは今世も大して変わらない。むしろ言語が世界的に統一されているせいで罵声がダイレクトに伝わり、(ののし)り合いが活発なくらいだ。


「小競り合いすれば死人が出る。死人が出れば孤児も出る。で、そういうガキを収容するために、お優しい我が国にはそこかしこに孤児院を建ててくださってるわけだ」

 ちなみに我が国は結構容赦(ようしゃ)なく徴兵(ちょうへい)する。そして孤児院で育てられたガキが一定のステータスに達した場合、そのままガキは公僕になる。達しないガキは放逐だ。俺のように。


「孤児院はいいところ?」

「あー……まぁ最低限生きてはいける。教育だって受けれるしな」

「じゃあネモはわたしをいいところに連れてってくれようとしてくれてたんだね!」

「そいつ自身はまともな行き先が無いからね」


 やってきた隣人がボソリと口を挟んだ。キッと睨みつけてやると、隣人は革袋を2つ突き付けてくる。


「北の方はマシな領主がいるらしい。ほらもう用は済んだろ、サッサと行ってくれ」


 俺が革袋を受け取ると隣人はバンと木製ドアを閉めた。意外に革袋は重い。石でも入ってるのかと思ったが、違った。水と干し肉、それに薬草っぽいのもある。


「無いの? まともな行き先」


 俺はドアに向かって頭を下げた。「恩に着る」と言っておく。で、(きびす)を返す。


「サッサと行くぞ。とりあえず北」

「良かったね! わたしと一緒ならあるよ、行き先!」

「絶対マトモじゃねえだろ」


 何せ「魔王を殺しに」がコイツの目的だそうだから。付き合うとロクなことにならない気がプンプンする。折を見てオサラバしよう。そうしてやる。




 この時点で、何となく簡単にはオサラバ出来ないような予感がしていたのは内緒だ。そしてそれは事実になる。

オマケまで読んでいただきありがとうございます。

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