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19. 王女様との対戦ゲーム

「ムキー!」


「どうしたんですか!?」


セシアはそう言うと、キャッタンの部屋へ入った。そこには、一人でゲームをしているキャッタンの姿があった。


「何で魔王城にそんなものがあるんですか!」


「人間界のゲーム機は魔界でも人気ですからねぇ。Shitch(シュィッチ )は普通に売ってますよぉ!」


「そうなんですか?」


セシアはそう言うと、キャッタンの隣に腰を下ろした。


「これは何をするゲームなんですか?」


「王女様がいるならぁ、これを一緒にやりましょう!」


キャッタンはそう言うと、ゲーム機にカセットを差し込んだ。


「どんなゲームなんですか?」


「これはですねぇ、大乱戦スマシスっていう友情破壊系の対戦アクションゲームですぅ!技の知識がないと何もできずに、永遠にハメられ続ける合法的なリンチゲームですよぉ!」


「スマシスのアンチなんですかぁ!?」


「さぁ、やりますよぉ! 王女様ぁ!」


キャッタンはそう言うと、セシアにコントローラーを差し出した。


「……私はキャッタンとの友情を壊したくないですよ?」


「……王女様ぁ。自分達は友人ではないので大丈夫ですよぉ!」


「そんな直球に言われると傷つきますうぅぅ!」


セシアがそう叫ぶと、キャッタンは首を傾げた。


「自分達はもう家族じゃないですかぁ?」


「キャッタン……!軽くボコボコにしてあげますよ! 私は国防のプロゲーマーと呼ばれていたんですから!」


「呼ばれてないでしょぉ……!? 王女様でも手加減しませんからねぇ!」


セシアはコントローラーを受け取った。


「自分はぁ、ネッシーで行きますぅ!」


「私は、どのキャラを選べばいいんですかね?」


「そこのプルンってキャラぁ、強いですよぉ」


「ありがとうございます!」


二人はキャラクターを選択し、開始ボタンを押した。


『3…2…1…GO!』


「ちょ、ハメ技やめてください!」


「やっぱり頭のいい奴が勝つんですよぉ!」


「このキャラ勝手に寝たんですけど!?」


「その技はハイリスク・ハイリターンですよぉ!」


「もしかして、このキャラ結構弱――」


「喋らないでくださいぃ!使う人によって変わりますからぁ!企業に喧嘩を売ることになりますよぉ!?」


セシアの操作するプルンは、三回連続でネッシーに吹き飛ばされた。


『GAME SET』


「……楽しかったですかぁ、王女様?」


「……こんなの運ゲーですよ! それに画面がゴチャゴチャしすぎて、何が起きているのか全然分からなかったです!」


「言い訳ですかぁ!?」


「あ!? もう一回やってあげますよ! リアルファイトです! 表に出ろやぁ! 国防の大魔法使いと呼ばれていた私の力を見せてあげます!」


「煽り耐性なさすぎますよおぉぉ!」


キャッタンはそう言うと、自室から飛び出して廊下を駆け出した。セシアもその背中を追いかけるように走り出した。


「落ち着いてくださいぃ、王女様! 頭を冷やしてくださいぃ!」


「私はいつだって冷静ですよ! でも知ってましたか? この魔王城の真下には源泉があるらしいです」


「あるのは毒沼だけですよぉ!」


「絶望の底には幸せがありますよ?」


「誰か助けてええぇぇ!」


◇ ◇ ◇


数時間後。


「おい」


「何ですか、エレントス様?」


セシアはエレントスにそう問いかけた。


「キャッタンに用があるんだが、見当たらなくてな」


「沼の底にいますよ?」


「何でだよ」


キャッタンは、この日を境にセシアとは二度とスマシスをやらないと心に決めたのであった。

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