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虎党転生物語  作者: ヤノチャン


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7/9

邂逅(かいこう)


ー 邂逅かいこう ー


2015年10月…ドラフト会議数日前。


阪神球団本部での会議を終えた俺は、

大阪の街を歩いていた。


頭の中は吉田正尚一色。


(絶対に獲るで……)


オリックスとの競合上等。


未来の侍ジャパン四番候補で阪神の歴史を変える男…


それを逃す訳にはいかなかった。


そんな時だった。


ブブブブ……


ポケットのスマホが震える。


「ん?」


画面を見る。


登録にない知らない番号だった。


「…ん?…誰や?」


少し迷った後俺は通話ボタンを押す。


「もしもし?」


数秒の沈黙が続く…


『……貴方、転生者ですよね?』


「えっ!?」


全身の血が凍った。


周囲の雑踏が遠のく。


(今、なんて言った?転生者?俺以外に?)


『あの…私も…転生者です』


女性の声で落ち着いている…だがどこか緊張している。


『名前は…白井美虎』


「……」


『今は虎党です。でも前の人生では違いました』


俺は息を呑む。


冗談じゃない。俺以外にも未来を知る存在がいる…


『貴方と会って話がしたいんです。』


「……なんで俺が転生者やと思った?」


『簡単です。岡本和真』


心臓が跳ねる。


『本来なら読売の単独指名だった。でも貴方が歴史を変えた…のでしょう?』


「………」


『さらに今年は吉田正尚』


完全に読まれていた。俺は思わず立ち止まる。


『貴方、セ・リーグしか知らないでしょ?』


「……は?」


『吉田正尚はともかく…パ・リーグの情報が抜けてる。』


その瞬間。


俺の脳裏に会議室での違和感が蘇る。


確かに俺はパ・リーグをそこまで見ていなかった。


ホークスが強かった事、阪神とオリックスで日本シリーズを戦った…くらいしか知らない。


『だから教えたいんです』


女性は静かに続ける。


『未来の育成選手達を』


「育成……?」


『二年後、東農大北海道から現代の韋駄天が現れます。』


その声に熱が宿る。


『名前は周東佑京』


(あの、足の速い…)


『彼は阪神に必要な選手です』


「…お前、何者なんや!」


『前世はタカガールでした』


「は?」


『だからパ・リーグは詳しいんです!』


頭が痛くなってきた。


まさか転生者が複数いるなんて…

しかも阪神ファンに転生したホークスオタク。


情報量が多すぎる。


『会って話しませんか?』


「……どこで」


『神宮球場』


彼女は即答した。


『ヤクルト対阪神戦。三塁側ビジター席』


阪神ファンしか来ない場所。


警戒してるのか。


いや、

当然だ。


俺だってまだ信じ切れていない。


『あともう一つ』


「……なんや」


電話の向こうで、

彼女が少し笑った気がした。


『貴方、メジャー事情も知らないですよね?』


「…あ?まぁ、そんなに詳しくわ…」


『阪神は1998年にあるメジャー球団と業務提携しています。』


「えっ?そーやった?」


『はい!』


その言葉に俺は完全に固まった。


『相手はデトロイト・タイガース』


大リーグの名門。


確かに名前くらいは知っている。


『阪神からメジャー挑戦する場合、最初の交渉先はデトロイト』


「そんなもん実現する訳…ポスティングは?海外FA権は…?」


『させます!数年前…私はデトロイトに留学に行き…球団関係者と親しい仲になりました。彼女ならこの話を受け入れてくれる…阪神タイガースにも興味がありそうな感じでした…名前が同じと言うだけの交流はもうやめましょう!』


彼女は断言した。


『まず初めはコーチ留学や派遣。育成共有。データ解析の共同運用…合同キャンプや、シーズンオフの練習試合。』


これが実現すれば未来の阪神は変わる。


『移籍に関してはポスティングですね…契約内容はデトロイト側との交渉次第。でも阪神復帰ルートも確保させる…阪神が嫌なら他の球団でも仕方がないですが…』


「…………」


『岡本和真も、吉田正尚も…

将来的にはメジャーへ行く…』


“大リーグが間近にある”


という餌は最大級の武器になる。


もしそれを球団レベルで保証できるなら阪神は変わる。デトロイトから助っ人を連れて来ることも可能…


『だから会いましょう、虎吉さん』


電話の向こうで、

白井美虎は静かに言った。


『私達なら……阪神を世界最強の球団にできます。』


通話が切れる。


夜風が吹いた。


俺はスマホを握りしめたまま小さく呟く。


「……なんやねんこれ、意味わからん…スケールがデカすぎる…」


多分続く…





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