表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/81

第2章:青い輝きと、見知らぬ天井

「はぁ、はぁっ……!」


 あまりの情報の濁流に、俺は膝をつき、激しく息を荒らげた。


 光が収まると同時に、身体は信じられないほどの万能感に満たされていた。五感が異常なほどクリアになり、身体の芯でエネルギーが脈動している。


「これが……勇者の力……。でも、魔力そのものはあんまり増えてないな。現代人の限界ってやつか」


 カタ、と微かな音が響く。


 見上げると、椅子に座っていた勇者の骸から急速に光が失われ、サラサラと白い灰に変わっていく。風もないのに崩れ去り、衣服も机も、光の塵となって消えていった。


 その静かな崩壊の終わり。床の上に、一つの金属が重々しい音を立てて転がった。


 ――コロリ。


 それは骸の手首に嵌められていたはずの、青い宝石のついた指輪だった。


 主を失った指輪は、いまや俺の魔力に反応するように、かすかに脈動しながら青い光を放っている。俺は歩み寄り、その指輪を拾い上げた。


【ユニーク魔道具:『亜空間の指輪』を認識しました】


【所有権が『佐藤 連』に移行します】


【機能:異界門の解錠、四次元格納庫アイテムボックス


 意識を指輪の奥へ集中させると、脳裏に広大な闇の空間が浮かび上がった。


【格納アイテムを確認します】


・勇者の鉄剣(標準仕様・良質)×1


・旅人の外套(認識阻害・環境適応)×1


・異世界通貨(金貨50枚、銀貨100枚)


回復薬ハイ・ポーション×5


 指輪の中には、当面は贅沢して暮らせるだけの金貨が眠っている。経済的な焦りは一切ない。


 だが、俺はこの金には極力手をつけないと決めた。他人の遺産に頼り切るのはプライドが許さないし、なにより大金を持っていれば周囲に変な目をされる。世間体というやつだ。


「お金に困ってないのは助かるけど……極力、自分の力で稼いで生きていこう」


 灰が消え去った虚空に向かって、俺は深く一礼した。


「あんたの力、確かに受け取った。……行ってくる」


 指輪を左手の指へ嵌め、魔力を込める。青い宝石が眩い光を放ち、空間を裂くようにして、未知なる異世界へ繋がる巨大な「光のゲート」が目の前に開いた。


 ――浮遊感。そして、強烈な重力。


 ドサリ、と硬い石畳の上に転がった。


面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ