15.魔界訪問編〜解決〜(前編)
「今、帰りかい? カラリリ」
「うん。終わった」
女性はそう言うと、ソファに座った。
「あの人がカラリリ様なんですか?」
セシアは小さくラジアにそう尋ねた。
「そうだよ〜」
その女性には、一本しか角が生えていなかった。
「……」
カラリリはセシアを見つめると立ち上がり、近づいた。
「あっ、私はセシア・プレーセスと申します。訳あって、ここで働かせてもらっています」
セシアがそう言うと、カラリリは何も言わなかった。
(何か、変なこと言ったかな……)
「……いい」
「えっ?」
「可愛い……」
カラリリはそう言うと、セシアを抱きしめた。
「な、何ですかあぁぁ!」
「ふわふわしてる。いい匂い……」
「ラジア様、助けてくださいぃぃ!」
セシアがそう言うと、ラジアはカラリリから彼女を引き離した。
「……自己紹介してなかった。私、カラリリ。ここで働いてる」
「よ、よろしくお願いします」
セシアはカラリリに微笑みかけた。
「あ、言っとかないとね〜」
ラジアはそう言って、セシアが人間であること、エレントスの魔法の鏡を壊したため、その修理代を返すまで働くことなどを説明した。
「……珍しい。でも、守ってあげる」
カラリリはそう言うと、セシアの頭を撫でた。
「この人は何でこんな感じなんですかぁぁ!」
セシアはそう言うと、ラジアの後ろに隠れた。
「彼女は可愛い子に目がないからね〜エレントスが彼女に君を任せたかったのも、その理由の一つかも」
ラジアはそう言って笑った。
「……迎えが来るのは夜なら、私と遊ぼう」
「え、私、殺されるんですか!?」
セシアは困惑した表情を浮かべた。
「殺さない。少なくとも、私はその男よりマシ」
「……君はどうしたいかなー?」
ラジアはセシアに微笑みかけた。
「えっと……」
セシアが考えていると、カラリリはその手を取った。
「レッツ、ゴー」
「うわあぁ、助けてくださいぃぃ!」
「いってらっしゃい〜」
セシアはそのまま外へ連れて行かれた。
◇ ◇ ◇
二人の前にはカフェが建っていた。
「私、お金持ってないですよ!?」
「もちろん、奢る」
カラリリはそう言うと、セシアの手を引いてカフェに入った。二人は近くの席に座った。
「ここのカフェ、パフェが美味しい……私はデカモリタワーストロベリーパラダイスパフェにする。セシアは?」
「なんか、そのパフェ、とんでもなさそうですね……私はどうしましょうか」
セシアがメニューを見て迷っていると、カラリリが口を開いた。
「セシアも同じのにする?」
「いや、いや、いやぁ、結構です!」
セシアは咄嗟にそう言った。
「じゃあ、このパフェとか……?」
カラリリはメニューを指差した。
「これは……おまかせドキドキパフェ?」
「どんなパフェかは、来てからのお楽しみ」
「良いですね! これにします!」
セシアがそう言うと、カラリリは二つのパフェを注文した。
「……撫でていい?」
「嫌です……!」
セシアがそう言うと、カラリリは黙ってD銀貨を10枚取り出し机に置いた。
「好きなだけ撫でていいですよ!」
セシアはそう言うと、机に突っ伏した。カラリリはセシアの頭を撫でている。
(……はっ! 私は何してるの。これじゃ、どこかの守銭奴のラジア様と変わんないじゃん! 王女としての威厳を保たないと!)
「……あの、カラリリ様!」
セシアが顔を上げると、そこには天井近くまで積み上がったパフェが机の上にあった。
「うわぁぁ! 何ですかこれ!? それにカラリリ様はどこに……!?」
「ここにいる」
セシアの前からカラリリの声がした。
「あっ……パフェに隠れて見えないんですね! ……じゃ、ないんですよ! 何ですか、このパフェ!?」
セシアが動揺していると、目の前にカラリリと同じパフェが置かれた。
「へ?」
「店員さんのおまかせ、デカモリタワーストロベリーパラダイスパフェだったね」
「結局、どっちを選んでも同じだったじゃないですかああぁぁ! 食べられませんよ、こんな量!」
「じゃあ、食べていい?」
「はい! どうぞ食べてください!」
セシアは自分のパフェをカラリリの前へ移動させた。
「……あれ、カラリリ様のパフェは?」
「もう食べたから、下げられた」
「ええぇぇ! ……さ、さすがに魔法ですよね。あんな一瞬で食べられるわけないです!」
「そんな魔法持ってない……私は絶対に魔法をそんなことのために使わない」
「……カラリリ様?」
セシアがそう問いかけると、カラリリは口を開いた。
「……もう、帰る?」
「まだパフェ食べてないですよね!?」
セシアが机を見ると、パフェはもうなかった。
「こ、怖いです。胃袋、化け物……」
二人は立ち上がると、会計へ向かった。
「お会計はD銀貨10枚となります」
店員がそう言うと、カラリリの肩がぴくりと跳ねた。
「パフェ二個で10枚……」
「いや、他のパフェ頼めばよかったじゃないですか」
「戻ろ」
カラリリはそう言うと、セシアと腕を組んだ。
「離れてください!」
二人はそのままカフェを後にした。




