18.生活リズムは整えよう!
「おはようございます!」
セシアが元気よくそう言うと、ミレカが口を開いた。
「王女様……今、何時だと思いますか?」
「よく寝た感じがするので、9時ぐらいじゃないですか?」
「12時でございます」
ミレカがそう言うと、セシアの肩がぴくりと跳ねた。
「あはは、面白い冗談ですね。そんなわけ――」
セシアはそう言って時計を見ると、短針はしっかり12を指していた。
「ひええぇぇ!」
「王女様、はっきり言って生活リズムが終わっています」
「うっ……」
「王宮ではどうしていたんですか?」
「それは……あの、起こしてもらってました。業務があったので」
セシアは気まずそうに目を逸らした。
「そうなんですか。14歳にもなって、一人で起きられないんですね」
ミレカはにこりと笑った。
「うるさいです!だって、起きられないんですよ!」
「睡眠不足が原因だと思われますよ。普段、22時には自室へ向かわれますよね。もしかして、眠れていないのですか?」
「そ、それは……寝られないんです!」
「どうしてですか?何か悩みでもあるのですか?」
「違います!」
セシアは勢いよく答えた。
「気づいてませんか?私、ここへ来てから体を動かしてないんです!」
「運動不足ですか……分かりました。では、運動しましょう」
「へ?」
◇ ◇ ◇
翌朝。
「おはようございます」
ミレカはセシアの自室でそう言うと、勢いよくカーテンを開けた。朝日が一気に部屋へ差し込む。
「うわああぁぁ!太陽の光!」
「どこかの鬼ですか。身支度をしてください。地下へ行きますよ」
そう言い残して、ミレカは部屋を後にした。
「ぐぬぬ……こんな朝から運動なんてしたくないです。そうだ、逃げましょう!」
身支度を終えたセシアは、物音を立てないよう、そっと扉を開けた。
「王女様、準備できましたか?」
「ひっ!……また後で!」
セシアはそう言うと、一目散に駆け出した。
「逃げんなあぁぁ!」
「私はミレカから逃げてるんじゃありません!運動から逃げてるんです!」
「他作品出すなあぁぁ!」
すると、ミレカは立ち止まり詠唱した。
「風魔法」
その瞬間、強烈な突風がセシアへ襲いかかった。
「え?」
風をまともに受けたセシアは、そのまま床へ転がった。
「痛いですうぅぅ!ミレカの初登場魔法がこんな使い方でいいんですか!?」
「問題ありませんよ」
ミレカがそう言うと、セシアは立ち上がった。
「ふふん、舐めないでください!私はこう見えて、国防の大魔法使いと呼ばれていたんですよ!ミレカなんかギタンギタンにしてあげます!」
「王女様、趣旨がずれています」
「本物の風魔法ってものを見せてあげますよ!」
セシアはそう言うと、ミレカとの距離を取った。
「風圧を加える魔法」
セシアがそう唱えると同時に、ミレカの周囲へ激しい風が吹き荒れた。
「進めませんね」
「そうでしょう!」
セシアは得意げにそう言った。
「これも初登場の魔法ですか?」
「風魔法なら、キャッタンとの料理回で使ってますよ!」
「ですが……風魔法とは、こんなものではありませんよ。風というのは、もっと自由なものです」
ミレカは微笑みながら一歩下がり、口を開いた。
「防風魔法」
魔法が発動すると、ミレカはそのまま平然と歩き始めた。
「何で進めるんですか!こうなれば、爆発です!」
「はい?」
セシアはミレカへ駆け寄った。
「爆発を引き起こす魔――」
セシアが唱え終わるより早く、その体は何者かに吹き飛ばされた。そのまま一直線に飛び、壁へ突き刺さる。
「そんな魔法、ここで使うな!」
そこに立っていたのはエレントスだった。
「おはようございます。魔王様」
「お前も止めろよ」
エレントスは呆れたように言いながら、壁に埋まったセシアへ歩み寄った。
「朝ご飯食べるぞ」
しかし返事はない。
「魔王様、やりましたね」
「やってねぇよ!」
エレントスはセシアを壁から引っこ抜いた。
「すぅ……」
セシアは寝息を立てながら眠っていた。
「疲れて寝ちゃいましたね」
「何でだよ!……部屋に運んでやれ」
そう言い残し、エレントスは階段を上がっていった。
◇ ◇ ◇
翌朝。
「おはようございます!」
「おはようございます」
「もう一回やりませんか?昨日は楽しかったです!」
セシアは目を輝かせながらミレカにそう言った。
「次にやると、私のクビが飛ぶので駄目です」
「えー!」
ミレカはそう言うと、そのまま立ち去っていった。




