魔物分類録①-データベース-
■魔物分類録
陸匐族:広い地域にわたって生息しており、全国各地で見掛ける機会の多い種族。主な生息地は日の当たらない洞窟や人の手が入っていない森林、水気に満ちた沼地など。
生態系の多様さは随一であり、同一の魔物でも地域によって有する能力が異なるため対策が必要となるが、基本的に争いを好む傾向になく、縄張りさえ侵さなければ積極的に襲われないことが多い。
もっともダンジョンに出現する個体は総じて人を襲う傾向にあるため、各種対策を頭に叩き込んでおくのは基本である。
上位に位置する魔物は厄介な毒や魔法を扱うことが多いが、純粋な肉体強度のみを頼りに暴力の限りを尽くす種もいる。
下調べと対策こそが探索者を生かす。陸匐族は、その言葉を最も重く実感することになる相手であろう。ゆめゆめ、挑む相手を誤らないよう留意されたし。
・セダクティブスネイク 陸匐族
蛇の下半身と人の上半身を持つ魔物。一定の縄張りを有しており、基本的に温厚なため刺激さえしなければ襲われることはないが、敵と見なされた場合の対応は苛烈。
混乱、幻惑、魅了、前後不覚といった精神および肉体に作用する魔法の抵抗に失敗したら命の保証はない。長く太い尾で締め上げられれば脱出は困難を極め、毒を注入する牙で噛まれればたちまちの内に衰弱死させられる。
しかしながら、使用する魔法は総じて強くないため中級者であれば脅威にはならないだろう。
推奨討伐階級:若草級以上の探索者複数。単独での討伐は避けるべし。
※メモ:生成必要魔力12,000P。基本的に温厚、脅威にならないなど当てにならない記載が散見される。情報が古いのだろうか?
・ワイズトード 陸匐族
二足で立ち、人程の身長を有する蛙。知能が高く狡猾で滅多に本当の姿を晒すことはない。やつらは大抵の場合、人へと化ける魔法を使用しているからだ。
他には魔物の傷を癒す回復の魔法を使いこなす。単独での戦闘力は皆無に等しいが、強力な魔物の伴として現れた場合は早急に駆逐することを推奨する。草の根分けても探し出し、徹底的にブチ殺すべし。
物陰に隠れて他の魔物を回復していたことや、酷い時は魔物を討伐する側の人間に化けてこっそり回復の魔法を敵に使用していた事例もある。見つけ次第殺せ。それが強者に諂うしか能の無いワイズトードというクソガエルへの最適解だ。
推奨討伐階級:伴として出てきた魔物の脅威度に依る。時と場合によっては撤退も視野。単体では雑魚。見つけ次第殺せ。
※メモ:生成必要魔力150,000P。何がそこまで探索者の殺意を駆り立てるのかと疑問だったが、収穫を遅滞させ、あまつさえ失敗させる要因になると思えば当然のことだと思い直した。
米農家にとってのイモチ病、養鶏家にとっての鳥インフルエンザ、社会人にとっての電車遅延のようなものだろう。
・レッサーリザード 陸匐族
二足で立つ、人型の姿をした蜥蜴。表面の鱗は柔らかく、手先が不器用で、力はそれなりに強いが、それを有効活用する知能はない。進化の途上で道を踏み外したような魔物である。
沼地で群れを成すリザード種だが、彼らはレッサーリザードを同族と見なしていないのか、レッサーリザードを群れの一員に加えることはない。
結果としてはぐれた個体が多く、動きの単調さもあり駆け出しの初心者にとっていい獲物となる。しかし忘るるなかれ、その膂力だけは平民のそれを上回るのだと。
推奨討伐階級:黄土級の探索者複数。灰石級以上の探索者。
※メモ:生成必要魔力1,000P。最高のワーカーだ。
・ジェネラルリザード 陸匐族
種族差が激しいリザード種の中でも最高位の魔物。群れの規模が飽和し統制が崩れかけた時、将となるべく生まれると言われている。
硬質化した鱗は名匠の一振りをも弾き、卓越した技巧と練り上げられた魔力は人が放った魔法を跳ね返す芸当すら可能にする。安易な攻めは命取りになることを覚えておいた方がいいだろう。
他のリザード種と同じく寒気に晒すことで動きが鈍るが、それで討伐が容易になるかと言えばそんなことはなく、むしろ相手の闘争心に火をつけることになるため非常に危険。小細工を弄さなければ勝てない時点で挑むべきではない相手と言える。
群れの維持を優先しているのか、縄張りに近付かなければ積極的に争おうとはしない。また弱者には目もくれないため『ジェネラルリザードと相対して生き残りたくば敢えて無様を晒せ』との口伝もある。
推奨討伐階級:黒鳥級の探索者複数。白雲級の探索者。
※メモ:生成必要魔力3,500,000P。どう考えても過剰戦力。ただいずれは帰ってきてほしい人材。一時解雇という素晴らしい制度は弊社にも採用したいところ。
・ブラストータス 陸匐族
大型の亀の魔物。主な生息地は沼地や洞窟。周囲の環境に合わせて甲羅や表皮の色および形状が異なる成長を遂げる非常に珍しい魔物。
育った環境にかかわらず、甲羅に『衝撃を与えると爆発する分泌物』を生成する特徴があり、これをして外敵から身を守っているものと考えられている。
前述の特徴からか、他の魔物が一切近寄らないためむしろ危機感に疎いという生態を持つ。甲羅の分泌物は上手く取り扱えば爆薬として転用可能なため、見かけた時は討伐ではなく保護を推奨する。
しかし生息域では細心の注意を払うこと。腰掛けた岩がブラストータスの背であり、爆発に巻き込まれて死亡した例は後を絶たない。
推奨討伐階級:前述の通り討伐ではなく保護を強く推奨する。
※メモ:生成必要魔力300,000P。こんな危険な魔物をオフィスに置いていたことに驚愕。ヒヤリハット案件。労災の概念がない世界は恐ろしい。
・スティッキースラグ 陸匐族
茶褐色の粘液を分泌する巨大な蛞蝓。乾燥を酷く嫌い、水気のある洞窟や湖、また泥で満たされた沼地にしか生息していない。知性はなく、ただ本能に従って移動と捕食を繰り返していると見られる。
一見して無害な不快魔物だが、その脅威は高い粘着性を持つ粘液にある。煉瓦の接着に用いられるほど、と言えばどのくらい驚異的か伝わるだろうか。
沼地でうっかり踏んづけて足を取られ、倒れ込んだ先に別のスティッキースラグがいた場合――これ以上記載するのは気分が悪くなるのでやめよう。しかし笑い事ではない。なにせ粘液は手で剥がそうとすればするほど付着するのだから。
生息地へ赴く場合は必ず火の魔法を扱えるガイドを連れて行け。その教えを律儀に守るのであればさしたる脅威にはならないだろう。
推奨討伐階級:若草級。火の魔法を扱える、もしくは火種があるならば一般人でも余裕を持って討伐可能。
※メモ:生成必要魔力2,500P。ありえないくらい気持ち悪い。しかしながら非常に安くて有用に見える。ありえないくらい気持ち悪いけど。採用したら探索者の足が遠のくんじゃないかなこれ。
・カメラレオン 陸匐族
手に乗るほどに小型なカメレオン。生息地は森林や洞窟など。周囲の環境に合わせて体表の色を変化させ、景色に溶け込む習性を持つため発見は困難を極める。
カメラレオン自体に戦闘能力はないが、『感覚共有』という厄介な魔法を使うことで有名。可動域の広い目で迅速に外敵を見つけ、周囲の同族にその視覚情報を共有するのだ。
野放しにすると思わぬ不意打ちを食らうため危険な魔物であるが、防ぐ備えさえ整えておけば無視できる魔物ではある。また、発見したカメラレオンの目を潰すことで共有相手に混乱をもたらすことも可能。探知し次第、上手く利用すべし。
推奨討伐階級:若草〜赤葉級の探索者。生息地により危険度が変化。
※メモ:生成必要魔力80,000P。ダンジョンの外に配置して探索者が来たら知らせる役とかに使えないかなという疑問。警備システム候補。
・フェイタリティパイソン 陸匐族
樹上に棲む暗殺白蛇。恐るべきはその咬合力と牙の硬度にある。
索敵能力が低く、動作は鈍く、身体は脆いと前述の二つ以外の身体機能は総じて並以下であるが、極めて高い殺傷力を持っているため油断はできない。岩をも穿つ咬合力と、岩を噛んでなお折れぬ牙に全ての生命リソースを注ぎ込んだような歪な魔物。
首に巻いた鎖帷子も貫通するため、生半な防具を纏っただけでは対策にもならない。生息地では絶対に一処に留まらないよう心掛けるべし。
推奨討伐階級:赤葉級の探索者(討伐自体は容易だが、致命の一撃を防げることを前提とした場合の評価とする)
※メモ:生成必要魔力320,000。一芸に秀でているのは評価ポイント。しかし必要な魔力が高すぎる。低い給料でも存分に仕事をしてくれる即戦力が欲しいところ。
・ディザスター 陸匐族
一生の大半を休眠状態で過ごす人型の鰐。個体数が極めて少なく研究が進んでいないが、常に眠っているのは起きている時のエネルギー効率が極めて悪いためと考えられている。
特別な魔法は使わないものの、生まれ持った強靭な肉体はそれだけで飛び抜けた脅威となる。体当たりされれば全身の骨が砕け、腕を振るわれれば四肢が千切れ飛ぶ。巨大な口はギロチンよりも無慈悲に肉体を両断する。
一度目を覚ますと、その爆発的なエネルギーを補うためか、同族以外の生物へ無差別に襲い掛かり捕食行動を開始する。暴走は周囲の生物が全て息絶えるまで止まることはない。
刺激しなければ目覚めることはないため、人里離れた場所で見つかった場合は放置するのが通例であるが、もしも町の近くで発生した場合は可及的速やかに撃滅すべし。
推奨討伐階級:白雲級の探索者複数、蒼天級の探索者。
※メモ:生成必要魔力2,200,000。ジェネラルリザードよりも脅威と見なされているが、呼び出すための魔力量はジェネラルリザードよりも少ない。基準は何なのだろうか。知能か、それとも希少さか。
人間も同じくらいの体格でも食事の量が異なるし、そういう体質なのかもしれない。やはり扱いやすくかつ安価な魔物を探したいところ。
値段が高くても相応の働きをしてくれればペイできる。余裕ができ次第、様々な魔物を大量に採用して試用期間を設けるのもいいかもしれない。この世界では離職率を気にする必要はない。
・マレミズチ 陸匐族
一部地域に生息していた手足の生えた蛇のような魔物。強力な毒を吐き、水を操る魔法を使う難敵ではあるが、解毒薬の備えと中級者ほどの腕前さえあれば余裕を持って討伐可能。
とはいえ、マレミズチは絶滅が報告されて久しい魔物である。元々個体数が少なく、生息域も限られていたため既に狩り尽くされたようだ。
マレミズチは生態系の覇者である翼鱗族に成り損なった魔物であるという説がある。その根拠はマレミズチを打倒せしめた際に得られる膨大な魔力量だ。
マレミズチを倒した者は、マレミズチに代わり竜へと至る契機を得る。現地の住民が飛ばした与太話ではあるが、下だらぬ戯言と切って捨てられぬ事実であり、故にマレミズチはその姿を消したのだ。
推奨討伐階級:焦木級から赤葉級の探索者。警告:マレミズチの生息を確認した探索者はその存在を秘匿せず組合へ報告すること。
※メモ:生成必要魔力400,000P。こういう情報を待っていた。
・クニナギオロチ 不明
伝承で語られる魔物の一つ。蜷局を巻けば山となると云われるほどの巨体を持ち、ひとたび動き出せば人が百年かけて築いた国を一日で滅ぼしたという。
現代においては本当に存在していたのか疑問視されているが、伝承の発祥元である国には今も蛇行する巨大な轍のような破壊の跡が残っている。
該当の国は、要衝となる土地の埋め戻しをしないのはその脅威を風化させないためであると主張しており、観光の名所とするための国策という説に対し強く反発している。
俄には信じられない話であるが、もしも現代に顕現した場合、各国の持てる戦力を総動員して撃滅に当たらなければならないだろう。
推奨討伐階級:不明
※メモ:生成必要魔力100,000,000。呼び出そうと思えば呼び出せるあたりどうやら伝説ではないようだ。分類的には陸匐族らしい。しかしこの情報はいらなかった。こんな魔物を呼び出すのは相当の考えなしだろう。
・ポイゾナスゲッコー
人の半分ほどの大きさのヤモリ型の魔物。自重が増えたせいか、通常のヤモリと違って壁を登ることはできないため、背の高い草むらや沼地を生息地としている。
口からは霧状の催涙毒を吐き出すため吸い込まないよう注意が必要。また、襲われた際に尻尾を自切して逃げ出す習性を有しており、尻尾の断面から強力な麻痺毒を発生させる。
耐久力は低いため、弓や投石、魔法を用いて遠距離から一撃で仕留めることを推奨する。また中級者になれば尻尾を自切させる暇を与えず討伐することも可能だろう。総じて与しやすい相手である。
推奨討伐階級:灰石級(遠距離での攻撃手段を持っている前提とする)
※メモ:生成必要魔力3,500。便利そうなので採用の余地あり。使えなければ尻尾切りをするまでだ。




