20.アイスを買いにショッピング
「魔王様、王女様はどこに?」
ミレカはエレントスにそう問いかけた。
「魔界に働きに行ってるぞ」
「熱心ですね……魔王様、私達も魔界に行きませんか?」
「何でだ?」
「キャッタン様と王女様のためにアイスを買いに行きます」
「我はいらないだろ」
エレントスはそう言い放った。
「アイス、選んでもらいますよ?どうせ暇なんですから良いでしょう」
「暇じゃねぇよ!まあ……別に着いていってやってもいいぞ」
「何ですか、その言い方。舐めてるんですか?」
「うぜぇ……早く行くぞ」
エレントスが魔法を唱えると、二人の姿はその場から消えた。
◇ ◇ ◇
二人はショッピングモールのアイスコーナーにいた。
「今、このアイドルのアイスが人気ですよ」
ミレカが指差したアイスには、『スキスキキャンディ』とパッケージに書かれていた。
「スキスキキャンディ……」
「魔王様も好きなんですか?なんか意外というか、気持ち悪いですね」
「好きじゃねぇよ!……確か、魔法の鏡が推していたアイドルグループだったような」
「リリイスがグループで一番人気らしいですね」
ミレカはそう言うと、アイスを買い物カゴに放り込んだ。
「あと買いたいのは、オレンジ味、マスカット味、エビ味、バナナ味、カレー味ですね」
ミレカはそう言って、それぞれのアイスをカゴへ放り込んだ。
「エビ味買うのかよ」
「分かってないですね。カゴに入れた順番に縦読みしてください」
「……は?オレンジ味だからオか。オ、マ、エ、バ……カ」
「分かりましたか?」
ミレカがそう言うと、エレントスは軽くミレカの頭を小突いた。
「ふざけてんのか?」
「冗談、冗談。可愛いメイドの冗談ですよ」
「自分で言うな」
二人はそのままレジへ向かおうとした。その時、ミレカが口を開いた。
「あ、おじさんがありますよ」
「何言ってんだよ……」
エレントスがミレカの視線の先を見ると、冷凍ショーケースの中におじさんが入っていた。
「いや、本当におじさんじゃねぇか!何でそんなところに入ってんだよ!」
「買いますか?」
ミレカはエレントスに問いかけた。
「買わねぇよ!」
「買わないんですか?」
おじさんはそう言うと目を見開き、エレントスを見つめた。
「喋った……いや、目がガンギマリすぎだろ!」
「売れ残ってましたからね。ほら、服を見てください。割引シールが貼られてます」
「何で普通に売り物にされてんだよ!」
ミレカはそのままショーケースを開けた。
「開けんな!」
おじさんはショーケースから出ると、エレントスの前で立ち止まった。
「ワシは45歳の無職です……D銅貨一枚で売られてました。ワシの価値はD銅貨一枚なんでしょうか?」
「おい、悲しくなるからやめろ」
「大丈夫です。労働力や人体の部位としてなら、D銅貨一枚以上の価値は必ずありますよ?」
「それ慰めになってねぇだろ」
エレントスがそう言うと、おじさんは俯いた。
「働き場所を探します。また会った時はよろしくお願いします」
そう言って、おじさんはとぼとぼと歩いていった。
「自己を喪失したおじさん、さよなら〜」
ミレカはそう言って手を振った。
「お前、何かおじさんに恨みでもあんのか?」
「ああいうキャラにレギュラーを奪われるんですよ」
「あいつ再登場予定あんのかよ!」
「さあ、帰りましょう」
二人は会計を済ませると、魔界の街を歩いていた。
「こっちに何かあるのか?」
「面白いものが見られますよ」
ミレカはそう言って微笑んだ。そこには、ラジアに引っ張られているセシアがいた。
「嫌です!私を武力だけに使わないでください!」
「君、それ以外にできることないでしょ……早く行くよ〜」
「ラジア様の鬼畜!悪魔!魔族!」
「最後のはその通りだな〜」
セシアはラジアに引っ張られながら連れていかれた。
「情けない王女様が見られましたね?」
「お前、趣味悪いな」
二人はそのまま魔王城へと帰ったのであった。




