16.魔界訪問編〜解決〜(中編)
「おかえり〜」
帰ってきた二人に向かって、ラジアが声をかけた。
「ただいまです!」
セシアはそう返すと、ソファに腰を下ろした。
「もっと王女さんを連れ回すのかと思ったけど、案外帰ってくるの早かったね〜」
「……あの人に会いたくないから」
カラリリは小さくそう呟いた。
「あの人って、エレントス様ですか?」
セシアが尋ねると、カラリリは小さく頷いた。
「また遊ぼうね」
そう言い残し、カラリリは店を後にした。
「……何かあったんでしょうか?」
「あったんだよ〜」
ラジアはそう言うと、セシアの隣に腰を下ろした。
「エレントスはね、カラリリの想い人を殺したのさ」
「えっ……どういうことですか?」
「僕とカラリリは昔、魔王城に住んでいたんだ。僕達は友人だって言ったけど、正直に言えば、昔……友人だったんだ」
「……そうですか……じゃあ、ストラント様も知ってますか?」
セシアがそう尋ねた。
「知ってるけど……どうかしたの?」
「その人も昔、魔王城に住んでいたらしくて」
「今はいないのかい!?」
ラジアは思わず身を乗り出した。
「は、はい……今はキャタンとミレカ、それからエレントス様だけです」
そう答えると、ラジアはゆっくりとソファにもたれかかった。
「……そうなのかい」
「……エレントス様は昔、優しかったんですか?」
「ハハ、いや?あいつの無愛想で無口なとこは昔から変わってないよ」
ラジアは苦笑しながらセシアを見た。
「理由は知らないけど、ストラントは僕達が魔王城を出て行った後にいなくなったんだね〜」
「……魔王城を出て行ったんですか?」
「そうだよ〜ちょっと関係がギスギスしちゃってね」
ラジアは遠くを見つめながら答えた。
「それなのに、カラリリ様と一緒にお店をやっているんですね?」
「あ〜、それは彼女の面倒を見てるんだよ。僕が見捨てたら、あの子は生活能力が皆無だから、どっかで野垂れ死んじゃうかもしんないしね〜」
ラジアはそう言って笑った。
「エレントス様も同じことを言われてましたね……」
(ミレカに赤子同然って言われてたなぁ)
「ゆーて、僕も生活能力ないけどね〜!」
ラジアはけらけらと笑った。
「……それで、エレントス様は誰を――」
セシアがそう言いかけた時、店の扉が開き、エレントスが姿を現した。
「帰るぞ、アホ王女」
「あっ……エレントス様」
セシアはちらりとエレントスを見た。
「……何を話していたんだ?」
「あ、その……」
セシアが言葉に詰まると、ラジアが口を開いた。
「依頼の話だよ。じゃあ、またね〜」
ラジアはそう言ってソファから立ち上がった。
「ありがとうございました!」
セシアは頭を下げると、エレントスのもとへ駆け寄る。
「空間移動魔法」
エレントスがそう唱えた瞬間、二人の姿はその場から消えた。




