第45章:害獣駆除と、農耕の破壊力
第45章:害獣駆除と、農耕の破壊力
ギルドから提示された最初の依頼は、畑を荒らす『アルミラージ』の討伐だった。
ウサギの姿をした魔獣だが、その脚力は速く、並の冒険者では捉えることさえ難しい。
「……楽勝だな。俺たちが農耕の民である以上、害獣は天敵だ」
カトウは、鉄仮面の下でニヤリと笑う。
森に入り、ターゲットのアルミラージを発見。だが、エレンがモーニングスターを振り回して突撃するも、その鈍重な鉄球はアルミラージの残像すら捉えられない。
「やあぁぁぁっ! ……あれ、速いですね!」
周りの地面が穴だらけである。
「落ち着けエレン! 奴の足を止めろ!」
俺は冷静に地面を鑑定する。
……なら、逃げ場をなくせばいい。
俺が地面をハンマーの代わりにナイフの柄で軽く叩くと、その一点に『構造破壊』の衝撃が走り、アルミラージが走る先の地形が隆起し、ボコボコと陥没する。
逃げ場を失ったアルミラージが転倒した瞬間――。
「……ふんっ」
と粉砕ミンチにする。
セリアが不貞腐れながら長弓を放つ。
矢はヘロヘロだが、すかさず指をクルリとさせ軌道を変える。矢は明後日の方向へ飛んだはずが誘導され、あり得ない軌道で急カーブを描き、アルミラージの心臓を完璧に射抜く。
「……え、当たったの?」
「……はあ、ズルだけどね。さすがは魔王の娘」
俺が小さく毒づいた瞬間、背中のポチが「もうやってられん」とばかりに小さな喉を鳴らした。
その威嚇音は、もはや超音波兵器。周囲の魔獣たちが、悲鳴すら上げずに心臓麻痺を起こして次々と卒倒していく。
「……ポチ! 威嚇しすぎだ!」
俺は慌ててポチを撫でるが、後の祭りだ。
森には、アルミラージの群れどころか、上位魔獣までが泡吹いて転がっていた。
数時間後、ギルドへ戻ったカトウたちを待っていたのは、試験官の引きつった顔だった。
「……あの、カトウさん。依頼のアルミラージがこんなに……。あんたたち、本当にFランク?」
カトウは鉄仮面の下で冷や汗を流しながら、精一杯の一般人スマイル《のつもり》を浮かべる。
「あ、ああ。……今日はなんだか調子が良くって……」
カトウの言葉に、周囲の冒険者が戦慄する。
――地形を陥没させ、ひょろひょろな矢を百発百中、ペットの機嫌で生態系を破壊する農家。
その日、ベルンのギルドには「農耕の民というヤバいパーティがいる」という新たな伝説が刻まれてしまった。
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