新しい未来
ー 新しいの未来 ー
2014年10月23日
プロ野球ドラフト会議。
運命の日。
俺は大阪のホテルで、
阪神球団関係者たちと共にテレビを睨んでいた。
会場の空気は重い。
理由は一つ。
「読売は来ると思うか?」
「そりゃ来ますよ。」
即答だった。
俺は知っている未来では読売巨人軍が単独一位指名。
未来の四番を確保する日。
だが今回は違う。
俺は動き球団を動かした。
デイリーにも情報を流した。
“岡本は阪神熱望” “虎の恋人”
世間の空気すら変えた。
ドラフト会議が始まりフリーアナウンサーの関野浩之の声が会場に響き渡る。
「第一巡選択希望選手……阪神タイガース……岡本和真、内野手、智辯学園高校」
部屋の空気が張り詰める。
そして次の瞬間。
「読売巨人軍……岡本和真、内野手、智辯学園高校」
「……っ!」
誰かが舌打ちした。
やはり来た。
原辰徳。
未来を知る俺の前に立ちはだかる最大の敵。
テレビの向こうで原監督が静かに微笑んでいる。
「クソッ……!」
関係者が頭を抱える。
「競合や……」
だが俺は逆に笑っていた。
ここまでは想定通り。
(俺が知る今年のドラフト会議…和田監督のくじ運は最悪…けど未来は変わった!監督のくじ運も…変わるはず!)
願うしかなかった…
抽選箱…未来を変える運命の一枚。
司会者がゆっくり告げる。
「それでは抽選です」
阪神・和田豊監督。
読売・原辰徳監督。
の順番で箱へ手を入れる。
俺の心臓が跳ねた。
頼む。頼む…!未来を変えろ…!
そして…「交渉権獲得は……阪神タイガース!!」
一瞬。
世界が止まった。
次の瞬間。
「うおおおおおおおおお!!!」
部屋が爆発した。
誰かが泣いている。
「和田ァァァ!!」
「ようやった!!」
「読売に勝ったぞ!!」
俺はその場で崩れ落ちた。
震えていた。
本当に、本当に変わった….未来は変えれる!
テレビには、
苦笑いする原監督。
そして映し出される、
智辯学園の岡本和真。
「阪神タイガースに指名していただき光栄です。」
その言葉だけで、
涙が出そうになった。
巨人の四番だった男…その未来を阪神が奪った。
数週間後。
球団は岡本和真と契約。
契約金8000万円、年俸1200万円。
背番号「25」
その年に自由契約となった新井貴浩…その後を継いだ
記者会見。
縦縞のユニフォームに袖を通した岡本和真を見た瞬間、俺は確信する。
ここから始まるのは“阪神黄金時代”だ。
「来年は吉田正尚…再来年は大山悠輔…3年後は村上宗隆…大山と村上は単独指名確定…これはおもろなるで…」
「ん?虎吉君なんか言ったか?」
「いや!何も!それより呑みましょうよ!」
ー 都内某所
ピッ…1人の女性が朝テレビをつける。
「智弁学園の岡本和真君を阪神タイガースが獲得…」
彼女はそのニュースを二度見する…
「えっ?岡本選手が阪神タイガース?
前の人生では巨人の単独指名だった筈…何かおかしい…まさか…私と同じ…?ま、そんな訳ないか…」
女性はテレビを消し仕事に行く…
翌年、2015年。
シーズンが静かに幕を開けようとしていた。
多分続く…




