09.鬼畜メイドさんとの謎なぞ
「おはようございますぅ」
キャッタンが眠そうにそう言うと、ミレカが口を開いた。
「おはようございます。キャッタン様」
「あれぇ、二人はまだ起きてないんですかぁ?」
「魔王様は、ご用があると言って魔界に。王女様はまだ寝ています」
「そっかぁ」
キャッタンは黙り込んだ。
(……き、気まずいですぅ。ミレカとはまともに話した事がないんですよぉ。とは言って、自室に戻るのも、話したくないと思われたくないですしぃ)
「キャッタン様」
「はいぃ、何ですかぁ?」
「謎なぞを出していいですか?」
「はい?」
キャッタンは驚いたような顔をした。
「第一問。布団を買うのに迷ってしまう調味料とは、何でしょうか?」
「そんな急に始めないでくださいぃ……」
キャッタンはそう言うと、考え込んだ。
「マヨネーズ……ですかぁ?」
「その理由は何ですか?」
ミレカはそう問いかけた。
「布団を買うのにマヨってしまうからですぅ」
「……そうですか。正解は――」
ミレカはそう言うと、間を開けて口を開いた。
「ドレッシングです」
「何でですかぁ!?」
「どれ? 寝具……だからです」
「……くだんないですよおぉぉ!?」
「第二問。口が三つあるものとは、何でしょうか?」
「もういいですよぉ! 暇なんですか?」
キャッタンは顔をしかめた。
「私は暇ではありません。キャッタン様と一緒にしないでください」
「何なんですかぁ! ……口が三つあるものぉ」
キャッタンはそう言うと、また考え込んだ。
「あっ……分かりましたぁ! 品は口が三つありますぅ。だからぁ、品物ですねぇ!」
「……そうですか。正解は――」
ミレカはそう言うと、また間を開けて口を開いた。
「ケルベロスです」
「急にファンタジーにならないでくださいぃぃ!」
「忘れたんですか? この作品はファンタジーですよ?」
「そうですけどぉ」
キャッタンがそう言うと、ミレカが微笑んだ。
「最後です。怠惰な生き物とは、何でしょうか?」
「怠惰な生き物ぉ……?分かりましたぁ! ナマケモノですねぇ!?」
「……違います。正解は――」
ミレカはそう言うと、真顔でキャッタンを見た。
「頼んだ仕事もせずに寝る。キャッタン様。あなたです」
「へ……?」
「全問不正解ですね。罰ゲームがあります」
「き……聞いてないんですがぁ?」
「言ってませんからね」
ミレカはそう言うと微笑んだ。
「……こういう時はぁ、逃げるんだよぉ!」
「待て、こらぁぁ! 仕事しろやぁぁ!」
ミレカはキャッタンを追いかけた。
◇ ◇ ◇
「ふあぁ……おはようございます」
セシアはミレカを見てそう言った。
「おはようございます。王女様」
セシアが辺りを見渡した。
「エレントス様とキャッタンはどこに?」
「魔王様は魔界に。キャッタン様は自室にいますよ」
ミレカはそう言うと、そのまま立ち去った。
「キャッタンが寝る以外の目的で自室にいるなんて珍しいですね」
セシアはそう言うと、キャッタンの部屋の扉をノックした。だが、反応がなかった。
「入りますよ?」
セシアが入ると、そこには椅子にぐるぐる巻きにされたキャッタンがいた。
「キャッタン……?」
「謎なんか解かなくていいんですよ」
「どうしましたか?」
セシアがそう言っても、キャッタンは乾いた笑みを浮かべるだけだった。




