↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/43

27.そうだ海へ行こう!

「そうだ。海へ行きましょう!」


セシアはエレントスを見つめてそう言った。


「タイトル回収、早すぎだろ」


エレントスがそう言うと、ふわふわとキャッタンが近づいてきた。


「じゃぁ、魔界ビーチに行きましょうよぉ」


「良いですね!みんな誘って行きましょう!」


セシアがそう言うと、エレントスは目を逸らした。


「我は行かないぞ。三人で行ってこい」


「何でですか? ……もしかしてエレントス様、カナヅチなんですか?」


セシアはニヤニヤしながらそう言った。


「違ぇよ!……なんだ、日焼けするだろ」


「乙女ですか!?ほら、キャッタンも何か言ってくださいよ!」


セシアがキャッタンを見ると、アロハシャツを着て、派手なサングラスと浮き輪まで身に着けていた。


「行く気、満々じゃないですか!」


「何で、年中露出狂がアロハシャツ着てんだよ」


エレントスは呆れたようにそう言った。


「誰がぁ、年中露出狂ですかぁ! ……そもそもですねぇ、自分達の種族は服を着ないのが普通なんですよぉ。よく考えてみてください!猫が服を着てたら変でしょう? あ、自分は猫じゃありませんよぉ。そういうことを言ってるんじゃなくてぇ、あの――」


「よし!ミレカから水着借りてきます!」


「我は行かないからな!」


走り去るセシアへ、エレントスはそう叫んだ。


「……それで魔王様ぁ!上半身だけ着るかぁ、下半身だけ着るかぁ、どっちが良いと思いますぅ? 着るなら赤いシャツか赤いズボンですよねぇ?」


「お前はさっきから何の話をしてんだよ!」


エレントスはキャッタンを掴むと、そのまま窓の外へ放り投げた。


「お先に行きますううぅぅ!」


「ここは人間界だろ」


◇ ◇ ◇


セシア、エレントス、キャッタンの三人は魔界ビーチにいた。


「結局こうなるのかよ」


「ミレカには断られちゃいました!」


「我も断っただろ。何で我の意見は通されないんだ」


「やっぱりぃ、魔王様がいないと盛り上がりませんからねぇ」


キャッタンは赤い海パンに赤いラッシュガードを着ていた。


「……何ですか、その水着。返り血ですか?」


「ダサすぎるな」


二人は冷めた目でそう言った。


「ムキー!おしゃれですよぉ!」


「キャッタン、甘いですね。私の水着を見てください! 可愛いでしょう?」


セシアはライトグリーンのワンピース風水着を二人に披露した。


「似合ってますけどぉ、これをミレカが着てたと考えたらぁ……ちょっと面白いですぅ」


「まあ、若い人向けの水着だからな。あいつには少し歳が合わんだろ」


エレントスがそう言い放った瞬間、彼とキャッタンの頭に手が置かれ、そのまま二人は砂浜へ叩きつけられた。そこに立っていたのはミレカだった。


「誰がババアじゃ!」


「ミレカじゃないですか!?どうしてここに?」


「実は、このビーチの屋台を手伝うことになりまして。それで、王女様のお誘いは断らせていただきました。その間の魔王城でのお仕事は乞食魔族に任せていますので、ご安心ください」


「あの人、生きてたんですね」


「はい。魔王城で問題を起こしたら命はないぞと言ってありますので、大丈夫でしょう」


(そんなことしなくても、あの人、ミレカに惚れてるから大丈夫だと思うけど……)


「じゃぁ、屋台の食べ物奢ってくださいよぉ!」


キャッタンは起き上がりながらそう言った。


「仕方ありませんね。ついてきてください」


「レッツゴーです!」


セシアがエレントスを見ると、そこに彼の姿はなかった。


「あれ、エレントス様は……?」


「王女様ぁ!あれを見てくださぃ!」


キャッタンが指差した先では、エレントスが溺れていた。


「何であそこまで流されたんですか!?」


「潮の満ち引きですね」


ミレカは平然とそう言った。


「まだ私達の足元くらいの深さですよ!?」


「ですがこのままだと魔王様、ご臨終ですね」


その言葉を聞き、二人はエレントスのもとへ泳ぎ出した。


「本当にまずいです! ……というか、キャッタンは浮いて行けるでしょう!? 何で泳いでるんですか!?」


「自分は魔王様より小さいんでぇ、助けられないんですよぉ!」


「じゃあ何で助けに行こうとしてるんですか!?」


二人は必死に泳ぐが、一向に距離は縮まらない。


「全然近づけません!エレントス様、魔法は使えないんですか!?」


「あの状態じゃ無理ですよぉ!こっちが魔法を使うしかありません!」


その言葉を聞き、セシアは動きを止めた。


「そういうことですか……じゃあ、いきますよ!」


「……もしかして、水を凍らせる魔法ですかぁ?」


セシアはエレントスへ向けて手を伸ばした。


「氷弾を飛ばす魔法(アバイスサロレット)」


セシアがそう唱えると、氷弾がエレントスに向かって飛んだ。エレントスが氷弾に当たると、そのまま彼は氷漬けになった。


「いや、何で本人を凍らせるんですかぁ!?海面を凍らせるとかあったでしょぉ!」


「そんな魔法持ってません!それに、この方が被害は少ないですし、氷は沈みませんから!」


エレントスは氷漬けのまま、ぷかぷかと流されていった。


「やばいですぅ!自分が行きますぅ!」


キャッタンは水面から飛び上がり、エレントスの上へ着地した。


「冷たいですぅ!行っけええぇぇ!」


サッカーボールのように勢いよくキャッタンに蹴り飛ばされたエレントスは、一気に浜辺へ向かって飛んでいく。


「え、うわああぁぁ!」


セシアも慌てて浜辺へ戻ろうとしたその瞬間。


「……あれ、やばいです。足、つりました」


セシアはそのまま沈んでいった。


「王女様ぁぁぁ!」


「まったく、何をしているのですか」


ミレカがゆっくりと浜辺まで歩いてきた。


「ミレカぁ、助けてくださいぃ!」


「順風を送る魔法(エフェロアウィアンド)」


ミレカがそう唱えると、追い風が吹き荒れ、エレントスとセシア、キャッタンはその風に乗せられ、一気に浜辺へ流れ着いた。ついでに海洋ゴミや骸骨まで流れ着いた。


「何か、とんでもないものまで来ましたぁ!」


「助かりました!ミレカ、ありがとうございます!」


「魔王様は助かっていませんよ」


エレントスはまだ氷漬けのままだった。セシアは指先に小さな火を灯し、エレントスへ近づけた。


「それは……溶かしましょう!」


「いや、何してるんですかぁ!?」


しばらくすると氷は溶け、エレントスは元に戻った。


「はっ……!何か悪い夢を見ていた気がする」


「気のせいですよ!ほら、みんなで屋台に行きましょう!」


セシアに促され、四人は屋台へ向かった。


◇ ◇ ◇


「やっぱり、かき氷ですよね!……エレントス様?」


「何か……氷、怖い」


「「ええぇぇ!」」


しばらくの間、エレントスは氷を恐れるようになったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。